クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 

こんにちは。Victoriaです。

さて、先日、
この記事(田中周紀 「国税記者 実録マルサの世界」 (5)クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 - Victoriaの日記)を書いたところ、
渦中の八田隆氏からメッセージをいただきました。



これです→#検察なう (96) 「ブログで応援されちゃいました」 1/30/2012 - 「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン



八田隆さま、ありがとうございます。



そして、同じ日(2012/01/30)付で、
このような記事、発見→クレディ・スイス「国策捜査」の真実:日経ビジネスオンライン



国税記者 実録マルサの世界」の著者、田中周紀氏が、
日経ビジネスオンラインに寄稿したもので、
内容は、「国税記者 実録マルサの世界」に書かれていたことをほぼそのまま載せているので、
関心がおありの方は、ぜひご覧ください。

国税記者 実録マルサの世界

国税記者 実録マルサの世界





この記事によると、
田中周紀氏が本書で予言していたように、
東京地検特捜部は、12月7日に八田隆氏を所得税法違反の疑いで告発。




2010年2月に査察部の告発を受理してから処理するまでに1年10カ月もかかり、
もしや、国税局査察部が告発した事案でありながら、受理した検察が起訴に持ち込めなかった最初のケースになるか、とも思われたけれども、
最後は独自に見つけ出した証拠によって何とか在宅起訴に持ち込んだ。




やっぱりね・・・
連戦連勝で来たチームが、
自分たちの代で連勝ストップってことになると、
歴史に汚点を残すから、
何が何でも避けたかったんだろうね・・・





それで、
「検察が独自に見つけ出した証拠」
なんですが、




これなんだそうです。




ここだけはぜひご覧いただきたいので、
ちょっと引用させていただくと、




>> 「ストックオプションの権利を行使する際に、契約書に書かれたいくつかの選択肢を選んで署名したのだが、選択肢の中に『会社が源泉徴収している場合に限り、以下のどれかを選べ』というものがあり、私はその設問自体を斜線で消していた。そこに斜線を引いたのは、契約書の書き方についてシンガポールにいる経理部の社員に電話で聞いた際、そうするよう指示されたからだ。内容は全く読んでいなかった」 (以上、八田氏の発言から)<<




いやいやいやいや〜〜〜〜〜
なんなんですか、これは???




検察の主張では、
「会社が源泉徴収している場合に限り・・・」っていう文章を消してるってことは、
会社が源泉徴収してるってことを認識してた動かぬ証拠だっていうんだけど、





ホント、こわいわね・・・




契約書にハンコを押すのは慎重にしろっていうけど、
安易に斜線すら引いちゃいけないんだ・・・




八田隆氏には、
ホントに、ご愁傷様でしたとしか言えないんだけれども、





それでね・・・




なんでこんなわけわかんないことになっちゃったんだろって考えてみたんだけど、




これは、
国税庁というところが、
グローバル化から最も遠いポジションにいる官庁のひとつだからなんじゃないかと思ったのね。





文部科学省ですら、
グローバル化に対応し、世界に通用する若者を育てるために」
というお題目の下、
小学校の英語必修化をごり押ししたっていうのに、




グローバル化」を体現した八田隆氏のような人材が出てくると、
そういう人たちの行動が全く理解できず、
古き日本のムラ社会で典型的に起こる脱税のパターンで事件を読み解こうとする。





海外に口座を作るのは、
脱税するのが目的だって?




ホントにグローバル化しちゃった人っていうのは、
どこに住んで、
どこの学校に子どもをいれて、
どこでバカンスを過ごし、
どこの銀行を使うかっていうようなもろもろのことを、
国境なしで考えちゃうわけで、





八田隆氏は、
その先駆者的ポジションにいるので、
やたら目立ってしまったんだと思うけど、
そういう人はいっぱいいるし、
徐々にではあるけれど、
進路を考える時、
最初から日本とかアメリカとか国を決めるんではなくて、
自分のやりたいことができるところが自分の居場所、みたいな感覚で、
アフリカとか中東とか、
普通のおじさんには理解できない国の大学へ入学しちゃう高校生も実際にいて、







彼らはきっと日本の銀行に口座開かないと思う。




だって、不便だもん。




だから、
クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件は、
グローバル化に乗り遅れた日本を象徴するような事件で、





だいたい、
事件の発端をつくったクレディ・スイス証券は、
なんのおとがめもなしなわけでしょ?






源泉徴収なんて、
外国人には理解不能なシステムを運用していこうと思ったら、
日本の会社オンリーが対象になるのはわかる気がするけど、





これだけ、外資で働く日本人が増えているのに、
それに対する対応が実は近所の商工会議所の税務相談のレベルにも達しておらず、
知ってる人間のほうが少ないっていうのは、
明らかに制度設計に問題ありっていうか、




今までもきっと個別対応でのりきってきたんだろうけど、




いちいち、追徴課税だなんだってコストかけて徴税してるんじゃ、
そろばんあわなくねー?





こないだ、たまたまアマゾン税の話を見たんだけど(アマゾン税 - Victoriaの日記)、
これだけでかい商いしてるアマゾン社から、
いまだに法人税もとれないなんて、
日本の国益を損なっているとしか思えない・・・






・・・ということで、本日の結論 :





日本の税法も、
グローバル化するべきだと思う・・・







ということで、
八田隆氏がわけわかんない事件にまきこまれてしまったことに、
何か建設的な意味があるならば、
ここなんじゃないでしょうか?






長く世界を舞台に活躍なさってきた八田隆氏には、
この際、捨て身の覚悟で、
国税庁グローバル化の何たるかを見せつけていただき、
ひいては、
日本政府は誰からどうやってお金を取るのかという、
根本的な改革にまで切り込んでいただきたい・・・





国民が外国で働いて得た収入に対して、
どうやって税金をかけるかっていう問題に、
諸外国はどう対応しているのでしょう・・・???





まずは、
あのクソわかりづらい税法を、
誰にでも読める、スッキリした文章に改めるところから、
始めていただきたいわ・・・






Victoriaでした。


・・・

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」バックナンバーはこちらです。

田中周紀 「国税記者 実録マルサの世界」 (5)クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 - Victoriaの日記