神に誓った愛
おはようございます。victoria007です。
百人一首を改めて読んでいて気づいたのですが・・・
なんと、カップルで選ばれている方々がおります。
この方たちです。
あひみての のちの心に くらぶれば
昔は物を 思はざりけり 権中納言敦忠
<歌意>
あなたと逢って契りを結んだ後の今の心にくらべると、逢う以前の恋しい思いは、物思いをしなかったのと同じようなものだったなあ・・・
忘らるる 身をば思はず ちかひてし
人のいのちの 惜しくもあるかな 右近
<歌意>
あなたに忘れられる私の身のつらさはなんとも思いません。けれども、いつまでもいっしょだよと神に誓ってしまったあなたの命が、神前で縮められはしないかと心配で心配で・・・
これはお二人が恋仲になり、初めて一夜を共にした翌朝の後朝の文(きぬぎぬのふみ。共寝した翌朝男が女に送る便り)だと、モノの本にきちっと書かれております。
現代でいうならば、一晩愛し合った翌日、恋人からもらったメールのようなもの。
そのようなものを公開してしまうとは、歌人というのはなかなか大胆な・・・
それでね・・・
まず、男性の藤原敦忠のほうですが・・・
もう、解説はいらないですよね・・・
プラトニックの愛がフィジカルな愛に変わったときに始まる苦悩を歌ったものでございます・・・
これはどなたもご経験済みなんじゃないかと・・・
そして、右近さま・・・
今回改めてよく読んでみて、この方、かなり女としてランクが上なんじゃないかと拝見いたしました。
まず、「あなたに忘れられたとしても恨みません」とジャブを入れるところが、非常に思い切りがよく、今までもつらい別れを経験してきたであろうことをほうふつとさせます。
そして、下の句。
ここで一気に神との誓いまで話が展開するところが、ものすごく衝撃的。
契りを結んだ男との縁を、神に問うあたり、きっとこの方、男に多くを求めず思いを内に秘めるタイプなんではないかと・・・
敦忠の歌のほうが思いがストレートに出ていて共感を呼ぶけれど、歌としての出来は右近には及ばないのではないか、というのがvictoria007の感想。
私も別れの時には、これくらいの境地に達していたいものだと・・・
victoria007でした。