クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 第3回公判 傍聴記

こんにちは。Victoriaです。

2012/06/08 午前10時、
東京地裁第718号法廷にて開かれた、
クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件でただ1人起訴された八田隆氏の第3回公判を傍聴してきた。







行きの新幹線の中は爆睡。






朝、4時半起きは眠いわ。






東京地裁に行くのは初めてだったんだけど、
さすがに地下鉄の駅の目の前で、
迷わず到着。





入り口には、
お決まりの荷物検査と金属探知機。








ビーッ!









例によって、
金属探知機が派手に鳴る。








お願いだから、
ブラのワイヤーで鳴らない仕様にしてくれない?







7階へ上がると、
廊下はしーんと静まりかえっている。







今日は他の法廷はお休みなのかしら?







第718号法廷の隣に人だかりができていたので、
素知らぬ顔をして偵察に行くと、







午前中は、風営法違反なんたらかんたら、
午後は、わいせつ電磁記録配布のなんたらかんたら・・・








わっ!
こっちのがおもしろそう!







銀髪で、
とても上品そうなご高齢のご婦人が、
つえをつきながらこの法廷に入っていったのがとても印象的。







親族の方かしら?







第718号法廷の前の列に並んでいると、
検事らしき人がどやどやっと入って来た。








すげー!
みんな、ふろしき包み持ってるし!








しかも、
柄が同じ。








検事さんって、
ふろしき包みを抱えてるんだよって聞いたことあったけど、
本当だったんだ・・・







ほどなく、
八田隆氏の弁護士さんたち到着。






すぐにわかった。







男性二人が、
めちゃくちゃ頑丈そうなキャスターつきの黒いスーツケース転がしてたから。







これかあ・・・
初公判の時、
資料の重みに耐えかねて、
キャスターがもげちゃったっていううわさのスーツケースは・・・







八田隆氏は、
あちこちで知り合いを見つけ、
てゆーか、
ほぼ100%知り合いなんだと思うけど、







あっちで握手しながら、
こっち向いておしゃべり、
てな感じで、
笑顔を振りまきながら入って来るので、
なかなか列の最後尾にたどりつけない。









長い列にそって一通りあいさつし終わった後、
後ろの方に並んでいらっしゃった江川紹子さんとなにやらひそひそ・・・








とっておきの戦略でも伝授されたとか?







10時になり、
やっと法廷の扉が開く。








30分前くらいに開くのかと思ってたら、
ジャストの時間まで開かないのね・・・








傍聴席は48席あるんだけど、
だいたいいい感じに全部埋まっていた。






男女比は半々くらい?
女性がみんなやたらとキレイなのが印象的。








さすが八田隆氏の法廷だけのことはある・・・








八田隆氏の目の前には、
ご両親がお座りになっていた。








法学部を卒業した息子が、
まさか被告席に座ることになるなんて、
青天の霹靂だっただろうとお察しする。







お二人ともとてもお優しそうで、
彼氏のご両親に初めて紹介される時に、
こんな方がいらっしゃったら、
迷わずオヨメに行くことを決心するだろうと思われた。









裁判官が入って来ると、
あいさつヌキでいきなり始まってちょっとびっくり。









起立・礼はないのか?









たしか、
ゴヤで傍聴した時は、
最初と最後に必ず起立・礼があり、
傍聴人も全員立たされた記憶が・・・








予備校業界でも、
同じ系列の学校であっても、
なぜか名古屋校だけは、
必ず起立・礼をすると言われているんだけど、








法廷でもその文化が生きていたとは、
驚いた。







裁判官は、
いきなり証人を呼ぶ。








今日の証人は、
クレディ・スイス証券で、
長く法務コンプライアンスの統括をなさっている方。









弁護士でもいらっしゃるので、
プロ同士、
それがやりやすいのかやりにくいのかはわからないけれども、








最初の宣誓のところでは、
声が小さく、
やる気なさげな感じだったので、
どうだかな〜って思ったけど、








検察側の質問にも、
弁護人の質問にも、
同じ調子で淡々とお答えになっていて、







質問の仕方がちょっとどうだかなあ・・・っていう時には、
すかさず「それはどういう意味ですか」と確認をとって、
慎重に答えており、
大変好感がもてた。








弁護士の先生なんだから、
言質を取られないように慎重に言葉を選ぶのはお手のものなんだろうけど、







この人は、
ウソはついてないし、
何かを意図的に隠蔽しようとか、
故意にねじまげようとかはしてない、








むしろ、
本当は答えたくないことにも、
誠実に答えようとしているんじゃないかという感じがした。








それにしても、
最初から最後まで、
メモも見ずに答えていて、









証人って、
メモ見ちゃだめなの?








