ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (14) 王莽の簒奪
こんにちは。Victoriaです。
2011年11月13日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、
今回は、再び中国に戻って、新の王莽(おう もう)のお話。
中国では、
「易姓革命」の思想にもとづき、
禅譲あるいは放伐で王様がコロコロ変わるという話はすでに出たんだけれども、
(ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (11) 中国の本音=法家 VS 建前=儒家 - Victoriaの日記)
実際のところ、
秦から前漢まで、
全員、放伐、つまり、
武力革命
によって、のしあがった方達なわけで、
中国の歴史というのも、
相当血なまぐさい・・・
始皇帝については、
出口社長の前回の講義に詳しい→(ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (11)始皇帝はワーカホリックだった - Victoriaの日記)
・・・
さて、今回の講義の主人公は、
王莽。
王莽は、本来なら王位を継承できる人間ではなかったんだけど、
いろいろラッキーな偶然や画策などの積み重ねの結果、
めでたく王位に就くことに・・・
即位の時、王莽が言ったことが、
「オレ様は禅譲を受けている」。
血統は正当ではないかもしれないけど、
ちゃんと平和的に指名を受けていますということを言った。
まあ、だけど、後づけの苦しい言い訳にすぎない部分もあったわけで、
実質は、
簒奪(さんだつ)。
歴史的には、
中国の禅譲は、
王莽によって始まったことになっている。
・・・
めでたく王位についた王莽。
しかし、皇太后の伯母には頭が上がらない。
ある時、国のはんこを伯母さまのところへもらいに行った。
王になっても実印は伯母さまに握られているって、
なんか、どっかで聞いたような話だよね・・・
土地の登記簿なんかはおばあちゃんが握ってて、
ムコにはどうすることもできず、
みんな、かたずをのんでおばあちゃんが幸せに召される日を待ちかまえているんだけど、
90歳すぎてもかくしゃくとしてるとか・・・
さて、叔母さまのところへのこのことはんこをもらいに行った王莽、
伯母さまもなかなかのタマなので、
そう簡単には、大事なはんこを渡してくれるはずがありません。
テメェのことを、
正当な跡継ぎと認めたわけじゃねぇんだよ!ってことをわからせるために、
伯母さま、始皇帝の作った由緒正しき大事なはんこを、
投げつけた・・・
当然、投げつけられた時の物理的衝撃によって、
はんこは欠けてしまったわけだけど、
かえって、その「欠けた」はんこが正当性を主張するようになり、
なんと、そのはんこは、
宋の時代まで、代々の王様に引き継がれていったとのこと。
どんだけ、ものもち、ええねん・・・
日本人だったら、
まっさきに欠けを修復するとか、
はんこを新調するとか、するんじゃねぇーか???
・・・
さて、数々の障害を乗り越えて、
めでたく王位についた王莽、
簒奪者にはよくあることなんだけど、
自分に王の権利がもともとないことを重々承知していたため、
何か、世の中のためにいいことをしようと考えた。
汚い手をつかってがっぽりかせいだ方が、
そのうちのナンボかを寄附にまわして、
後ろめたさを軽減しようというのは、
洋の東西を問わず、真実のようで・・・
歴史的に、簒奪で王位を奪い取ったほかの方々、
みなさま、政治に精を出していらっしゃるから、
やっぱ、泥棒したっていう良心の呵責っていうのは、
続くんだね・・・
それで、王莽が何をしようとしたかというと、
何と、孔子の本に書いてある、いわば、中国の、
建前
を、すべて実践しようとした。
中国の本音と建前についてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (11) 中国の本音=法家 VS 建前=儒家 - Victoriaの日記
例えば、高句麗の名前を「下句麗」に変えようとしたり、
貨幣の名前を20年間に20回変えたり・・・
政策がうまくいかないからっていって、
名前だけコロコロ変えようとしたんじゃ、
それは、余計混乱するよね・・・
試験前に勉強が行きづまると、
やたら、部屋の模様替えをしたくなる心境と、
同じかしらね・・・・
そんなこんなで、
せっかく簒奪までして手に入れた王位だったんだけれども、
王莽一代限りで新は滅んでしまう。
とんでもない王だっていうことで、
王莽の評価はさんざんなんだけれど、
ただ、東アジアに冊封体制という秩序を作り上げたという点は、
最近になって、見直されている。
結論 : 教科書通りの政治をしようとすると、ヤケドする。
Victoriaでした。
・・・
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