宮部みゆき 「ソロモンの偽証」 

こんにちは。Victoriaです。

さて、
ついに第3部まで読了。

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第III部 法廷

ソロモンの偽証 第III部 法廷








これ書き上げるのに、
宮部みゆきさんは11年かかったそうだけど、








読むのは一瞬で、
何か申し訳ないような気がしてしまって、









ホントに、
よく書けてるよね〜、
読み終わって、
イヤな感じが全くしないよね〜っていうのが感想で、









宮部みゆきさんの小説には、
きびきびしててしっかり者のお姉さん的な女の子と、
ちょっとたよりないんだけど、
実は芯が強くて、
物語の進行と共にみるみる成長していく男の子っていうのが、
よく出てくるんだけど、










今回もその期待を裏切らず、
登場してくる女の子、男の子がみんな頼もしくて、








加えて、
そういう子どもたちを取り巻く大人達が、
みんないい人で、








人間としては、
それぞれいろんな問題抱えてたりするんだけど、
子どもたちのことを信じて、
節目、節目で、
彼らの人生の軌道修正をしていくピリリと聞いた一言を投げかけるところが痛快で、











だから、
宮部みゆきワールドに一度はまると、
やめられないんだけど、









「ソロモンの偽証」は、
中学生の男の子が自殺してしまう話で、
とても重いテーマなんだけど、









そこから逃げず、
真正面からぶつかって、
なぜ死んだのか、
なぜ、自殺しなければならなかったのかを、
真剣に討論していく中学生たちは、
こうすることによって、
ちゃんと、
死んでしまった友人の弔いをしているんだなあ〜って思って、









というのは、
実は、
地元の超有名進学校で、
ここ一年の間に、
二人も生徒が自殺するという事件があって、









大津の事件があってから、
子どもの自殺といえばいじめって感じなんだけど、









彼らの場合、
いじめではなく、
勉強の悩みが原因。









一人は、
遺書の中で、
はっきり名指しで先生にきつく叱られた事実が書いてあって、
どうやらその先生はクビになったらしいんだけど、









もう一人は、
遺書がみつからなかったので、
自殺には違いないんだけど、
はっきりそうとは生徒たちには告げられなかったらしい。









自殺って、
遺書がないと自殺と認定されないんだ・・・








しかも、
亡くなったのが春休み期間中だったので、
担任も決まっていない時期なので、
責任問題もうやむや(責任っていうか、誰が学校側を代表して遺族と連絡をとるのか、みたいな事務手続きがってことだけど)、









一応、
集会があって、
お友達が亡くなりましたという話はあったようだけど、








学校から生徒がお葬式に参列したという話も聞かないし、
その後、遺書は見つかったのか、とか、
一切知らされていないようで、








なんだか、
すごく影が薄くて、
かわいそうなくらいで、








だって、
誰もちゃんと彼のことを、
弔ってあげてない感じがして、









おそらく、
たくさんの友達に囲まれて、
毎日明るくすごしている生徒ならば、
そもそも自殺はしなかったんだろうけど、








5年間もいっしょに生活してきた仲間が亡くなってしまって、
みんな何らかの形で接触はしてきただろうから、
せめてお葬式の席では、
思い出に浸るとか、
何かの形で、
弔ってあげるべきなんじゃないか、
そんな気がしていて、







最近、
生徒が自殺すると、
学校側の声明は、










「自殺の事実はありません」









とか、
やたら、責任がないことを強調する感じで、
それは、
学校側がいじめを見逃していたんではないか、とすぐにたたく風潮があるから、
仕方がないことなんだけど、










真っ先にするべきは、
たぶんそういうことではなく、
本来なら、
多少つらいことやイヤなことがあっても、
ご飯食べてお風呂入って一晩寝たら忘れる年代にある子どもが、
そうできないのっぴきならない事情があったことにみんなで思いをはせ、
いなくなってさびしいよ・・・
そう言って泣いてあげることで、









それが弔いで、









死んじゃった原因がどうとかっていうのは、
二の次でいいっていうか、
調べても調べきれるものでもないだろうし、









まして、
勉強の妨げになるからっていって、
お通夜やお葬式に生徒を参列させることを禁じたり、
わざと、
お葬式の日時を告知しないとか、










あるいは、
全校集会で、
この件に関しては、
口外しないように、なんて口止めしたりするっていうのは、
違うんじゃないかと思って、










むしろ、
みんなで亡くなったお友達のことを、
うんと語りあいましょうって言ってあげた方が、
死者の魂も喜ぶんじゃないか、










そんなことを思っていたところだったので、
子どもたちが自らの考えで、
5日間缶詰になって、
友人の死を考えるっていうのは、
最高の弔いなんじゃないか、









宮部みゆきさんは、
さすがだなあ・・・









そう思って、
これから中学生に、
積極的にこの本を薦めて、
みんなに読んでもらおう、
そう考えているところ・・・










Victoriaでした。