田中周紀 「国税記者 実録マルサの世界」 (6)旧グッドウィルグループ脱税事件

こんにちは。Victoriaです。

国税記者 実録マルサの世界

国税記者 実録マルサの世界

さて、「脱税の参考書」である本書「国税記者 実録マルサの世界」、
最終章は「旧グッドウィルグループ脱税事件」。




2006年、折口雅博率いる人材派遣会社「グッドウィル・グループ(GWG)」が「クリスタル」を買収。
買収の仲介をしたのが、投資会社「コリンシアンパートナーズ」社長で公認会計士の中澤秀夫。




海外のペーパーカンパニーや最新の投資のノウハウを駆使した脱税手法で、





隠した所得64億5400万円、
脱税額19億3600万円。




2011年、中澤は懲役3年、罰金2億3000万円の実刑判決を言い渡されたが、
即日控訴している。


実刑判決が出た日のニュースはこちら→http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110715/trl11071519070007-n1.htm





本書には、
クリスタルをGWGに売る仲介をするだけで、
濡れ手で粟で383億円をせしめたスキームを始め、
これを元手に新たな儲けを企て、



「億円単位は仕事じゃない。数十億円から百億円の単位で初めて仕事」


と豪語する中澤が、
次々にあやしげな案件にとびつき、
最後はソチ五輪投資を手がけて玉砕するてんまつが、
それはそれは事細かに書かれているんだけど、






さっぱり理解できない・・・






法人税法違反の罪に問われているわけだから、
悪質な脱税工作とみなされたわけだけど、
これだけ規模がでっかくなってくると、
脱税うんぬんじゃなく、
手を広げすぎて収拾つかなくなった投資失敗談と言ったほうがよく、
そういうゼニもうけの才覚のない人間には、
複雑すぎてついていけません・・・






なので、この件はこれにて終了。






ただ、一カ所だけ、私にも理解できた箇所があったので
そこをつっこみたいと思います。






・・・


中澤は強制調査を受け、逮捕されるのではないかという恐怖感に駆られたとき、
海外逃亡を決意。




ただ、強制調査でパスポートを押収されているので
(マルサに入られるとパスポート取られちゃうんだ・・・)、
困った中澤は、
別れた奥さんに頼んで戸籍上再婚したことにして、
新しい姓でパスポートを取得している。




頼んだ時、奥さんは、



「逮捕されたあとに出す離婚届も用意してくれるんなら、
あなたが私の戸籍に入る形で婚姻届を出してもいいわ」


と言ったという。





ニュース報道では、
「中村秀夫」という名前になっているものもあるので、
もしかしたらいまだに離婚はしていないのかもしれない。





中澤はこの件に関しても、
旅券法違反の疑いで逮捕されており、
海外逃亡を助けた人物も犯人隠避の疑いで逮捕されているが、
本書を読む限り、
奥さんは無事らしい。





・・・


それでね・・・


もしも、私が奥さんの立場ならどうしただろうかとあつかましくも考えてみたんだけど、





一生のお願いや、
お前しか頼るモンおらんのや・・・
と言われたら、
助けてしまうだろうなあ・・・





彼らのスキームを見ていると、
とんでもなく、たくさんの人間を仲介させており、
日々刻々と情勢が変わっている感じで、
たった2週間かそこらで800億円のゼニが、
いくつもの口座を経由してこっちからあっちへ動いていたりするのね。





こういうのって、
相当頭が切れないとできない芸当で、
この仕事は○○さんへ・・・みたいなことが瞬時にできる、
人脈の厚みみたいなものも要求されるから、
人望のある人間にしかできないし、






別れた奥さんが、
電話一本で婚姻届出してくれるなんて、
なかなかマネできないことなんじゃないか・・・





・・・ということで、本日の結論 :




脱税する方って、
ホント、頭いいのね・・・





Victoriaでした。



・・・

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