東京ノアール (2) 太賀麻郎 ワーカホリック説
こんにちは。Victoriaです。
- 作者: 東良美季
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ついに、読み終えました、
「東京ノアール」。
最初に、業務連絡、よろしいでしょうか?
<イースト・プレス社さま>
本当にすばらしい本で、
息を詰めて一気に読んだんですけど、
ひとつ、欠点をみつけました。
本が重すぎて、
ソファに寝そべって読むことができない・・・
むりやりやろうとしたら、
腕が腱鞘炎になりそうだった・・・
・・・
さて、
全部読み終わっての感想 :
太賀麻郎はとんでもないワーカホリックである。
才能のある人のところには、
いっぱい仕事が舞い込んでくるものだし、
度量の広い人のところには、
たくさん人が集まってくるものだというのが世のならわしだけど、
そういうことを抜きにして、
単純に、
太賀麻郎さまって、
働き過ぎなんじゃねー???
働き過ぎの人によくあることなんだけど、
自分の体力的なキャパを無視してどんどん仕事引き受けちゃう人って、
案外、金銭的な損得勘定抜きでやってて、
太賀麻郎さまの場合もそうで、
もちろん、根っこのところではいろんな支払いがあるからやってるんだけど、
それにしても、
割のいい仕事、悪い仕事っていう仕分けってあるじゃない?
学生だって、バイト選ぶとき、
時給が悪い、
監督の目が厳しい、
定時でサッと帰れない・・・なんていろいろケチつけて、
わりに合わない仕事は行こうとしないものなのに、
入金もないのに、
何ヶ月も徹夜で働きづめとか・・・
ホント、
こんな調子で働いていて、
結核で2回入院したくらいで済むなんて、
よっぽど運がいいとしか思えません・・・
・・・
太賀麻郎をここまで働かせるインセンティブは一体何なのか?
その答は、ご本人が語ってくれていて、
太賀麻郎さまは、
一度、どえらいトラブルに巻き込まれ、
筋の悪いヤツににらまれて、
殺されかねないところまで行ってしまって、
バリへ逃げたことがあったんだけど、
早い話が、「夜逃げ」だから、
仕事すっぽかしてトンだのね。
バリで数ヶ月を過ごし、
ほとぼりがさめて、
日本に帰って来たとき、
不義理を働いた相手に早速わびの電話を入れている。
その電話で、ひとつ、仕事をもらってて、
やっぱ、おわびの電話っていうのは最高の営業だっていう、
営業の極意をここで学ぶんだけど、
その時の自分のことを、
太賀麻郎さまはこのように言っている。
基本的に悪さはしても義理だけは果たしたいイイ子ちゃんな俺。
ここで、ひとつ教訓 :
義理を果たすのもほどほどにしないと身がもたない・・・
・・・
それでね・・・
バリへ夜逃げ同然で逃げる時、
もちろん着の身着のままで空港へかけつけてるわけだから、
気の利いた荷物なんてものはなし。
航空券とゼニだけをポケットにねじ込んで飛行機に乗ってるわけだけど、
なぜか、その時、太賀麻郎の手には、
バスケットボールがひとつ。
えっ?
なんで?
なんでバスケットボールなの?
答 : 男だから。
ホント、
男って何考えてんだか、
わが塾の生徒でも、
部活やってる男子生徒はみんな、でっかいスポーツバッグ持参でやって来るんだけど、
こないだ、
「先生、書くモン忘れた。
シャーペン貸して〜」
って言うから、
「そのでっかいバッグに何入ってるの?
中、見せなさい」
って言って、
バッグを開けさせたら、
サッカーボール1個。
いえね、
サッカーボールが入っていても、
別に不思議じゃないわけよ、
カレは、寝ても覚めてもサッカーのことしか考えてない、
サッカー小僧だから。
だけど、朝から7限も授業があって、
同じ学校に通ってる女子はふーふー言って、
カバンを2個も3個も運んでるのに、
サッカーボールしか入ってないって、
テメェ、弁当箱はどうした???
彼のお母さんは、
いつも電話の声が超デカくて、
かかってくると教室中に声が受話器を通してギンギンに響き渡るんだけど、
わかります、
家での会話は100%怒鳴り声なんですね・・・
・・・
ということで、
太賀麻郎さまが、
しゃれになんない修羅場をくぐりぬけて、
ツレがどんどん消えたり消されたりして離脱していく中、
浮き沈みはあったにせよ、
決定的な傷は負わずに今まで生き抜いて来た秘訣は、
殺し屋からの逃避行のお供がバスケットボール
というセンスだと確信。
男の人にもいろいろあって、
持ち物にすごくこだわる人も多くて、
一泊の旅行でもキャリーバッグゴロゴロさせてるけど、
機能とか、
実用的な価値っていう側面からモノを見ていたら、
それは荷物が多くなって当然。
太賀麻郎さまが、
バスケットボールを持って飛行機乗ったっていうのも、
別にわざわざ選んで持ってったわけじゃなくて、
たぶん、たまたま目について、
なんとなく手にとってそのまんま持っていったってところが本当だと思うけど、
こういうのを、日本語では、
おおらか
という。
・・・ということで、本日の結論 :
おおらかは人生における最大の防御である。
太賀麻郎さま、
あのバスケットボールは、
結局どうしちゃったんですか???
どうせ、
バリの空港に着いた時には不要になって、
誰かにあげちゃったんだろうと思うんだけど・・・
Victoriaでした。
・・・
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