田中周紀 「国税記者 実録マルサの世界」 (1)マルサの正体
こんにちは。Victoriaです。
さて、なんとなくおもしろそうだなと思って読んでみた、
- 作者: 田中周紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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感想 : めっちゃおもしろい・・・
最初から最後まで、
どのページを開いてもめちゃくちゃおもしろかった。
テレ朝の国税担当記者として、
田中周紀氏が取材した脱税事件について、
背景や手口を詳細に書いたもので、
田中周紀氏ご本人もおっしゃっているように、
これは、
脱税の参考書。
脱税っていっても、
ピンからキリまでホントいろいろあって、
査察を受けたことで会社がつぶれてしまうケースがあれば、
何事もなかったかのように、というより、
ますます頑張って会社を大きくしていくケースもあり、
ホント、脱税もいろいろ・・・
本書のすごいところは、
国税当局の正体と題して、
一章まるまる使って、
国税局の組織や内偵調査の実態、
そして国税当局内で使われる隠語についての詳しい解説があることで、
読み終わったら、すごく物知りになった気がしてとってもお得。
まずは、国税庁と国税局の違いから話は始まり、
どういう経路をたどって昇進していくか、っていう、
エゲツない話なんか、ホント、読んでてワクワク。
そういえば、国税職員には、
23年以上勤務すると簡単な試験で税理士になれるっていう優遇措置があって、
税理士試験に合格した「試験組」から非難ごうごうだったらしいんだけど、
民主党政権になって、
退職後の顧問先斡旋制度が廃止されちゃって、
天下りができなくなり、
退職後の人生設計がシビアになったらしい。
そうなんだ・・・
政権交代ってのは、こんなところにも影響していたのね・・・
マルサで知られる「査察部」は、
有無をいわせず「ガサ入れ」するこわ〜いところだっていうイメージがあるけど、
家宅捜索には裁判所の令状が必要で、
かつ、嫌疑者を逮捕する権限はないけれど、
徴収官は、滞納処分のため必要があるときには、
令状なしで関係先を捜索できる、とか、
知ってる人は知ってることなんだろうけど、
初めて知った。
こんな知識が役にたつ時はまず来ないとは思うけど、
国家権力が具体的にどういう形で表されるかという話は、
いつ読んでもインパクトがある。
査察部には、内定調査する部門(ナサケ)と、
強制調査を実施する部門(ミノリ)があり、
両者はみごとなまでに分業が確立されていて、
同じ階にいてもお互い顔も見ないらしい。
国税職員は、
国家公務員法と各税法で定められた二重の守秘義務があるため、
とにかく上から下まで口が堅いことで有名で、
したがって国税記者は各報道機関の敏腕記者にしかつとまらないという。
その重圧が欲しくて、
みずから国税記者に名乗りを上げた田中周紀氏なので、
お書きになった本がおもしろくないはずがない。
私も、
数字に強く、
チームワークが得意で、
スタミナがあり、
口が堅く、
かつ、正義感の強い人間に生まれ変わることができるならば、
国税職員になりたい・・・って、
読み終わって3秒間くらいは夢想してしまったもの・・・
国税当局内で使われる隠語集っていうのが、またおもしろくて、
マーカーひきながら読んじゃったんだけれども、
例えば、「BS」は、脱税工作で不正に蓄財された資産のことを指し、
「PL」は脱税の手口を指す、とか、
事案が内定調査から強制調査に移されることを「嫁入り」と言うとか、
脱税者の愛人のことを「特殊関係人」と言うとか、
覚えたって何の得にもならないんだけど、
なんで、こういうことって、
たちまち暗記できてしまうんだろうか・・・???
Victoriaの「国税記者 実録マルサの世界」レポは、
まだまだつづく・・・
Victoriaでした。