大村大次郎 「決算書の9割は嘘である」 (2)朝日新聞が申告漏れ常連の理由
こんにちは。Victoriaです。
- 作者: 大村大次郎
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さて、「決算書の9割は嘘である」で、
元国税調査官の大村大次郎氏は、
国税調査官が決算書をどのように見ているのか、具体的な手法を紹介しているんだけど、
何よりもまず第一に見るべきものとしてあげられているのが、
株主構成。
株主構成によって、
「脱税しやすい会社」
「脱税をほとんどしない会社」
をふるいにかけ、
- どこかの大企業の子会社
- 銀行・商社などが大株主になって事実上支配しているような会社
をはずす。
基本的に、
国税調査官は同族会社しか税務調査先として選ばない。
実際、脱税をして摘発される会社のほとんどは同族会社らしい。
ここで、
株主構成が企業の決算書に影響している興味深い例が2つあげられているので、
ご紹介すると、
<赤字続きの楽天>
2003年度、2004年度と続けて赤字を出していた楽天の株主構成を見ると、
楽天の株の4割を創業者の三木谷氏とその関係者で占めていて、
実質、同族会社のようなもの。
従って、株主の機嫌を取る必要はないし、
ムリに利益を出して株価を引き上げる必要もないため、
悪い材料や、
損失に結びつくことは早めに決算書に出す傾向がある。
業績がいいにもかかわらず、赤字決算が続いた理由を具体的に見てみると、
企業買収した時に生じる「のれん代」をわずか3年間で償却していたからだった。
つまり、企業買収を行うごとに経費を増やし、
決算書上は赤字となっていたということで、
決算書を見る限り、
楽天は非常に保守的な会社だといえる。
大村大次郎氏によれば、
旧ライブドアも、設立当初は楽天と似たような株主構成であったため、
比較的健全な経営を行っていたが、
リーマン・ブラザーズが大株主になった頃から、
イケイケ路線を取り始めたらしい。
<申告漏れ常連の朝日新聞>
大村大次郎氏によると、
朝日新聞は申告漏れの常連。
過去、何度も申告漏れで国税局からの指導を受けているらしく、
たとえば、2008年3月期までの5年間で、
京都総局のカラ出張の架空経費など、
約5億円の申告漏れ、
追徴税1億3900万円、
重加算税2800万円也。
1億円の追徴税を課せられているので、
一歩間違えば脱税で起訴されていた!
脱税として起訴するかどうかの基準が、
1億円だという話は、
こちらに詳しい→大村大次郎 「バレると後ろに手が回る 脱税のススメ」 (2)脱税とはなにか? - Victoriaの日記
じゃあ、なぜ朝日新聞は告発を免れたのか?
さあ、なぜなんでしょう・・・?
・・・
朝日新聞が、
毎年のように、
脱税すれすれのアブナイ行為を繰り返している理由を読み解くカギは株主構成にあって、
実は、朝日新聞の最大株主は「社員持株会」である。
創業家の村山家と上野家の株を全部合わせても20%程度なので、
朝日新聞で一番発言力があるのは、社員。
しかも、朝日新聞というのは、
組合が非常に強いため、
社員を潤すことが最優先される社風。
朝日新聞の申告漏れに特徴的なのは、
架空経費など、主に現場の人間が行っているということで、
隠した所得は、
現場の人間が飲み食いで使っていたらしい。
普通、脱税というと、
経営者や役員が私的な蓄財のために行うものだけど、
朝日新聞の場合、
経営者や役員の蓄財はほとんどなく、
現場の人間の小遣い稼ぎとして脱税していることになり、
まるで、役所の不正経理そのもの。
う〜ん、
どうなんでしょう・・・
脱税ってゆーか、
ただ単に、
金遣いが荒いっていう話にも聞こえるけど、
それが、
積もり積もって5億円ね・・・
何、食ったんですか・・・???
みんなで食べちゃったんだったら、
いいんじゃないかって気もするけど、
でも、
そういう会社に、
脱税犯だと名指しで書き立てられる当事者の心境は、
複雑なんじゃなかろうか・・・
・・・ということで、
「決算書の9割は嘘である」の読書レポは、
まだまだつづく・・・
Victoriaでした。
・・・
「決算書の9割は嘘である」バックナンバーはこちら。
大村大次郎 「決算書の9割は嘘である」 (1)国税調査官の使命 - Victoriaの日記