よく、
あんなに古いことを、
事細かに覚えているよねーってちょっと感動。









私だったら、
絶対ムリだわ。









最初は検察の質問で、
もっとムリムリに誘導尋問的なことをするのかと思っていたけど、
全然そんなことはなかった。








声も大きくよく通るので、
めっちゃ聞きやすかったし。







証人の方自身もクレディ・スイス証券から株式をもらっており、
この方はちゃんと確定申告なさっているのだが、
なぜ、確定申告しなければならないと思ったかという点に、
質問は集中していた。








つまり、
ちゃんと確定申告する人間がまともで、
それを怠った八田隆氏が悪者ってことを印象づけるねらいがあったんだと思うけど、









証人によると、
たしかにクレディ・スイス証券から、
文書でお知らせがきたり、
あるいは、
研修を受けたりして、
株式で付与される給与部分については、
会社は源泉徴収する義務はないということを告知されていたとは言えるんだけど、










証人が確定申告するに至った決め手は、
そういう会社からのお知らせではなく、
むしろ、
直接、同じフロアで働いていた管理部門の人間の口から聞いたからだとのことだった。









これって、
なかなか重要な証言なんじゃない?









証人は、
法務の人間なので、
フロントの人間よりもそういうことに対して日頃から注意を払っていたし、
身近に税務に詳しい人間がいて、
日常的に情報を得られる立場にあったから、
ミスせずすんだっていうような意味合いだったと思う。








なかなか、
興味深い証言で、
息をつめて聞き入っていたんだけど、








わりと佳境にはいってから、
いきなり、









「確定申告は何のためにすると理解していましたか?」








という質問が検察から出て、
証人失笑。








なんか、
それ聞いたら、
私も力が抜けちゃって、
一気に眠気が襲ってきて・・・









うん?
何なんだ、
あのうなり声は?










傍聴席の後ろのほうで、
いびきかいて居眠りするおじさん出現。







わあ、
あれはまずいよ・・・





隣の人、
起こしてあげなよ・・・






ああいう時、
本人は全くいびきかいてる自覚ないからね・・・







40分で検察の質問は終わり、
弁護人に交替。








した途端、
いきなり聞き取りにくくなる。








弁護人の方、
声が小さいんですけど・・・








聞こえないほどではないんだけど、
やっぱり迫力の点で負けるので、
もっとちゃんと発声したほうがいいと思う。







たぶん、
視線を資料に落としすぎで、
猫背になるからで、







この点は、
常に背筋を伸ばして証人のほうに視線を向けていた、
検察の方を見習ったほうがいいかも・・・







弁護人の方からは、
いきなり鋭い質問が・・・








クレディ・スイス証券で、
100人超の申告漏れが出たっていう報道がマスコミでされたんだけど、








実は、
その時点で、
クレディ・スイス証券は、
申告漏れの実態調査はしていなかった。








金融庁から指導を受けて、
あわてて国税局に問い合わせたところ、
人数は教えてくれなかったらしい。









ということは、
マスコミに申告漏れの人数が出たのは、
国税局のリークですね?








たたみかけるように迫る弁護人。








う〜ん、
何かドラマ見てるみたいになってきたぞ・・・









弁護人が一番時間をかけたのは、
検察が、
八田隆氏は、株式からは源泉徴収されてないことを事前に把握していたはずだという根拠としてあげている、
メモランダムの文章の解釈で、








なんか、
英文解釈教室みたいになってきたんだけど、








retain this statement for tax purpose








っていう文章を読んで、
税務申告のためにこの書類を保管しておきなさいという意味にとれるかどうかっていうのが争点になってて、








証人から、







retain this statement for tax return purpose









とreturnを入れるべきだったかもしれないという証言を引き出していた。









ほかにも、
平成18年、19年に、
会社が行ったと主張している従業員に対する説明会の日程が、
実は3月13日〜16日、および、4月7日〜9日だった、
つまり、
確定申告に間に合わない時期だったとか、





