ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (19)司馬遷を去勢して史記を書かせた武帝
こんにちは。Victoriaです。
さて、ライフネット生命保険の出口社長の講演会は、
再び中国のお話です。
紀元前221年、始皇帝が中国史上初の統一国家を実現。
それまでは、都市国家が郡立しそれぞれに諸侯が君臨するのが普通で、
次々と列国を滅ぼした始皇帝はその常識をくつがえし、
さらに、自らを第一代の皇帝、すなわち、始皇帝と名乗るイケイケぶり。
(ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (11)始皇帝はワーカホリックだった - Victoriaの日記)
中央集権体制を立をめざし、
思想統一のために、焚書坑儒を行い、
医薬・占い・農耕に関する以外の書物をすべて焼き捨て、
儒学の話をしたり、政治を批判したりする学者460人を生きたまま穴埋め。
それだけでなく、土木工事に熱をあげ、
万里の長城や運河・道路の構築、
大宮殿の造営などを敢行。
国をあげての大土木工事には人手がいるので、
膨大な数の農民が強制労働にかり出された。
彼らは、所定の日までに指定地に着けない場合には、
死刑にされるという厳罰が用意されていた。
必死に工事現場を目指していたが、
豪雨のため、道が寸断され、
このままではとうてい間に合わない・・・
そういう状況におかれ、
どうせ死ぬのなら、と秦に反抗することを決意した二人の男が始めたのが、
始皇帝の死の翌年のことである。
この時、反乱ののろしをあげようと仲間に呼びかけた陳勝の言葉が、
「王侯将相いずくんぞ種あらんや」
(生まれや家柄など、問題ではない、という意味)
この二人は結局、志半ばで死んでしまったが、
戦乱は各地にひろがり、
始皇帝の統一後、わずか15年で秦滅亡。
出口社長の一言 :
すぐれた皇帝の後は、すぐに滅んでしまうものである。
・・・
秦が滅んだ後、紀元前206年から202年の5年間にわたり、
次の政権をめぐって繰り広げられたのが、
「項羽と劉邦」は、
高校生の漢文の教科書には、必ず登場するので、
毎年、読ませていただいておりまして、
特に、「鴻門の会」では、
どこに項羽が座って、
どこに劉邦が座ったかっていう着座位置が必ずテストに出題されるので、
試験対策のたびに、部屋の見取り図を書いているため、
もう、手が位置を覚えております。
高校の漢文の授業も、
変なとこで細かいのよね・・・
結局、戦いを制した劉邦は、
漢の初代皇帝となり、高祖と称する。
しかし、彼自身は始皇帝の遺産を継承するだけで、
為政者としては何もしなかった。
戦争、戦争で民衆も疲れ果てていたことを知っていたからである。
出口社長によると、
漢というのは、中国史上はじめて南の国がヘゲモニーをとった帝国。
揚子江の南出身の彼らは、
もともと農民だったので、
めっちゃ、戦争に弱い。
だから、騎馬遊牧民である匈奴に攻められて苦戦し、
毎年貢物を送ってお金で平和を保つという、
弱腰外交に徹した。
漢の、紀元前180年から141年の、戦争がなかった時代のことを、
文景の治
という。
ちなみに、長い中国の歴史上、
戦争がない平和な時代というのは、
1 文景の治(漢 紀元前180〜141)
2 貞観の治(唐 627年 - 649年)
3 開元の治(唐 713年 - 741年)
4 清 満州国
の4回しかない。
・・・
前漢・後漢あわせて約400年の長きにわたって続いた漢帝国で、
宿敵、匈奴討伐に積極的に取り組んだのが、武帝。
見事、匈奴打倒を達成した武帝は、
中国の伝統である、泰山での封禅の儀式を行って、
天の神様に対して、中国を治めるのでよろしくという報告をしている。
匈奴遠征に活躍したのが、
衛青・霍去病(かくきょへい)の二人。
また、この戦いで匈奴に捕らえられた将軍李陵を弁護して武帝の怒りに触れ、
宮刑に処せられたのが、司馬遷。
宮刑っていうのは、去勢の刑。
それで、一度人生を捨てた司馬遷、
人生の残りを「史記」を書くことに捧げる決意をする。
「史記」は漢の時代に武帝に命じて書かれたため、
始皇帝のことがわざと悪く書かれているというわけである。
武帝は、漢の全盛期に50年間国を仕切ったわけで、
外征と土木事業に積極的に取り組んだが、
内政に関してはあまり功績がない。
武帝は大変な戦争好きであったことに加え、
お金を湯水のごとくつかって、女性に狂ったとも伝えられ、
国中を疲弊させてしまった。
武帝が疲弊させてしまった国内を立て直したのが、
宣帝。
一家が処刑されてしまい、
自身は子どものころに普通の市民として民間で育てられた経歴があるため、
民衆の実情を知っていたからできたことであろう。
・・・
ということで、本日の結論 :
ちょっと気に入らないからって、
あっけなく去勢しちゃうなんて、
武帝ってこわい・・・
Victoriaでした。
・・・
「ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ」バックナンバーはこちらです。
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (1)出口社長にはじめてお会いする - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (2)グレートジャーニーとビフテキの切っても切れない関係 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (3)ピラミッドから読み解く公共事業の本質 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (4)世界帝国には動物園を造れ - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (5)目には目を、歯には歯を - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (6)人間は40歳過ぎたら人工生命体 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (7)出口社長×Chikirinさん - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (8)インド=ヨーロッパ語族は血のにおいがお好き? - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (9)気候変動で歴史は動く - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (10)中国の易姓革命と酒池肉林の不都合な真実 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (11)始皇帝はワーカホリックだった - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (12) 中国の三大ワーカホリック - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (13) AD元年のGDP世界ランキング一位はインド - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (14) バビロン捕囚とダレイオス1世のグローバリゼーション - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (15)敵の大将をかかえる懐の深さを持ったペルシア - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (16)たった13年で世界帝国を築いたアレクサンドロス大王 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (17)アレクサンドロス大王の遺体強奪作戦 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (18)ハゲの女たらしカエサル - Victoriaの日記