ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ　Part 5　（４８）　モンゴル帝国の経済システム

こんにちは。Victoriaです。

2012/12/02　京都大学百周年時計台記念館で開催された、
「ライフネット生命保険の出口社長に歴史を学ぶ　１３世紀の世界」講義録のまとめ、
今回は「モンゴル帝国の経済システム」

この３つの柱を使って、
何を達成しようとしていたかというと、

自由な経済活動。

クビライの国家システムの最大の特徴は、

経済優先型。

経済と流通のコントロールを、
国家運営の基軸に据え、

軍事組織や行政機構、
陸上・海上にはりめぐらされた物資輸送網は、
すべて、
国家による経済の掌握という目標を達成するための手段だった。

ここらへんの話は、
杉山正明「モンゴル帝国の興亡　下」に詳しい。

モンゴル帝国は、
チンギス・カンが建国した当時の軍事大国から、
クビライの政権になって、
経済重視の通商立国へと脱皮したといえ、

このことを、
杉山正明先生は、

「第二の創業」

と呼んでいる。

クビライの経済政策は、
西欧の重商主義にきわめて近く、

国家主導でありながら、
あくまで自由経済を基本に据えたところに特徴がある。

担い手となったのは、
イラン系ムスリム商業勢力とウイグル商業勢力。

つまり、
ペルシア語を話す人たちで、

当時のユーラシアでは、
ペルシア語が広く通用したらしい。

それで、
なぜクビライがイラン系ムスリムを、
経済官僚にすえたかというと、

彼らは、
すでに会社組織で経済活動を行っていたからで、
その名を、

オルトク

というんだけど、

現在の会社とほとんど同じで、
大きなオルトクは、
通商・運輸・金融から徴税・軍需まで、
何でもやれる企業体だったらしい。

つまり、
商社だったわけで、
すでに、
文明圏を越えて、
多国籍企業に成長していたオルトクを、

クビライは、
政府の許認可行政に組み込み、
モンゴルの庇護のもと、
国家が管理する運輸・交通・宿泊機関を利用させ、
より活発な経済活動を促した。

クビライ政権の収入源は、

塩引（えんいん）と商業税。

驚いたことに、
モンゴル帝国では、
農業生産物にほとんど税収を頼っておらず、

・中央政府の収入の８０％＝塩の専売
・　　　　１０〜１５％＝商業税　　

これだけで国家の収入の９０％以上をまかなっていたのである。

う〜ん、
すごいね・・・

しかし、
塩ってそんなに大量に売れるものなのか・・・

クビライ政権の商業政策のもうひとつの目玉は、

通過税の撤廃。

それまでは、
商人が要所要所を通るたびに通過税をとられていたわけだけど、
それらをすべて撤廃、
そのかわり、
地方にはその土地からの税収をすべて地方税として与え、
中央にあがってこなくていいようにした。

商品は、
最終売却地で「売上税」を払えばよく、
税率は一律「３０分の１」＝およそ３パーセント。

中国に関していえば、
歴代の中華王朝は商業を見下しており、
「農を本とし、商を末とする」価値観にしばられていたことを思えば、
１８０度の発想の転換で、

この政策によって、
遠隔地商業が盛んになり、
それにともなって中小規模の商業も活性化、
ユーラシア全体を巨大な富がめぐるようになったわけである。

さて、
今回のキーワードは、
塩引と銀なんですが、
それについては、
長くなるので、
次回にします。

Victoriaでした。

・・・