ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (12) 神格化されたファーティマ朝ハーキムの謎

こんにちは。Victoriaです。

2012年7月14日、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長による「5000年史 Part4 11、12世紀の世界」の講義録、
今回は、「フランク人の東方侵略 その2 神格化されたファーティマ朝ハーキムの謎」。



今回は北アフリカチュニジアで興り、
カイロに移ってエジプトを中心に支配を行ったファーティマ朝のお話。






11世紀、
イスラム世界には、
アッバース朝
ウマイヤ朝(→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (11) ウマイヤ朝の滅亡 - Victoriaの日記
ファーティマ朝の3人のカリフが並存。








969年、
ファーティマ朝はエジプトに新都カイロを建設、
978年、
アズハル・モスクにアズハル学院を開講、
創立当初から、
すべての人に門戸を開くため、
入学随時・出欠席随意・修業年限なし、という伝統のもと、
プラトンアリストテレスなどギリシア哲学の研究が行われ、
世界で最初の成熟した大学と言われる。








第6代カリフのハーキム(在位996〜1021)は、
カイロに知恵の館(ダール・アルヒクマ)を建設、








知恵の館は、
バグダードアッバース朝が建てたものがすでに存在したが(830年)、
それと対抗する形で、
バグダードではなく、カイロがイスラム世界の中心なんだよということを強烈にアピール。









このハーキムという王様は、
数々の偉業のある名君だった一方、
奇行で知られ、









11歳という若さで即位したため、
最初は後見人がついていたが、
16歳の時、この後見人を殺害、
専制的な実権を握る。









イスラム教の戒律を厳しく守り、
一切の飲酒・音楽を禁止、
キリスト教の教会や修道院はすべて廃止して、財産没収。









また、
自分の身の回りにいる家来や同僚などを、
よくわからない理由でどんどん殺害。








モロヘイヤの食用を禁止したり、
ワインが禁止になったことにともなってぶどう園を破壊、
女性の入浴も禁止し、
禁を破ったものはどしどし処刑。








どうして女風呂が廃止されたの?
もしかして、においフェチだったとか・・・???








においフェチといえば、
あのナポレオンがそうで、
寝ているナポレオンの鼻先にくっさいブルーチーズを持って行ったところ、







「おお!ジョセフィーヌか!今夜はかんべんしてくれ!」






と寝言を言ったとか、








戦場から恋人への手紙に、







「今から帰るから、風呂にだけは決して入るな!」








と書いたとか・・・








王様になると、
女性もよりどりみどりになるので、
こういうちょっと変わった嗜好でもないと、
選びきれないのかしらね・・・







・・・


ハーキムは、
夜中にみすぼらしい服を着て、
街中をウロウロと徘徊する癖があったらしいが、









1021年2月13日の夜、
いつものように一人で砂漠を散歩していたハーキムは、
忽然と姿を消す。









捜索隊は、
短剣で刺した跡のあるカリフの衣服を砂漠で発見、
しかし、遺体はついに見つかることはなかった。






行方不明になったことで、
ハーキムは神格化され、








ハーキムはガイバに入ったのだと信じたグループが、
ドゥルーズ派を形成、
今も、
ハーキムが「復活の日」に救世主(マフディー)として再臨すると信じている。









ガイバとは、
最後のイマーム(指導者)が死ぬことなく隠れており、
いつか再臨するという考えで、
誰がガイバ状態にあるイマームかというのは、
シーア派の分派によって異なっている。









ハーキムは行方不明になった時36歳。
たくさん人を殺したり、
わけわかんない命令を出して人々を苦しめたりしただけでなく、
エルサレムにあるキリストの墓、聖墳墓教会(せいふんぼきょうかい)まで破壊してしまったというから、
キリスト教徒からは相当な恨みを買っていたに違いない。








ホント、
聖人と悪人って紙一重・・・








Victoriaでした。


・・・
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