吉村昭 三陸海岸大津波

こんにちは。Victoriaです。

明治29年、昭和8年、そして昭和35年。
青森・岩手・宮城の三県を襲った大津波の様子を、体験者の証言をもとに再現した書。

三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)

前例をみない大漁、海面にゆらぐ怪火、渇水する井戸水。
さまざまな予兆に気づきつつも、
「冬期と晴天の日には津波は来ない」
という言い伝えを信じて、逃げ遅れた人たち。

海水が海抜50メートルの高台まで届く様など、すさまじい津波の威力が、
すべて生存者の口から今、語られたかのような圧倒的な迫力で迫ってくる。

全部で200ページもない薄い文庫本なので、息つく間もなくあっという間に最後まで読んでしまった。

3.11の地震以後、

「このような津波は想定外」

という言葉を数え切れないほど聞いたけれど、

「ここにちゃんと吉村昭が書いているじゃないか」。

明治29年の津波経験者である早野氏の言葉で本書はしめくくられている。

津波は、時世が変わってもなくならない、必ず今後も襲ってくる。
しかし、今の人たちはいろいろな方法で十分警戒しているから、
死ぬ人はめったにいないと思う」

津波の恐ろしさを語った本書は、
小学校で全員に読ませる必読図書にすべきだと思う。

Victoriaでした。