ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (16) 新約聖書の成立

こんにちは。Victoriaです。

2011年11月13日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、

今回は、新約聖書成立のお話。


さて、ここまで、
何人かの宗教の教祖と呼ばれる人たちを見てきたけれども、
共通しているのは、




教祖は本を書かない。




お釈迦様は何も書かなかったので、
死後、仏典結集がされたし、



宗教の教祖ではないけれども、
ソクラテスだって何も書かなかったので、
彼の考えていたことをまとめるのは、
弟子のプラトンの役割。



孔子の教えも、
弟子達が「子、曰く・・・」という形でまとめたもの。




ということで、
今回登場する、イエスもやっぱり、
教えを書き残したのは、他人だったというお話。




たぶんね・・・
教祖と呼ばれるような人たちっていうのは、
いわゆる布教活動に忙しくて、
一人でシコシコ文章書いてるヒマなんてなかったからだと思う・・・



エスの教えを読むと、
決して抽象的な話はしてない。



エスが語りかけてる相手は、
ものすごく個別具体的な人で、
一人一人の抱えるものすごく具体的な問題に関して、
かんでふくめるように解決策を教えてて、
だけど、内容が具体的であればあるほど、
多くの人にあてはまる普遍的な問題であったりするわけで、
結果として、どんな抽象的な言葉で語りかけられるよりも、
説得力があるっていう・・・



だから、
日々、悩み相談を受けるのに忙しく、
一冊、ハウツー物を書いて終わり!
あとは、みんな、ボクの書いた本を読んでね〜

なんてわけにはいかなかったはずで、




それに、教祖っていうのは、
何を言ったかっていう言葉より、
その人の存在そのもの、
その人が発するオーラがハンパなくて、
そのエネルギーを分けてほしくて人が寄ってくるものだと思うから、
たとえ、生前、本を書いたとしても、
やっぱりじかに声を聞きたいって人々は言ったと思うし・・・



・・・

さて、イエスに仕えた人々には、
3つのグループがあって、

エス自身はアラム語を話していたが、
パウロギリシア語を話したので、
パウロがやったことは、
エスの名を使いながら、ギリシア語で宗教を作っていったようなもの。



新約聖書の成立は、
AD60年〜90年代。


この頃になると、パウロの教えに分派がでてきたので、
ちゃんとしたものを作る必要に迫られたためで、
このあたりは、
お釈迦様の死後、分裂を繰り返し、
数々の教典が作られた仏教と事情は似ている。





新約聖書の4つの福音書のうち、
ヨハネは上記のグループのうち、
2番目のイエスに愛された弟子の影響を受けているが、
あとの3人、すなわち、マルコ・マタイ・ルカは、
パウロの影響を受けているので、
ヨハネ書だけはちょっと他と雰囲気が違う。



ちなみに、
キリスト教の世界でも焚書坑儒というのがあって、
正式に認められなかった福音書は消されてしまったのだけれど、
それが最近になって見つかったのが、
ナグ・ハマディ文書である。




・・・


新約聖書成立前のキリスト教は、
プラトンの考えに近い「善悪二元論」というのが出てきていた。
つまり、神様には、
よい神様と、悪い神様がいるということ。


たしかに、
ゾロアスター教の影響を受けて成立したセム一神教であるユダヤ教には欠点があり、
世界は全知全能の神がお創りになったもので、
いつか必ず最後の審判が下されるという教えなんだけど、
それだと、じゃあ、なぜ、世の中には悪がずっとあるのか、

全知全能の神はなぜ悪を許しているのか、ということの説明がつかない。



それで、出した答が、


最後には神様が勝つ。



つまり、今すぐには解決できないかもしれない問題を、
時間軸で解決しようとした。



そのあたり、
いろんな考えが出てきてぐちゃぐちゃしてきたので、
ここらでまとめようということで、
新約聖書の成立となったという・・・




結論 : 何事にも教科書は必要!





Victoriaでした。

生命保険


・・・
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