ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (27) 第3回十字軍

こんにちは。Victoriaです。

2012年7月14日、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長による「5000年史 Part4 11、12世紀の世界」の講義録、
今回は、「第3回十字軍」。

山川出版社世界史用語集によると、

世界史B用語集 改訂版

世界史B用語集 改訂版

第3回十字軍 : 1189〜92年。サラディンの進出に対抗、ドイツ皇帝・フランス王・イギリス王らが西欧をあげて陸路を東進した。十字軍の最高潮期。フランス王・イギリス王の反目、調停役のドイツ皇帝の不慮の死にフランス軍は帰国した。イギリス王が単独でサラディンとたたかったが、最終的には失敗に終わった。







ドイツ・フランス・イギリス三国の、
微妙な距離感、
結束して戦う時は戦うんだけど、
だからといって、決して気を許したわけではないという、
まさに、お隣さんにあるべき仲の悪さは、
この時代すでに如実に出ているんだなあと納得してしまったんだけれども、








まず、
第3回十字軍のひきがねになったのは、
この男→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (26) イスラムの英雄サラディン - Victoriaの日記









イスラムの英雄サラディンが、
1187年、
ヒッティーンの戦いでエルサレムを奪還、
第1回十字軍で建国されたエルサレム王国はエルサレム市を失う。








このことに怒った教皇グレゴリウス8世は、
聖地奪還をめざし、
新たな十字軍の派遣をフランス・イングランドに呼びかけるが、







ちょうど、
フランスとイングランドは、
領土問題でもめていた時期。







もめごとの元凶となった女性は、
もちろんエレアノール妃→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (25) 中世ヨーロッパ最強の女 エレアノール妃 - Victoriaの日記








ケンカしていたのは、
エレアノール妃の元夫の後家さんの息子であるフランス王フィリップ2世と、
エレアノール妃の現夫イングランド王のヘンリー2世。







だけど、
教皇のたってのお願いなので、
二人ともそれぞれの国で、







サラディン税」






という戦費調達のための新たな税金を作り、
十字軍結成。








神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世(赤ひげ王=バルバロッサと呼ばれた)も出発したが、
途中、トルコの川で泳いでいる時に心臓麻痺を起こして溺死。









ほんとに事故なんですか???








この時代の王様の死は、
全部陰謀に見えてしまう・・・








有能な指揮官を失った部隊は一気に求心力を失い、撤退。







続いて、
もともと十字軍に熱意を持っていなかったフランス王フィリップ2世は、
ドイツ皇帝がいないんじゃサラディンに勝てるわけがないよね・・・と、
さっさと帰国。








ただ、
撤退の理由として、
体調不良をあげており、









一応、仮病を使ったらしい・・・








残されたのは、
イングランドリチャード1世のみ。







リチャード1世は、
ヘンリー2世が死んだ後、
イングランド王位を引き継いでいて、








母親は、
もちろんエレアノール妃。








リチャード1世というのは、
戦争好きだったんだけれども、
サラディン相手に勝ち目はなく、
長い膠着状態を経て、
ついに休戦協定を結び、帰国。








1192年、
孤軍奮闘していたリチャードの軍勢が引き上げたことで、
第3回十字軍は終了した。








・・・


十字軍終了後もヨーロッパに帰らず、
現地に居着いた人も多かったが、
その理由は、








来てみたらいいところだった。









当時のアラブ諸国というのは、
西ヨーロッパに比べるとずっと先進国で、
東方からもたらされた文物が、
ルネサンスの幕開けになったくらいで、








その理由は、
キリスト教焚書坑儒をやり、
進んだギリシア・ローマ文明から学ぼうとしなかったからである。









一方のアラビア人は大変な知りたがり屋で、









人生の楽しみは、馬の背の上、本の中、女の腕の中









と言われたほど、
知的好奇心にあふれていた。









したがって、
中国から紙と印刷技術が伝わると、
早速工場を作り、
ギリシア・ローマの古典をアラビア語に翻訳して本をつくった。









文明発展度が、
アラブ優位から西欧優位に逆転するのは、
18世紀後半イギリスで産業革命が始まってからである。











未開の国の野蛮人たちが先進国に攻めていって損することは何もなく、
本来の聖地奪還という目的こそ達成できなかったものの、
ヨーロッパ人にとって十字軍というのは、
さまざまな利益をもたらした戦争で、
むしろ副産物のほうが歴史的に重要だったといえる。









・・・ということで、本日の結論 :









西欧社会にとって十字軍による文明開化は、
棚からぼたもちみたいなもの?









もうひとつ、
十字軍の重大な置き土産に、








徴税制度の発達と封建領主の没落








がある。
イングランドやフランスが「サラディン税」を導入したように、
戦費調達を口実に、
国王が徴税制度を整備、








一方、
封建領主たちは、
十字軍従軍の費用は自前で、
かつ、
長く領地を留守にしなければならず、
経済的な打撃は大きかった。








・・・ということで、本日の結論 :





十字軍遠征を契機に、
国王の権威は高まり、
経済難に陥った封建領主は没落していった。









Victoriaでした。



・・・

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