ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 5 (47) クビライの国家構想 三つの柱

こんにちは。Victoriaです。

2012/12/02 京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長に歴史を学ぶ 13世紀の世界」講義録のまとめ、
今回は、「クビライの国家構想 三つの柱」










さて、
今回から、
1260年のクーデタ、
1266年の幻のクリルタイを経て、
モンゴル帝国を手中にしたクビライの経済政策について見ていきますが、









その前に、
クビライの国家構想についてまとめておきたいと思います。









これを知っているのと知らないのとでは、
ここから先の話の納得度が違うと思うので。










教科書は、
杉山正明「クビライの挑戦」。












結論から言うと、
クビライの国家構想には三つの柱があって、










1 草原の軍事力
2 中華の経済力
3 ムスリムの商業力









さらに、
この構想の初めから、










陸と海をリンクさせたユーラシア大交易圏










をめざしていたという。










モンゴル帝国は、
なんとなくできあがったわけではなく、
緻密な計画に基づいてつくりあげられた人工的な大帝国であったわけである。











三つの柱を、
図式化してみました。

相変わらず、
わかりやすいんだか、わかりにくいんだか、
いまいちな図で申し訳ないです。













なので、
もうすこし言葉で説明させていただくと、










1 草原の軍事力




クビライが政権を奪取したのは、
圧倒的な軍事力、
なので、それを国家構想の根本におくのは当然として、
ただ、
それだけでは政権は長続きしない。










反対勢力をもねじふせる、
もっと圧倒的に強力なものが必要、









それは何か?









答 : 富









ということで、
登場するのが第二の柱、










2 中華の経済力










モンケの時代までは、
モンゴルの経済政策は、
統治ではなく、










収奪。










力でねじふせて奪ってくるというスタイルだったんだけど、
それでは巨大な帝国を維持することはできない。











モンゴル帝国の大カアンたるもの、
帝国の人々に繁栄をもたらし、
常に人々に富を還元するしくみをつくりださなければならない。











そのために必要なのは、










国家行政機構と財政基盤の確立











中国にはそれがあった。










中華帝国の本質は、

  • 莫大な軍隊と官僚体制、
  • それをささえるための地方組織という名の徴税機構
  • 人事の中央管理
  • それらをたばねる巨大な中央機構と巨大な首都









ここで、
思い出していただきたいことは、
1260年、
クーデタを起こした時のクビライはすでに46歳。
それから実に35年にわたり、
クビライは帝王として君臨するわけだけど、











その時点で、
80歳まで生きるとか、
予測がつかなかったんじゃないか。










だいたい、
あれだけむちゃくちゃしてて、
何か起きないほうがおかしい。









なので、
目と鼻の先に、
すでにできあがった国家=中国があったら、
手っ取り早く取って来ようと思うのが当然で、
だから、
クビライは南宋を何が何でも取りに行くわけだけど、










馬に乗ってぴゅーっと自由な風にふかれてるモンゴルの人たちにとって、
人民を管理する組織とか、
最も苦手とする分野だったと思うし・・・








餅は餅屋、









えーかげんな男が、
きっちりした女にほれるのと同じ原理ね・・・









それで、
軍事(モンゴル)と経済(中国)をひとつにすれば、
それでいいかというと、
どっこいそうはいかない。









草原を骨、
中華を肉とすれば、
それを循環させる血が必要で、
それはつまり、












物流。













やっぱり、
富というのは蓄積するだけじゃだめで、
循環させなきゃ、










回して回して、
動かすからこそ、
世の中が活性化するのであって、











そこで登場するのが、











3 ムスリムの経済力










らくだの隊商で、
チンギス・カンの時代からユーラシアを行き来していたムスリム商業勢力を、
国家機構の中に取り込んでしまおうということで、











循環させるお金として登場したのが、









銀。











ということで、
ここで出口社長のレジュメにようやく戻ってくるわけですが、
(クビライのグローバリゼーション その2のレジュメは銀のお話です)










これこそが、
クビライのグローバリゼーションの神髄で、










ユーラシアが、
いろんな勢力で分断されていたとしても(統治者が違ったとしても)、
物流はそんな境界線(国境)をやすやすと越え、
流通のシステムを握ったクビライに莫大な富をもたらすわけである。












あまりにも完璧な国家戦略で、
ぐうの音も出ない・・・













てゆーか、
これから、
リーダーをどっかから連れてくる時には、










クビライのDNAを持ってることを条件にしてはいかがでしょう・・・???












ということで、
本日のまとめ :








モンゴル帝国=遊牧世界+農耕世界+海洋世界










Victoriaでした。


・・・


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ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part5 まとめ - Victoriaの日記






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