いい男たちはどこへ行った?

こんにちは。Victoriaです。

ウォールストリートジャーナルで興味深い記事発見。
Where Have the Good Men Gone? - WSJ
「いい男たちはどこへ行った?」というタイトルで、本来なら結婚適齢期であるはずの20代の男たちが、いつまでたっても大人になれない現状を鋭く分析しています。

日本でも、「婚活」がブームとなり、少子化の原因は、若者の労働市場が縮小し、結婚できるだけの経済的裏付けのある男が減っていることが原因で晩婚化、あるいは非婚化がすすんだからだなどと言われておりますが、もっと根本的な理由、すなわち、若者が人間的に大人になりきれていないからじゃないかという、パートナーさがしに苦労している女なら誰もが感じているであろう疑念を見事にまとめあげております。

女性の方、必読。

ウォールストリートジャーナル日本版のほうには掲載されていないみたいなので(あったらどなたか教えてください)、Victoria、日本語訳してみました。

長いエッセイなので、大意のみです。
原文でお読みになりたいかたは、
Where Have the Good Men Gone? - WSJをどうぞ。

<いい男たちはどこへ行った?>
by Kay S. Hymowits
(日本語訳 : Victoria)

責任感がなく、いつまでも娯楽にあけくれる20代の男たちが大人になれないわけ


そう遠くない昔、20代の男は大人だった。
高校を卒業し、経済的に自立した男たちは、結婚して家庭を持ったものだ。

しかし、現代の男たちは「大人の一歩手前」で止まったままだ。
昔からそういう若者はいたものだけど、現代はそういう男が20代の大半を占める。

今や、何をやっても女のほうが男を上回る。
優秀な成績で大学を卒業するのは女子のほうが多いし、仕事ができるのも女のほうで、同世代の男たちよりかせぎがいい。

一体、いい男たちはどこへ行ったのか?

男たちが大人になりきれない一つの原因は、知識経済(knowledge economy)の発達があげられる。1980年代以降、高学歴が高収入に結びつくようになり、1960年から2000年で大学あるいは大学院へ進学する若者の割合は倍増。
いい職業につきたければ、学歴が必要。しかし、それには時間がかかるというわけだ。

もう一つの原因は、デジタル革命だ。
今や、若者のあこがれの職業は刺激的・創造的なものとなり、熾烈な労働市場で生き残るためには、大学・仕事・インターンシップを行きつ戻りつ、常にレベルアップをしていかなければならない。

仕事についてからも、転職を繰り返し、あるいは国内だけでなく国外へも出て行かなければならない。

つまり、仕事が単なる「キャリア」にとどまらず、もっとパーソナルなものになり、自分の才能や情熱を表現する場となったのである。

仕事選びは自分探しと直結し、「職業」=「自己のアイデンティティ」となった。

アイデンティティの確立に忙しい若者にとって、家庭を持つことは優先順位の上位には来ない。


昔は、貧困層や移民の若者に思春期を楽しむゆとりはなかった。
彼らはすぐに労働市場へと出て行ったからである。

しかし、経済成長とともに、4年間の大学教育を受けられる富裕層が増え、「大人の一歩手前」で止まったままの若者向けの市場は急成長。
20歳をすぎても自分の趣味の世界に没頭する彼らのライフスタイルはむしろ推奨される。

昔は、女は子育てをし、男は家族を養うというライフサイクルがあり、それに従えば自然に大人になれたが、現代の若者は、自分たちが次にすべきことがわからない。

結婚や子育ても様々な形態があり、型にとらわれる必要はないし、そもそも、そんな面倒なことをやらないという選択肢もある。

1970年に25歳〜29歳の未婚率は16%にすぎなかったが、今や55%に上り、アメリカ人の初婚年齢は30歳を超えた。

結婚して家庭を持つということは、キャリアと自分探しのためには足かせでしかない。

しかし、将来に対する不安にさいなまれ、"quarter-life crisis"(二十代の危機)に直面する若者が多いのもまた事実である。

仕事一筋で家庭を顧みない夫というのは、長く女の悩みのナンバーワンであったが、実は、男もそれを決して望んではいなかったということが、現代の大人になっても好きなことをして暮らしている男たちを見ているとわかる。

