事実は小説より奇なり! 仁科邦男著『犬の伊勢参り』

犬が伊勢参りしたってホント?

 

そんな都市伝説みたいなお話を、

学術的に裏付けたのが、

仁科邦男著『犬の伊勢参り』。

 

 

 

犬の伊勢参り (平凡社新書)

犬の伊勢参り (平凡社新書)

 

 

 

 

どうやら、

ホントのようです。

 

 

 

なんでも、

最初の犬の伊勢参りは、

明和8年(1771年)4月16日昼頃、

最後の犬の伊勢参りは、

明治7年(1874年)12月18日の「横浜毎日新聞」に掲載された、

東京日本橋の角田嘉七の白犬によって記録されているらしい。

 

 

つまり、

江戸時代末期の100年間、

犬が伊勢参りすることが、

普通の光景であったということだ。

 

 

不思議なのが、

必ずしもお参りできない飼い主の「代参」ばかりとは限らず、

飼い主の知らない間に伊勢参りする信仰の篤い犬もいたということで、

 

 

犬よりも豚の方がたくさんいた広島からは、

豚が伊勢参りしたという記録まで残っている。

 

 

著者の仁科邦男さんという方は、

毎日新聞社の記者だった方で、

犬の生態を文献をもとに研究されているらしい(趣味?)。

 

 

 江戸時代の人が、

まじめに犬の伊勢参り目撃談を書いているのを

これまたまじめに仁科さんが引用なさっているのが面白くて、

あっという間に読んでしまったんだけれど、

 

 

犬の伊勢参り

ホントにあった話なんだろうなと思う。

 

 

そういえば、

最近野犬て少なくなった気がするんだけど、

私が子どものころは、

しょっちゅう学校帰りに野良犬に後つけられるって事件があった。

 

 

犬って、

人、選ぶよね、

 

 

私は、

よっぽど犬に甘く見られていたのか、

単純に足が遅かったからかもしれないけど、

ほんと、

しょっちゅう犬がついてきて、

 

 

しかも、

一回きりじゃなく、

犬になつかれて、

毎日、

校門出たら、

犬が待ってたとか、

 

 

自宅に着いても、

しばらく犬が座り込んで、

帰らなかったとか、

 

 

いつ頃だったかなあ・・・

犬に後つけられることがなくなったのって・・・

 

 

たぶん、

自転車通学始める高校生くらいには、

もうなくなっていたと思うけど。

 

 

そういう思い出があるので、

犬が人になついて、

いっしょに歩いてついてくるってのは、

ありでしょうというのが私の感想。

 

 

だから、

飼い主に送り出された or   犬の自主的な意志にかかわらず、

なんとなく人の流れに沿って歩いていたら、

伊勢まで来ちゃったってのは、

全然普通なんじゃないかなあ・・・

 

 

 

最後の犬の伊勢参りが確認された明治の初め頃、

人間のお伊勢参り(少なくとも徒歩の)もまた、

廃れたはずで、

 

 

お伊勢さんの信仰が篤くて参っているわけじゃなく、

人間が大挙して移動するから、

その流れに乗ってるだけだった犬の参拝も、

当然そこで途絶えたはず。

 

 

おもしろいのが、

犬だけでなく、

豚や牛も参った記録があるんだけど、

ネコは参らなかったんだって。

 

 

 

そうだろうね・・・

 

 

 

ネコはムダな労力使って、

知らない遠い地に出かけるなんてことはしなさそうだ・・・

 

 

 

そういえば、

犬が伊勢参りしていた時期、

犬にはっきりした飼い主があったわけではなく、

なんとなく、

街の犬って位置づけで、

だいたい犬は群れをなしていたそうだ。

 

 

群れの中で、

何かうまくいかないことがあって、

だったら他の土地へ行ってくるよなんて思う犬がいたとしても、

おかしくない。

 

 

冒険好きで外向的な犬にとって、

封建社会は、

それなりに窮屈だったのかも・・・

 

 

 

Victoriaでした。