ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (23) 第2回十字軍
こんにちは。Victoriaです。
2012年7月14日、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長による「5000年史 Part4 11、12世紀の世界」の講義録、
今回は、「第2回十字軍」。
1138年、
東ローマ帝国で、
シュタウフェン朝(ホーエンシュタウフェン朝ともいう)が始まった。
シュタウフェン朝はこれから100年続いていく、
歴代で最も長続きした王朝なんだけれども、
100年続いた理由は、
初代君主のコンラート3世が、
息子がいたにもかかわらず、
お家のために、
息子よりも優秀な甥のフリードリヒ1世を後継者に指名したから。
コンラート3世は、
ハインリヒ4世(カノッサの屈辱の皇帝→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (17) カノッサの屈辱 - Victoriaの日記)
の長女アグネスの娘の子どもで、
選帝侯たちの選挙によって君主に選ばれたものの、
ローマ教皇から戴冠を受けていないので、
正式に皇帝に即位することはなかった。
コンラート3世は第2回十字軍に参加、
しかしイスラム軍との戦いにやぶれて命からがら撤退している。
・・・
さて、
第2回十字軍である。
山川出版社の世界史用語集によると、
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早い話が、
大失敗だったってことね・・・
さて、
第2回十字軍の立役者といえば、この方、
ベルナール(1090〜1153)。
シトー会のクレヴォー修道院の院長をつとめたことから、
クレヴォーのベルナールと呼ばれる。(シトー会についてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (20) 第1回十字軍 - Victoriaの日記)
ベルナールは説教師として大変優れた才能を発揮し、
本来は世俗から離れた静かな生活を望んでいたが、
世間が彼ほどの人材を放っておくはずがなく、
結局、教皇とともに東ローマ皇帝との議論に出かけるまでになっていく。
教会分裂騒動を収拾し、
ベルナールの名声が高まると、
シトー会も発展、
各地に修道院が建設され、
イングランドやアイルランドにまで及んだ。
1141年、
アベラールとの有名な論争で、
ベルナールは圧倒的勝利をおさめる。
アベラールというのは、
スコラ学の基礎を築いた学者で、
ノートルダム大聖堂付属学校で神学と哲学を教えていた。
アベラールは学問においては絶対自説を曲げず、
間違っていると思えばたとえ自分の師であっても容赦なく罵倒したという伝説のある、
大変頭のよい人だったんだけれども、
ベルナールのように、
人の心を動かす演説はできなかった。
多くの若者の心を動かし、
大義名分のよくわからない戦争のため、
わざわざ遠い地まで連れ出すには、
ベルナールのようなファナティックな情感の持ち主が、
全身全霊をかけてアジる必要があったということだ。
・・・
さて、
それで、
ベルナールにコテンパンにやられて、
面目丸つぶれのアベラールなんだけど、
実は、
理知的な学者であっただけでなく、
アベラールは実はとっても情熱的な恋人だったのよ♪
さすがフランス人、
腐っても鯛、
学者だからって堅物だと思ってもらっちゃ困るんだよね・・・て話なんだけど、
1079年生まれのアベラールは、
1117年、つまり38歳の時、
姪のエロイーズと知り合う。
1101年生まれのエロイーズは、
知り合った時、16歳。
年の差22歳!
たぶん、
38歳までがむしゃらに勉学に励んできて、
毎日難しい本ばかり読み、
舌をかみそうな難しい言葉を羅列した演説ばかり来る日も来る日も繰り返して、
他人を論破することだけが楽しみだったアベラールの前に、
天使降臨❤
エロイーズは才色兼備の女性として、
すでに有名人だったんだけど、
ぜひ、エロイーズにお近づきになりたいと思ったアベラール、
早速エロイーズの家庭教師になり、
あっという間にエロイーズ妊娠。
ばれちゃまずいんで、
一応、アベラールはエロイーズを田舎の妹宅にかくまって、
そこで男の子を出産させるんだけど、
そういううわさってすぐ広まるよね・・・
叔父(つまりエロイーズの父)激怒!
そこで、
アベラールは得意の演説の能力を発揮したのか、
いったんは叔父を説得することに成功したんだけど、
思うようにエロイーズに会えなくて、
エロイーズをこっそり修道院に移してしまうという強硬手段に出る。
フランスでは恋人同士は、
毎日会ってないとダメなのよ・・・
今度こそ、
堪忍袋の緒が切れた叔父、
ヒットマンをアベラールの元に送り、
局部切断。
う〜ん、
さすが愛の国フランス、
やることがあまりに的を得ててぐうの音も出ない。
あそこ切られちゃったら、
もう二度とナニできないもんね・・・
この騒動の後、
結局、
アベラールもエロイーズも修道院に入って、
つまり、
禁欲生活に入ったっていうか、
お互い相手に操をたてたっていうか、
単に次のヒットマンがこわかっただけかもしれないんだけど、
二人の愛は生涯続き、
1164年にエロイーズが亡くなると、
アベラールと同じお墓に埋葬された。
偶然なんだけど、
二人とも亡くなった時、63歳だったのね。
てことは、
エロイーズはアベラールが亡くなってから20年間は一人だったってことだけど、
若い時、
どんなに短期間であっても、
激しく愛し合った思い出があれば、
その後の人生何もない平凡な毎日であっても、
心穏やかに生きていけるのね・・・
・・・ということで、本日の結論 :
修羅場がなんだ、
恋愛はできる間にやっておけ!
・・・
さて、
ボゴミル派というキリスト教の一派が迫害を受けたことは、
前回見たんだけれども→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (20) 第1回十字軍 - Victoriaの日記
迫害されて南フランスへ逃げていったボゴミル派の思想の影響を受けたと言われるのが、
カタリ派。
1150年頃、
南フランスで全盛期をむかえる。
カタリ派を禁止し、
カタリ派からカトリックへ復帰させようと、
教皇は説教師を多数派遣したが、
ことごとく失敗、
かろうじて成功したのは、
ベルナールだけだったという。
さすが、ベルナール、
天才的アジテーターは何をしゃべらせてもすごい・・・
カタリ派が南フランスに逃げたというのには理由があって、
南フランスはアキテーヌ公の領地、
アキテーヌ公というのは、
最初のトゥルバドゥール
との異名も持つ男。
(トゥルバドゥールについてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (15) 女を媒介とした異文化交流 - Victoriaの日記)
女性を惑わすテクにかけて、
彼はピカイチ、
なんと言っても、
イスラムと戦った時の戦利品がわりに、
キャーン(宮廷につかえる美女軍団)を大量に連れ帰ってきた宮廷だったので、
大変規律に甘く(キャーンについてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (15) 女を媒介とした異文化交流 - Victoriaの日記)、
当然、宗教活動に関してもゆるゆるで、
分派の活動が活発化した。
ただし、
あまりにも奔放な性格ゆえ、
最初の妻も、
二番目の妻も人生に嫌気がさして、
修道院に入ってしまう。
それでも、
本人は全然平気、
地元の司教から破門を言い渡されたときなんか、
司教を殺してケロッとしていたという。
・・・ということで、本日の結論 :
やっぱり奔放な愛は、フランス人にはかなわないわね・・・
Victoriaでした。
・・・
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