ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (25) 中世ヨーロッパ最強の女 エレアノール妃

こんにちは。Victoriaです。

2012年7月14日、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長による「5000年史 Part4 11、12世紀の世界」の講義録、
今回は、「中世ヨーロッパ最強の女 エレアノール妃」。

さて、
いよいよ「ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4」のハイライト、
フランス王とイングランド王という、
当時、東の横綱西の横綱的なライバル関係にあった二人の男を手玉にとった女の物語。







エレアノールは、
1122年、
アキテーヌ公ギヨーム10世の娘として生まれた。






アキテーヌという南フランス文化の中心地で育ち、
トゥルバドゥールで知られるギヨーム9世を祖父に持つエレアノールは、
(おじいちゃんの武勇伝についてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (23) 第2回十字軍 - Victoriaの日記

宮廷愛の伝統の雰囲気を全身に浴びつつ、
音楽、文学、ラテン語などの高い教育を受けた。











いい女になるには、家庭環境が大事ってことね・・・








1130年、
エレアノール8歳の時、
弟が死去したため、
フランス全土の3分の1ほどの広大な領地を相続。
1137年、
15歳の時、
父が死去したため、
フランス王ルイ6世が急きょ、エレアノールの後見人になるが、
ルイ6世もまもなく死去。










死ぬ前に、
ルイ6世は息子のルイ7世とエレアノールを結婚させた。








この時、
エレアノール15歳、ルイ7世17歳。
エレアノールは晴れてフランス王妃になったわけだけれども、
夫ルイ7世のカペー家の領地はパリ周辺のみで大変小さく、
資産は妻のエレアノールの方がたくさん持っていたので、
この結婚、
逆玉の輿といえなくもない。








さて、
夫のルイ7世は、
次男だったので、
お坊さんになるべく修道院で教育を受けていた、
見るからに草食系の男で、







後にエレアノールに、









「王と結婚したと思ったら、僧侶だったのよ、もう、イヤン・・・」








と言われて離婚されてしまう。







そんな草食系のルイ7世がなぜ王になったかというと、










優秀な兄がブタにぶつかって落馬して死んじゃったから・・・











マジですか・・・???










王族の男が死ぬと、
すべて陰謀のにおいがしたイングランド王家と比べて、
あまりにも牧歌的すぎてやや拍子抜けの感が・・・








それとも、
ルイ7世がお兄ちゃんをナニしようとして、
ブタをいきなり放したとか・・・???








そういう経緯で、
棚ぼたで王位が降ってきたルイ7世、
草食系ながら野心はあった模様で、
大領主のお姫様をヨメにもらって領土を拡大できたらいいな❤と、
夢想していたところにエレアノールが現れたので、
ホイホイ結婚したんだけど、











エレアノールには常に押され気味で、









1147年の第2回十字軍に、
ルイ7世とエレアノールは夫婦で参戦してるんだけど、
イケイケドンドンのエレアノールと、
慎重派の夫が戦地で激突、
ルイ7世がエレアノールを拘束するという事態を招いている。









夫が戦地で妻を拘束するということが何を意味するのかはさっぱり不明、









夫婦げんかのお仕置きか何かのことですか・・・???








とにかく、
大失敗の十字軍から帰ってくると、
夫婦仲の修復ならず、
二人は離婚してしまう。









1152年、
エレアノール30歳の時である。








エレアノールは17歳の時に最初の子どもを流産し、
その後、
女の子が二人生まれたが、
男の子はいなかった。







離婚するときには、
一応、世間体を考えたのか、







「近親婚なので婚姻は無効」








という理由をでっちあげ、
決着をつけている。









とにかく、この離婚で、
ルイ7世は、
せっかく妻が持参金代わりに持ってきた広大な領地を失ってしまい、
それがのちのちの英仏百年戦争へとつながっていく。










経済力のある妻を怒らせると取り返しのつかないことになるのでケンカする前によく考えよう・・・




・・・


さて、
ここまでならよくある離婚話なんだけど、
ここからがエレアノールの本領発揮。













二人が離婚したのが1152年、











そのわずか2ヶ月後に、
エレアノールはノルマンディー公アンリ(イングランド王になってからはヘンリー2世)と結婚する。








まず、
「近親婚だから婚姻無効」といって別れておきながら、
直後に、別れた夫よりもよっぽど血が濃い男とぬけぬけと結婚するのがなかなかすごいんだけど、










たった2ヶ月で新しい彼氏ができて結婚?









