センター試験の功罪

こんばんは。victoria007です。

勉強って難しいわね。

ただ、大学受験指導を始めて20年以上たつので(おおっ、改めてそんなに長い間同じことを繰り返してきた自分に驚き!)、受験に成功する方程式ならいつどんなときでもすらすらと言うことができます。

例えば、まじめな生徒が「一年間がんばって、上を目指したいんです」と言ってきたら、こう答える。

朝、起きたら、朝勉する。
(できれば前日のうちに、朝起きたらまっさきに勉強するものを決めておいて、机の上に出しておくとよい)

学校では授業に集中し、自習時間とか休み時間とかもすることを決めておいて、細切れ時間を有効に使う。(英単語などはこういう細切れ時間を利用して覚えるのが効果的)

学校が終わったら、寄り道しないでまっすぐ塾の自習室に行き、その日のノルマをたんたんとこなす。
疑問点があったら、すぐに質問してその日のうちに解決する。

夜はまとまった時間がとれるので、じっくり考えるタイプの勉強にあてる。
(英語の長文読解とか、数学などは、静かに集中できる時間帯がよいので、家族の寝静まった後の時間がオススメ)

土日は、模試の受験や、その復習などにあて、弱点を洗い出して、次の一週間の予定を立て直す。

ノルマは一週間単位で回し、特定の科目だけに偏らないように心がける。

こういう生活を一年間送れば、まず、間違いなく志望校に合格します。

もちろん人によって得意不得意があるし、生まれつきの能力も違うので、こういう生活をしたから、全員が偏差値トップクラスの大学に合格するわけではないけれど、いったん身についた基礎力というのは絶大な力を発揮するので、受験大学を慎重に選べば、必ず合格通知が来る。

もし、淡々とノルマをこなす能力だけでなく、人一倍負けず嫌いの性格の持ち主なら、受験では相当有利になる。

大学受験はやることが決まっているし、いっしょに戦う相手がしょせん同い年の高校生なので、人よりももっとやってやるっていう気持ちが成績に如実に現れるわけです。

ただね、この方程式通りの生活を長く送れば送るほど、人間的な幅が狭くなることも事実。
「大学入ってしまえば、何でも好きなことできるんだから、それまでのがまん」
ってみんな思うんだけど、18歳までの生活で体にしみついたものって結構頑固なのよね。

私立6年制に行ってる生徒は、だいたい小学4年生から、この方程式通りの生活してることになるから、大学に入学するころには、かれこれ10年間、勉強中心の生活を送っていることになる。

学校帰りは塾に直行するために、お母さんが車でお出迎え。
帰りが車だから、朝も車で校門まで送ってもらう。

夜は塾のはしごするために、車の中でお母さんの作ってくれたおにぎりをほおばる。

子どもが何人かいると、お母さんは塾の送迎だけで、毎日2〜3時間、とられてしまう。
一番下の子が大学に入学するまで、お母さんは家族の運転手を務めることになる。

子ども3人を大学にいれるまで、足かけ20年近く、毎晩車であちらの塾、こちらの塾と走り回ったお母さん達を何人も知っています。

でもねえ、人生って難しいわよね。

明確な目標を決めて、ひとつひとつステップアップしていくっていうのも、確かに一つの方程式ではあるんだけど、それは到達目標が具体的で明らかである場合にのみ有効なわけで、例えば、これからの世の中、どんな職業が一番社会に求められていくのか、みたいな問題は、なんとなく世の中の流れに身を任せていく生き方をしている人のほうが答えが見えやすいっていう面もあるわけでしょ?

小4からまじめにこつこつと勉強を積み重ねてきた親子が最終的に出す結論で一番多いのが「医学部」っていうのは、だから、すごく合理的。いったんこの世界と決めたら、ぶれる心配がないから、目標達成型の人間にとっては、安心して努力できるんだと思うのね。

でも、世の中、いいお医者さんさえいれば、安心ってことではないでしょ?
医学以外の分野では、もっと、いろんなところをうろうろして、行き当たりばったりな人間が、ここ一番で発揮する底力みたいなのが必要なことも多いと思うのよね。

今の大学受験を見ていると、よく似たタイプの生徒ばっかり量産しているようで、ちょっと心配。
大学受験のテクニックも研究しつくした感があって、日本中の高校生が同じやり方で勉強してる。
しかも、センター試験利用する大学がさらに今年も増えたわけでしょ?

センター対策の勉強なんて、ほとんどの生徒が今は東進のDVDを見て勉強してるから、使ってる教材だって同じだし。

そろそろ、センター試験はやめたほうがいいんじゃないだろうか?

あまりにも便利なので、ほぼすべての大学が利用してるけど、センター試験のせいで、日本中の大学が同じ試験でランク付けされ、高校生はランクの上から順番に受かった大学を選ぶだけになっている。

人生これからっていう時に、テストの点数だけで進路を決めてしまって、ある意味、自分の進路に対して思考停止状態になるのって、よくないと思う。

高校生だって、今自分たちがやってる勉強なんて社会に出たら役に立たないってわかっているし、おもしろくもなんともないって思いながらやってるわけ。もうちょっと、教えるほうも、習うほうもわくわくするような勉強が受験に活かされるようにできないものかと、切に思います。

こんなこと思うの、私だけでしょうか?

victoria007でした。