労働は「いい加減に」 タイ人気質

こんにちは。Victoriaです。

今日、偶然、桑野淳一さんの「バンコクだより」というコラム発見。

桑野淳一さんは、タイ国立タマサート大学客員教授でいらっしゃって、タイに関するご本もお書きになってる方。

タイ駐在のタイ入門

タイ駐在のタイ入門

実は、今日まで存じ上げなかったので、Victoria、まだご本は読んでおりません。

桑野淳一さんの「バンコクだより」、なかなか興味深い内容でしたので、ここでご紹介。


>>タイ人は怠け者が多いという人もいるが、私などはなかなか勤勉な人が多いと感心してしまう。ただ、タイは熱帯であるため、イメージすれば年中夏である。もし、日本も年中暑い夏であれば、やはり体がだれてしまうだろう。それにタイの場合、結構労働時間が長い。言い換えれば自分のことをする時間的余裕が少ないようにも思える。そうなると仕事をする場がすなわち生活をする場にも自然になってしまうのだろう。<<

うん、バンコクにはたった三日間滞在しただけだけど、私も、タイ人は勤勉だと思った。

夜10時過ぎても、仕事帰りに屋台で夕食を済ませ、帰りのバスを待ってる女の人がたくさんいたし、朝の5時の市場では、すでに朝食を出してる屋台でたくさんの人が働いていた。

タクシーの運転手さんも、お客さんの荷物をまめまめしく積み込んだりなんかする時もとっても愛想がいいし、レジの人も、必ず笑顔でおつりを渡してくれたりなんかして、タイ人は、お客さんにストレスを与えないという意味では、世界でもかなりレベルの高い労働者の国だと思った。

>>過日バスに乗っていて驚いたというより、おもしろかったのは、バスの車掌が空いた席に座ってやおら毛糸の玉を取り出して編み物をしだしたからだった。それでいて乗客が乗るとちゃんと集金するのだから、支障があるわけではない。
・・・
やおら、車掌が運転手に言ってバスを止める。何かと見れば、屋台の焼き鳥を買うのだった。今晩のおかずにでもするのだろう。乗客はそれを黙って見ながら、バスが発車するのを待っている。まさに仕事の場が生活の場になっているのだ。<<

たしかに、屋台ではたくさんの女の人が働いていて、周りには、子どもがうろうろしていた。
きっと、家に帰っても誰もいないから、お母さんの仕事が終わるまでは、なんとなく、職場でいっしょに過ごしているのだろう。

でも、これって、日本でも当たり前に見られた風景なんじゃないかと思う。

農家では、お産をしたからって農作業免除されるわけじゃないから、子どもを乳母車に乗せて畑に連れて行って、何となくみんなで面倒を見るっていうのが当たり前だったと思うし、商売やってるお家では、お店の奥が自宅スペースになってて、子どもが学校帰ってくると、お母さんは、お店と自宅のスペースを行ったり来たりしながら、夕食を食べさせたり、宿題をやらせたりしてきたはずだ。

ヨーロッパは、産休、育休をちゃんと取れる仕組みを作って、保育園なんかも整備して、国全体で子育ての面倒みましょうっていう方針で女の人が子ども産むことを支援してきた国が多いと思うけど、アジアは、職住接近で乗り切ってきた国が多いんじゃないかと思う。

だって、女の人が生涯に3人から4人の子どもを産もうと思ったら、育休10年くらいとらなきゃいけないわけでしょ?

働き盛りの年齢に、出産、子育てするわけだから、そんなのとても無理。
子育てするからこそ、お金が必要になるわけだし・・・

だったら、アジアの国で普通にやってるように、女の人は妊娠中だろうと子育て中だろうと、職場と自宅の境界っていうのをできるだけなくしていって、どっちもうまくきりもりする・・・っていうのが、ある意味正解なんじゃないかな?

子どもを産んで、なおかつ、自立してお金も稼ぎたいのであれば、女は「キャリア」としての仕事を追求するべきではないのかもしれない。


>>私は疲れた時にはよくマッサージに行くが、そこで食事の時間になると家族がぞろぞろやってきて、床に店を広げてやおら食事をやりだす。客はその間、待たされる。今ではそれに慣れてしまって「またか」と思うだけである。タクシーの給油にしても、客を乗せた状態で平気でガソリンスタンドに立ち寄る。<<

私も労働時間は長い。
特に忙しい時期ではなくても、だいたい12時間は職場にいる。
じゃあ、その12時間働きづめかというと、お茶は飲むわ、昼寝はするわ、ブログは書くわ・・・やりたい放題である。

でも、それだからこそ、過労死することもなく、長く続けて来れたのだ。

自営だからこそ、できるとも言えるけど、雇われサラリーマンだって、結構息抜きはしているはず。
移動時間は、ぼーっとしていていいわけだし、どんな職種でも待ち時間っていうのはあって、その間は、もしも上司がすぐ横で見張っているわけでなければ、結構好きにできるはずだ。

そういう時間を、効率化のためにすべてなくす方向にもっていこうとすると、いろいろ障害が出ると思う。
職場全体が、お互い見張り合いみたいになって、ちょっとでも気を抜いてさぼっていたらチクられるんじゃないか・・・みたいになったら、息が詰まるだろう。

そうやって、ストレスためて、結局、長期欠勤・・・みたいになってる人は結構多いんじゃないか。

仕事っていうのは、生活のためになくてはならないものだけど、ご飯食べたり休憩したりっていうのも、一日のうちの大事な行事。

だったら、庶民は、それをうまくやりくりするための知恵を働かせ、家族も地域の人も、そしてお客さんも、みんなが一体となって少しずつ譲り合って暮らしていくっていうのが、公共の福祉のためには欠かせないインフラだと思う。

バンコクに行って、ホントにみんな豊かな暮らしをしてるよな〜って思ったのは、ここに理由があったんだ・・・

桑野淳一さんのコラムを読んで、納得。

Victoriaでした。

なお、Victoriaのタイ バンコク週末旅行レポートはこちらです。(タイ バンコク 週末旅行レポート 総集編 - Victoriaの日記
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村