言葉の暴力 (2)
こんにちは。Victoriaです。
さて、
「言葉の暴力」と題して、
先生の言葉に傷ついている生徒の話を書いたところ→言葉の暴力 - Victoriaの日記
早速、メッセージいただきました。
ナツメさま、
ありがとうございます。
ナツメさまも、
子どもの頃、言葉の暴力を受けたご経験があるとのこと、
その経験をまとめてくださいましたので、
ここにご紹介します。
>>「言葉の暴力」――と言われますと、かなり古い話で、じっさいに何を言われたのか正確には思い出せませんが、あのころの自分は、教師から一種の「暴力」を受けていたのかな、と思い当たるような、痛い思い出があります。
(仮題)コンプレックスを消化できずに生徒にぶつけるような教師は、教師になる資格がない。
小学校二年〜四年まで、近所の「○○音楽教室」みたいなところで、ピアノレッスンを受けていました。私は、そこで私を担当してくれるピアノ教師(女)が大嫌いでした。
仮に彼女をY先生としましょう。
今にして思えば、Y先生はあまり美人ではありませんでした。大柄で、目鼻立ちがはっきりしていて、良く言えばモデルさんみたいなのだけど、当時の言葉でいうと「美人というより個性的」。頬のふっくらした小柄な着物美人がもてはやされた時代に、三白眼で頬骨の張ったいかつい顔の、ハイヒールの似合うスレンダーな女性であるY先生は、イケてない人だったのです。
(1) 子供が嫌う教師は、生徒に向かって言う事と、自分がしていることが違っている。
外見はともかく、Y先生は厳しい先生でした。
「生徒が悪いから怒る」というだけなら分かるのです。しかし、…生徒に対して言ったことを、ご自身は守っていないから、生徒の側でも疑問を持ってしまうのです。
たとえば、ピアノを習い始めるとき、たいがい注意されることだと思いますが、「指は丸めて、卵を握るように鍵盤を指先で押す。爪は、鍵盤に当たらないように短く切っておく」というのがあります。
Y先生は、ピアノの鍵盤に向かうとき、指は真っ直ぐ伸ばしていました。爪はいつも長くして、伸びた爪を隠すためでしょうか、真っ赤なマニキュアを塗っていました。
(2) 子供が嫌う教師は、子供が見ても格好が悪い。
そうです、Y先生は、いつも化粧が濃く、真っ赤な口紅を塗り、指の爪先を整えてマニキュアをしていたのです。ついでに言うと、髪型はくるくるカールさせて肩に垂らし、ちょっと少女趣味でした。似合っていれば可愛いのだけど、化粧はともかく髪型は全然似合っていなかった。
思えば、Y先生は、当時としては嫁に行く年齢を過ぎても貰い手がなくて焦っていたのかも知れません。あるいは「嫁になんて行けなくても、私はピアノ教師として自活できる女になるのよ!」と頑張っていたのかも知れません。
(3) 子供が嫌う教師は、教えている教科について、そもそも不勉強である。
とにかく、Y先生は、良く言えば「厳しくて熱心」な教師でした。けれども、生徒である私にとっては、「怒ってばかりで嫌な先生」でした。ちなみに、小学生だった私にも分かる程度に、Y先生は「先生とは思えないほど、ピアノが下手」でした。
実のところ、私は自分が弾くときこそ下手ですが、親がクラシックのレコードを沢山持っていてよく聴く人たちだったし、学校でも音楽の教師が優秀だったので、かなり耳は鍛えられていたのです。
ちなみに、嫌なことに○○音楽教室の中で、Y先生の隣の教室で教えるもう一人の女の先生は、Y先生よりも明らかに数段ピアノが上手く、そして、当時の流行に沿っていわゆるところの「可愛い美人」(しかも朗らかでフレンドリー)だったのです。
…Y先生は、いったい何がしたかったのでしょう…
(4) 子供の嫌う教師は、そもそも教える技術が不足しているのかも知れない。
最近、「褒めて伸ばす」ということがよく言われますが、当時の風潮でしょうか、相手が子供だろうと大人だろうと、人にものを教えるときには「悪いところを叱る」ことが普通でした。
というわけで、Y先生は、「良いところが一つもない」生徒であった私を常に叱りました。私は、ピアノを見るとY先生の怒声や怖い顔を思い出して吐き気がしたので、家でもピアノに向かわなくなりました。楽譜にも、Y先生の殴り書きが書いてあるので、習ったページを開かなくなりました。
練習をしないので、レッスンに行けばまた叱られ…毎週、その悪循環でした。
そして、ある日とうとうY先生は言いました。「やる気がないのなら、ピアノなんか辞めなさい!」
(5) 子供の嫌う教師は、相手が子供であっても、クライアントなのだということを理解していない。
Y先生のレッスンのたびに、背中にびっしょり脂汗をかき、彼女のレッスンが嫌で嫌でたまらなかった私は、これ幸いとばかりに、母に報告しました。
「Y先生から、『ピアノ辞めなさい』って言われちゃったー♪」
そこで、母はY先生に事の次第を説いただし、彼女と相談の結果、ピアノレッスンを辞めさせてくれました。
逆説的ですが、Y先生のピアノレッスンに通わなくなって暫くしてからは、もともとピアノが嫌いでなかった私は、喜んでピアノに向かうようになり、その結果、少しずつですが上達しました。
自己流ですが、いまでも少し弾けます。
…ほんとに、Y先生は、何がしたかったのでしょう。…
今だから言えることですが、Y先生は、何よりもピアノ教師としての「プロ意識」に欠けていたのだと思う次第です。
蛇足ですが、「暴力」といえば、Y先生は私の手をよく叩きました。手を叩かれたことよりも、Y先生の振り回す竹製の「ものさし」や、四白眼に近い眼差しと怒声が怖かったです。
(やはり、そいうのも暴力のうちなんでしょうね。)<<
やっぱり、
身もふたもない言い方というか、
生徒にとって逃げ場がない言い方しちゃうと、
言われた方は追い詰められてしまって、
いろいろと不幸な結果を招くので、
そうならないように、
周りの大人が気をつけなくちゃいけないと思うんだけど、
教室で何が起こってるかは、
当事者しかわからないから、
むずかしい。
子育ては、
危険がいっぱい・・・
Victoriaでした。