いやいや、それはあやしい・・・








そう思って、
エレアノールの子どもの生年というのを調べてみたところ、









ヘンリー2世との最初の子どもを、
1153年に出産。









つまり、









エレアノールとヘンリー2世はできちゃった婚だった・・・










はっきりそうだとは、
どこにも書いてないんだけれども、
たぶんそうなんじゃないかな・・・








こういう高貴な方々というのは、
遺産相続とかハンパないから、
誰の子かっていうのははっきりしておかないと、
後々まずいわけだし、








この時代、
DNA鑑定もないしね・・・









それで、
離婚を急いだのではないかというのが、
Victoriaの推測。









う〜ん、
なかなかやるわね、エレアノール。









・・・



さらにいろいろ調べていったところ(このあたり、二日がかりで調べてます)、
さらに驚きの事実が判明。











ヘンリー2世は1133年生まれで、
エレアノールの11歳年下なんだけど、









結婚した時、弱冠19歳。








そうなのか・・・
32歳の元僧侶草食系ダンナは、
19歳のけんかっ早い若造のパワーに負けたのか・・・
















年下ダンナに負けず劣らずパワフルなエレアノールは、
この後、14年間で息子5人と娘3人を次々と出産。
一番下の男の子を産んだ時は、45歳。








12世紀から元気な女性は高齢出産してたのね・・・









知れば知るほど、
なんてすごい女性なんだろうと、
驚くことばかりなんだけど、








これだけの人物なんで、
映画にもなっていて、

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冬のライオン」では、
キャサリン・ヘップバーンがエレアノールを演じてます。








・・・


さて、
夫婦円満な二人だったはずが、
いつのまにか亀裂が生じ、
1168年、
エレアノール46歳の時、
ついに二人は別居する。








その前年、
1167年に末子を産んだばかりだったので、
直前まではラブラブだったはずなんだけど、
別居の原因は、









夫の浮気。











別居といったって、
結婚してイングランド王妃になったけれども、
もとはといえば、広大なフランスの領土はエレアノールのもの、








生まれ故郷のアキテーヌへ戻り、
子ども達やその后、孫、貴族、騎士、それに吟遊詩人らが集う華やかな宮廷文化のパトロンとなり、
華麗な社交生活を送っている。







・・・

1173年、
ヘンリー2世とその息子達の間で抗争勃発。








王家の父親と息子が殺し合いをするのは、
もはやイングランドの伝統芸なので誰も驚かないんだけど、








エレアノールも息子側について参戦。









しかも、
エレアノールの元夫、ルイ7世まで、
息子側についていっしょに戦うというおまけまでついた。









結局、戦いは、
ヘンリー2世の勝利に終わり、









「親子で争うことはよくあること、
すべて水に流してまた仲良くやろうや!」









ということで、
めでたく手打ちになったものの、









妻が夫に戦いを挑むなんてけしからん!










という世論をバックに、
ヘンリー2世は妻を監禁するという荒技にでる。








この後、
エレアノールは、
夫が死ぬ1189年まで、
なんと15年間監禁生活を送る。









てゆーか、
ルイ7世もヘンリー2世も二人ともエレアノールのことを監禁してるんだけど、
よっぽど妻のことがこわかったのね・・・???








しかし、
そこは鉄の女エレアノール、
監禁中も息子リチャード1世の支配権を守るため奮闘していたが、









1188年、
父ヘンリー2世と、
ルイ7世の息子で今やフランス王となったフィリップ2世が激しく言い争いをしていた時、
リチャードは公然と父に反抗し、
その後、ヘンリー2世がフィリップ2世とリチャード1世に追われて身をかくしていた時に、
最愛の息子ジョン(末子)までが寝返って敵陣に加わったことを知り、
ショックのあまり、気力をなくして亡くなった。






だから、
父ヘンリー2世の死期を早めたのは、
息子のリチャード1世だとも言えるんだけど、








ヘンリー2世が56歳で死去すると同時に、
リチャード1世が王位継承、
エレアノールも晴れてシャバヘ出る。













リチャード1世はエレアノールの一番のお気に入りだったのよ・・・やっぱり、妻を裏切ると息子の信頼も失うってことね・・・浮気の代償はあまりにも大きい・・・








長い親子の争いを制して、
ようやく王位についたリチャード1世
イングランドに腰を落ち着けることなく、
即座に第3回十字軍に参加し、
長い旅に出る。









その間、
60歳代後半という高齢のエレアノールが、
摂政として国を取り仕切った。








息子の婚約者をつれて、
はるばるシチリアまで出かけたりもしている、
ちなみにこの時エレアノール68歳。







不幸なことに、
リチャード1世は若くして死んでしまい、
末子のジョンが王位を継承。








1204年、
82歳の時、
修道院で静かに息をひきとった。









エレアノールは大変多産で、
子ども達は全員政略結婚によりヨーロッパ各地の王家へと散っていってDNA拡散したので、








ヨーロッパの祖母








とも呼ばれる。









ちなみにヨーロッパの祖母は3人いて、


1 エレアノール
2 マリア・テレジア
3 ヴィクトリア女王

なんだって・・・










がんばれ!Victoria!











Victoriaでした。



・・・

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