寂聴 今昔物語
- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/05/01
- メディア: 文庫
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今昔物語は高校の古文の教科書にも出てくるし、何かの参考になれば、と思って買ったのですが、これが、予想外におもしろかった!ただ、「これおもしろいよ」といって、高校生にすすめるわけにはいかないので、今まで本棚の隅に眠っていました。
学校の教科書に出てくる今昔物語って、けっこうまじめな話が多いんですよね、当たり前ですけど。
仏様の功徳を説く、みたいな話ばっかりでしょう。
ところが、ホントの今昔物語はちがうんです。
たとえば、この本の中に
「大江山で妻を寝取られた男」
という話が出てきます。
あらすじは、題名どおりで、大江山で妻を寝取られた男の話なんですけど、寝取られる状況がすごいんですよ。
妻を馬にのせ、自分は矢を背負って大江山を歩いていると、途中で若い男に出会う。最初は二人なごやかに話をしながら並んで歩き、男は若い男に自分の矢をあげたりなんかしている。
その間、馬にのっている妻は顔を布で隠しているので若い男には見えない。
で、なごやかに談笑していたはずが、どういうわけか、いきなり若い男がさっきもらった弓で男をおどし、縄でぐるぐると縛ってしまう。そこで若い男はおびえている妻の顔をはじめて見ると、あまりにも美しかったので我を忘れ、その場で女を全裸にして(!)自分も服を脱ぎ捨てて、犯してしまう。女は最初は恐怖で声も出なかったが、次第に我を忘れ、最後には耐えきれない叫び声が漏れるのをこらえようともしない・・・。
その間、夫は蒼白な顔を伏せもせず、魂の抜けたような顔で目の前の動きを見ている。
若い男は「よかったぞ。おまえの夫は殺さないで見逃してやる」といって、妻の乗っていた馬に跳び乗って去ってしまった。
というお話。
妻は、「おまえさんという人は何という甲斐性なしだろう」といいながら、夫の縄を解いてやった、というところで話は終わる。
今昔物語は12世紀初めに書かれたわけですから、たぶん、その時代の人は字が読めなかったから、おもに語り伝えられたと思うんです。この話を、どういうふうに語っていたのかな〜と思って。数ある物語の中で、きっと一番人気だったんじゃなかろうか。
すごい筋書きですよね〜。日本人て昔っからものすごいエンターテインメントのレベルの高い民族だったんだなと思って、なんか感心しちゃった。
古典文学っていうと、なんか、小難しい話をいっぱいならべて解説するっていうイメージだけど、ほんとはこんなにおもしろいんだ。源氏物語も教科書にのってるのは、最もおもしろくない部分で、ほんとはすっごいどろどろでおもしろいんですよね。特に紫の上がしっとに苦しむところなんか、まさに昼メロだし。
宇治十帖の筋書きもすごいですよね。
これも寂聴さんの本を読んではじめて知ったんですけど
この人この世界 2008年4ー5月 (NHK知るを楽しむ/月)
- 作者: 瀬戸内寂聴,日本放送協会,日本放送出版協会
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2008/03
- メディア: ムック
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寂聴さんの源氏物語は、読もうと思って全部買ってある。
- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/01
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- アーティスト: 朗読,宮崎弥生,秋山雅子,岩瀬弥永子,福田雅世,飯島晶子,安倍眞壽美,坂本有子,加藤敬子,松島邦,瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2007/06/06
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