ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (12) 安史の乱とアッバース革命を結ぶ道

こんにちは。Victoriaです。

2012年3月25日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、
今回は8世紀中頃のお話。





744年、
ウイグル突厥を滅ぼす。





突厥はトルコ系騎馬遊牧民の大帝国で、
6世紀中頃に台頭し、
モンゴル高原からアルタイ山脈の広い範囲を領土とした。





突厥は、
東アジアで、
漢民族以外では比較的早くから文字を使用した民族で、
5世紀に突厥文字という独自の文字を持っていた。





突厥は、
夫に先立たれた妻は、
夫の兄弟の妻になるという婚姻制度をとっていて、







日本でも比較的よくあるパターンだと思うけど、
遊牧民族もそうだったのね・・・







そんな突厥を滅ぼしたウイグルも、
同じくトルコ系騎馬遊牧民
このあと出てくる安史の乱で、
唐を援助している。





突厥については、こちらでもちらりと出ています→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (7) 煬帝は暴君か? - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (9)拓跋帝国の完成と白村江の戦い - Victoriaの日記
・・・



同じ頃、
イスラム帝国でも大きな変化があった。






750年、
アッバース革命が起こり、
ウマイヤ朝が滅び、
アッバース朝誕生。







討たれたウマイヤ朝の一族はスペインへ逃れ、
後ウマイヤ朝を建てた。








ウマイヤ朝は、
アラブ人を優遇する政策をとっていて、
非アラブ人はジズヤという人頭税の支払いを課されていたし、
歴代カリフがイスラムの戒律を軽視、
世俗的享楽にふける生活を送ったことなどから、
ウマイヤ朝の支配に不満を抱く人々は多かった。








ウマイヤ朝の正当性に疑問を抱く者も多く、
イスラムの予言者ムハンマドの叔父の子孫であるアッバース家は、
打倒ウマイヤ朝の旗印のもと、
多くの不満分子を巻き込むことに成功。




ウマイヤ朝の成立についてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (6)正統カリフ時代の終焉とウマイヤ朝の成立 - Victoriaの日記






ウマイヤ朝アラブ帝国であったのに対し、
アッバース朝イスラム帝国だともいわれ、
アラブ人の特権を廃止して、
人種を問わない政策に舵を切ったため、
この一連の動きは単なる王朝の交替ではなく、
「革命」と呼ばれている。







アッバース革命により、
元気になったイスラム帝国で、







アッバース朝第2代カリフ、マンスールが、
バクダード建設。







以降、
都はバクダードにおかれ、
イスラム世界の中心として繁栄し、
人口100万人を超える大都市となる。







マンスールは天才的な名君で、
世界中を好景気にして交易でもうけよう!をキャッチフレーズに、
バグダードを中心として、
ペルシアのインド洋貿易圏と、
東ローマの地中海貿易圏を結びつける海上貿易に乗り出す。







後にこのルートは、
フビライによって海の道として完成される。








イスラム帝国が、
お金にものを言わせて世界中から物を買いまくったせいで、
国際交易が発達、
世界中がにわかに好景気にわいた。







・・・ということで、本日の結論 :






海を制するものは世界を制す。
お金が回る仕組みを作った国は、
世界帝国になる。








・・・


さて、
アッバース革命の翌年、
751年、
アッバース軍が、
アジア北部のタラス川で、
中国の唐軍に大勝するという戦いがあった。







この前後、
中国からイスラム世界に、
紙とパスタが伝わった。







パスタはイタリア発祥だというのがイタリア人の説だが、
出口先生によると、
パスタの起源は中国のラーメン。






その証拠に、
中央アジアのソグディアナには、
中国人集落があったという。







う〜ん、
そうなのか・・・
スパゲッティはラーメンのが起源だったのね・・・









・・・


「開元の治」という、
国史上3番目の安定期を生み出した玄宗が、







絶世の美女、楊貴妃に溺れ、
国が乱れたことが原因で起きた反乱が、
755年から763年の「安史の乱」である。








出口先生によると、
ほぼ同時期に唐とイスラムで起こった安史の乱アッバース革命を起こした人たちは、







いずれもソグド人の血をひいており、







どちらの反乱も同じ中央アジアから起こっているので、







唐とイスラムという、
ユーラシア大陸の東と西に分かれて起こったできごとではあるが、







実は中央アジアから起こったひとつの運動ではなかったかという説があり、







結果的に安史の乱は失敗に終わってしまったけれども、
貿易活動を得意としたソグド人が、
唐の長安を中心に、
中国各地に多くのマニ教寺院を建て、
そこを拠点に活躍したし、






一方、
アッバース革命は大成功したわけだから、
ソグド人の活躍なくして、
8世紀以降の唐とイスラムはなかったといってよい。








なお、
本エントリーで最初に紹介したウイグルにも、
ソグド人は入り込み、
混血が進んだそうで、







シルクロードを押さえていたソグド人が、
ユーラシア大陸を縦横無尽に行き来し、
グローバル経済を支えていたことがわかる。







・・・ということで、本日の結論 :







海の道やシルクロードを支配して、
世界の貿易を牛耳ったペルシアって、
ホントすごいね・・・








Victoriaでした。
ライフネット生命保険
生命保険




・・・

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