「大人の一歩手前」で止まったままの男たちの出現は、男の社会的役割が不安定になっていることの現れであろう。

女は肉体的に大人になれば精神的にも大人になれるが、男はそう簡単には大人になれない。

男が大人になるためには、数々の試練をくぐりぬけ、テストに合格しなければならないのだ。

つまり、自分は女にとって頼れる存在で、女・子どもを養う能力があるよ、ということを証明しなければならない。

しかし、女も男と対等に働く時代にあって、それは簡単なことではない。

しかも、男は強いだけではいけない。

職場で威張り散らしてはいけないし、自信満々なところを見せつけてもいけない。

男たるもの、繊細でなければならないのである。

そして、彼らのロールモデルである先輩たちもまた、家事には疎い独身男であるのが現実。

これではいつまでたっても「大人の一歩手前」で止まったままでいるしかない。


独身男というのは、従来、結婚した男に比べて、問題を起こしがちで、また、社会的成功率も低かった。

ビールの空き缶で足の踏み場もない散らかり放題の部屋に女性を招き入れ、女性を性欲のはけ口として扱う男性がいても驚いてはいけない。

自分のつき合っている男がそういうタイプの男だったとしたら、女はしばらくは様子を見るだろう。

しかし、そのうち、結婚して家庭を持つ夢をあきらめるか、結婚することはあきらめるかわりに、面倒な男の世話なしで家庭を持つために精子バンクに行くかもしれない。

そうすると、ますます男たちが大人になる理由がなくなる。

だって、どっちみち、必要とされていないんだから。

だから、男たちは今日もビールを食らうしかない。

(以上、Where Have the Good Men Gone? - WSJより、Victoriaが抄訳しました。)

なお、このエッセイは

Manning Up: How the Rise of Women Has Turned Men into Boys

Manning Up: How the Rise of Women Has Turned Men into Boys

の内容の要約だそうです。
詳しい内容が読みたい方は、3月1日に出るようですので、お買い求めになられてはいかがでしょう?

ウォールストリートジャーナルを見ると、このエッセイにたくさんのコメントが寄せられております。
2月24日現在で1351件。
ちょっと拝見してみたところ、男性のコメントが多いですね。
しかも、ほとんど皆さん怒っておられます。

「オレたちが、大人になりきれてないだと?」という怒りを率直にぶつけたコメントが多く、「結婚しないライフスタイル=大人になれない男」という説がいかに間違っているかと言うことを縷々書き連ねておられます。


やっぱり、男性は、女性に「あなた達ってコドモね」って言われ慣れてないので、プライドが傷つくんでしょうね・・・

女性は、ずーっと昔から「女子供」ってひとくくりにされて、さんざん男性にバカにされるのに慣れてるから平気だけどね・・・

ものは言いようというか、人生達観して早く大人になっちゃって、逆に結婚生活に夢が持てなくて独身を貫くっていう説もありなんじゃないかと、Victoriaは思ったりなんかもしますけど・・・

コンビニ行けばなんでもそろっているから、別に家族がなくても暮らしていけるしね・・・

・・・
ということで、Victoria、必ずしもこの著者の言うことに賛成ではないんだけど、ただね、この一言だけは声を大にして言いたい。

「まったく、いい男たちはどこへ行ったんだ?」

Victoriaでした。

<あとがき>
2月25日WSJ日本版に、この記事の抄訳がアップされていました。
http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/02/25/%E3%81%84%E3%81%84%E7%94%B7%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%9F%E3%80%80%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%A3%E3%81%BD%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%B1%B3/