鈴木智彦 「ヤクザと原発」
こんにちは。Victoriaです。
「ヤクザと原発」というタイトルに惹かれて読んでみた。
- 作者: 鈴木智彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/12/15
- メディア: 単行本
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著者の鈴木智彦氏は、暴力団専門ライターで、
「ヤクザ1000人に会いました」という本もお書きになった方。
- 作者: 鈴木智彦
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/01/13
- メディア: 文庫
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福島第一原発事故が起きる数年前、
原発近くで行われた地元の祭りで暴力団の親分に「原発は儲かるどでかいシノギだ」という話を聞いたり、
3.11の震災直後、暴力団関係者といっしょに被災地支援をしたりした鈴木智彦氏、
ヤクザと原発のつながりについてウラをとろうと考え、ついに本丸に突入。
原発の協力企業のひとつに、ホントの身分を隠して、現場作業員として就職し、
福島第一原発(1F)に潜入、
1ヶ月にわたって働いた記録をまとめたのがこの本。
マスコミ報道されない事実が次から次へと明らかにされる貴重なレポだけど、
これでも鈴木智彦氏はきっと見たことの一部しか書いていないんだろうなと思うと、
実際の現場がどんな修羅場か想像することすらおそろしい。
今の福島第一原発の全体像を把握している人が、
おそらく日本中さがしてもごく少数しかいないらしいことや、
現場で作業をしているのは鈴木智彦氏のような現場作業員だけで、
東電の社員はほとんどみかけないこと、
現場作業員の健康管理はほとんど形だけで、
世論がこわいから線量の管理を厳しくしているようにみせかけてはいるけれど、
実際はごまかしだらけで、
作業員の被ばくは見て見ぬふりがされ、
また、除染しないままの車両などを通して日本中に汚染が広がっていることなど、
驚愕の事実を次々つきつけられても、
全部、事実なんだろうなあと思うので驚きもしない。
事故後、半年たってこの状態なのだから、
これからまだまだ状況は悪くなるのだろうと思うとすごく重苦しい気分。
潜入して鈴木智彦氏が実際に見たり聞いたりした部分のレポがすごくおもしろくて(臨場感あふれるという意味)、
ページ数もほとんどそこに割かれている一方、
肝心のヤクザと原発のつながりについては、
潜入したからといって、特に新たな事実がわかったわけではないらく、
その部分のボリュームは薄いんだけど、
これからヤクザ側の取材を重ねて、
続編をお書きになるんじゃないでしょうか?
原発潜入レポといえば、
- 作者: 堀江邦夫
- 出版社/メーカー: 現代書館
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: 単行本
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「原発ジプシー」で読んだのと同じような光景が、
「ヤクザと原発」でも広がっていて、
すごい既視感を覚えるんだけど、
原発自体が古くなっているのと、
事故でめちゃめちゃになったこと、
それに、東電自体がパニックを起こしていて、
平時にはお題目のように唱えられていた「原発は絶対安全です」という言葉が発せられなくなった分、
悲惨さは増している。
原発に賛成とか反対とかじゃなくて、
原発って人間の手に負えないんだっていうことを知るために、
この本に書かれている事実は知らなきゃダメだと思う。
「実話時代」でお書きになってる極道ライターの鈴木智彦氏の文章ですから、
大変に読みやすく、臨場感にあふれている。
ぜひ、お読みになることをおすすめします。
Victoriaでした。
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「原発ジプシー」についてはこちら。
堀江邦夫 原発ジプシー (9) 総集編 - Victoriaの日記
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