瀬戸内寂聴「花芯」   好きになってくれなくても、ほかの誰も好きにならないでいてくれたらいい

こんにちは。Victoriaです。

さて、
今日はこれを読みました。

花芯 (講談社文庫)

花芯 (講談社文庫)

瀬戸内寂聴「花芯」。








瀬戸内寂聴さまが、
まだ晴美さまだったころにお書きになった情念どろどろの世界で、
「花芯」を発表当時、
「あまりにも子宮という言葉を多用しすぎている」と非難ごうごうで、
しばらく文壇から締め出されたという、
伝説の短編。










もしも、
気がついていらっしゃらない方がいるといけないので、
念のため申し上げると、









花芯=クリトリス









読んで、
びっくりしたんだけど、
これって、
現代のAV女優の物語そのものなのよ、
例えばこれとか。

名前のない女たち セックス依存症編 (宝島SUGOI文庫)

名前のない女たち セックス依存症編 (宝島SUGOI文庫)

中村淳彦著「名前のない女たち セックス依存症編」 (6) 生きる希望をなくした女 - Victoriaの日記







花芯の主人公は、
結婚して子どもまでもうけたのに、
夫を愛することができず、








家をとびだして情夫ができたんだけど、







その生活にも満足できず、








結局お金をとってセックスする娼婦になって初めて、
後ろめたさがなくなったという女で、








なぜ、
そんな数奇な人生を歩むことになったかといえば、








もともと官能のかたまりのような女で、
本人はぼーっと口開けて何も考えずに座ってたりするんだけども、
男がその色気に迷って、
振り払っても振り払っても寄ってきてしまうタイプで、








実際、
情夫となった男とは、
ほとんど言葉を介したコミュニケーションを取っておらず、








からだが言葉の役を果たしてくれているという・・・









これ読んで、
AVの世界には、
花芯の主人公のように、
言葉じゃなくて皮膚で会話するタイプの女の子がいるんだろうな、と思ったりしたんだけど、










実は、
こんなドロドロの話を読んで、
一番印象に残ったのが、
プラトニックな部分で、








男をひきよせてしまう主人公は、
女もひきよせてしまうらしく、








高校生の時から男づきあいが派手で、
女の子の友達がいなかった主人公に、
学校一の秀才少女が惚れて、
ラブレターをよこし、
無視られて言った言葉が、










ひどいわね、
私を好きになってくれなかったのね、
でも、いいわ、
あなたは、ほかの誰も好きにはならないでいてくれたから・・・








・・・ということで、本日の結論 :








片思いの一途な気持ちを断つことができない原因は、
惚れた相手が誰かに恋してる気配が一向にないこともあるのよね・・・
よく、学校中にモテモテの女子が、
誰とも一切つきあわずに彼氏なしを貫いたりするけど、
あれって相当残酷かも・・・











Victoriaでした。