あるいは、
法務コンプライアンスの部長という人までが、
全く八田隆氏と同じ理由で、
確定申告をしていなかったとか、








しかも、
この部長の場合、
妻が税理士だというおまけつきで、







いかに、
この件が微妙かということを印象づけていた。







100人超の申告漏れを出してこりたクレディ・スイス証券では、
平成20年から、
従業員全員を強制的に出席させて説明会を行い、
申告漏れを事前に防ごうと努力したらしいが、
それでも徹底されなかったため、
ついに平成22年から、
株式付与分についても源泉徴収するように制度を変えたそうだ。








ということは、
すでに八田氏が人身御供になった効果はあったわけだ・・・








弁護人は、
ちゃんと確定申告していた証人から、








「私自身は申告していましたが、
給与なのに会社が源泉徴収しない点については、
やや意外な印象を持ちました」








という重大証言まで引き出していた。








証人の前には速記者の人が座っているんだけど、
二人目の方が交替したあたり(11時10分頃)から、
朝4時半起き&朝飯抜きの私の集中力が完全に切れる。









法廷の空気が悪い・・・
空調が効いてないんじゃねーか?









そうすると、
どうでもいいことが気になるもので、








書記官の女の人が着てる黒いガウンが、
妙になまめかしいよね・・・とか、








うしろでいびきかいてたおじさんが、
相変わらず爆睡してるよね・・・とか、










そんなこんなで、
ほぼ予定通り、
12時前に終了。









やっぱり、
最後の起立・礼もなかった。









次の公判は9月15日を予定しているらしいけど、
外国からの証人を呼ぶのは難しいかもしれませんと、
ものすごく申し訳なさそうに裁判長が八田隆氏に告げていた。









実はこの裁判長、
遠くから見ると、









八田氏の弟さん?










て感じで、
雰囲気が似てて、









おそらく、
当事者は否定すると思うけど、










半分くらいスキンヘッドだった証人の方とか、








声はでかいけどひょろっとしていた検察の方と比べれば、










裁判長と八田隆氏は同類だな・・・









きっと、
メンタリティーも似たところがあるんじゃないだろうか・・・









全体的に、
この場にいあわせたすべての人が大変紳士的で、









これは八田隆氏の人徳かなと思うんだけど、









いい加減な人っていうのが、
ただの1人もいない。









みんな、
自分の職務にまじめで、
個人的な思いとは関係なく、
粛々と目の前の事案に取り組んでいるという感じで、










こういうチームで裁判をできるというのは、
八田隆氏にとっては、
よかったんではないかとすら思えた。








ということで、
検察側の主張が、
大変よくわかった第3回公判を傍聴した感想 :








最初からこの事件についてはいわく言い難き違和感があったんだけど今日その理由がわかった・・・










億単位のゼニを脱税したかどうか争っている裁判で、
出てくる証拠が英文解釈かよ!









もう、
勘弁してほしい・・・







あれだけ死ぬほど資料そろえて、
出てきた証拠がこれかよって感じ。







まるで給食費滞納してる親に対してちゃんとお知らせのプリント配ったじゃないですかって先生が言ったら給食費の明細は書いてあったけどそれを払えとはどこにも書いてなかったから払わなかっただけだよっていう理屈を親がこねててどっちが悪いんだってもめてるくらいのレベルの低さ・・・








終わってから、
地下に食堂あったから行ってみたんだけど、
裁判なさる方は神経使うから胃を悪くするのかしらね?
おそばに長い列ができていた。








並んでいる方たちからは、
優秀な人が放つ独特のオーラが出ていたんだけど、









ムダにマジメな人って、
物事に軽重つけないところがあって、








例えば、
試験範囲は教科書の25ページから55ページですとか言われると、
1ページ目から地道に復習するようなタイプなんだけど、







そういう方が集まると、
物事の優先順位っていうか、








相手をよびだしてこんこんと言い聞かせるべき深刻な問題と、
アホかお前は次からは気をつけろよって頭ひとつぽーんとなぐって終わりでOKな問題の境界線が、
わからなくなるのかも・・・








こんな調子で、
次は3ヶ月後って、
八田隆氏は一体いつまで今の状態におかれるのだろうか・・・









日本の司法制度はおかしいっていろんな人が言うけど、
今日、その意味がちょっとわかったわ・・・







あと、
日本の英語教育が、
発音指導においてあまり成功していないということもよくわかった・・・









withholdingを 「うぃずほーるんぐ」 と発音するのはやめてほしい・・・









Victoriaでした。


傍聴を終えた感想はこちらです→クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 第3回公判 傍聴を終えて - Victoriaの日記