ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 5 (65) 南宋とモンゴル(と日本)の似てるところ違うところ

こんにちは。Victoriaです。

2012/12/02 京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長に歴史を学ぶ 13世紀の世界」講義録のまとめ、
今回は「南宋とモンゴル(と日本)の似てるところ違うところ」









さて、
先日、
この記事に対して→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 5 (61) 1281年、弘安の役は日本への移民船団だった? - Victoriaの日記







南宋は今の日本みたいです。









というツイートをいただいたので、
ずーっとそのことを考えていたんだけれども、










日本については、
あとからゆっくり考えるとして、










なぜ南宋はモンゴルに負けたのか?
南宋とモンゴルはどこがどう違ったのか?











について、
ちょっとまとめてみようというのが、
今回の趣旨。










出口社長の講義プラス、
杉山正明モンゴル帝国の興亡 下」を参照しております。

モンゴル帝国の興亡〈下〉 (講談社現代新書)

モンゴル帝国の興亡〈下〉 (講談社現代新書)











細かいことを言えば、
それはいろいろあって、









てゆーか、
出口社長の今回の講義全体が、
そのことを言わんとしているといっても過言ではないのだが、










国家の姿勢・体質











という面にしぼって、
考えてみると、










海上帝国として進んでいたのは、
南宋で、









モンゴルに接収された時点で、
かなりの海上艦隊を保有
船を作るための造船力・技術力・航海技術、
海洋文化に関わる知識・情報など、
当時としては、
ハード面でもソフト面でも、
世界最先端を行っていた南宋は、









8・9世紀頃から、
アラブ・イランの商船が来航し、
活発な海洋貿易を通じて、
グローバリゼーションの波に乗っていた。










だけど、
そういう海上通商の財産をフルに活用して、
本当の意味でグローバリゼーションが始まるのは、
クビライ政権が南宋国からすべてを引き継いだ後、











スペックは何も変わってないのに、
一気に何もかもが活性化したきっかけは、











政権交代












南宋政権は、
もちろん貿易を積極的に奨励していたけれども、
実際には税金という形で利潤を吸い上げるだけにとどまり、
政府みずからが国策として海外交易に打って出るということはなかった。












つまり、
あくまでも受け身の姿勢であり、











民間依存型&内陸志向型











に終始したわけである。









世界最強といわれる海上艦隊を保有しながら、
それはあくまで国防軍であり、
海で世界とつながっているという意識はなかった。











しかし、
クビライ率いるモンゴルは正反対。












とにかく、
モンゴルの性格を一言でまとめるならば、










目的志向型。











はっきりとしたビジョンのもと、
どうすれば最も効率よく、
最大の利潤をあげられるかという緻密な計算にもとづき、
集団を上げてまっしぐらに走っていくという感じで、









モンゴル帝国の強み=国家としての構想力・企画力・組織力・実行力。









モンゴルにとっては、
数々の戦争に勝つことは、
決してそれ自体が目的ではなく、
通過点に過ぎず、










南宋を接収したことにしても、










やったあ!!!
モンケ以来の悲願達成!!!
南の土地を手にいれたあ!!!










で終わりじゃなくて、










国家建設の途上で、
南宋はいつかは接収しなければならない場所、
たまたまタイミングが今になっただけ、
ひとつもめごとが減ってよかった、よかった、
さあ、これから、
もっと国作りのピッチあげようぜ!









・・・

ムスリム海商たちの立場から見れば、
また、別の風景が広がっており、












南宋時代、
アラブ系あるいはイラン系とされる蒲寿庚(ほじゅこう)という人が、
政府行政官の肩書きをもらって、
南宋政府の貿易を一手に引き受けていたのだけれども、










実際は、
蒲寿庚が南宋政府にお願いして許可をもらっていたというより、
ムスリム海商の元締めのようなやり手企業家に、
南宋政府は頼り切っていて、
フリーハンドの肩書き上げるから、
見返りに利潤をキックバックしてよね・・・ていう感じで、











すでに陸では、
ムスリム商業勢力とがっちり手を結んでいたモンゴルが、
満を持して海に進出してきたので、
さっと手を握る相手を南宋からモンゴルに変えて、
ますます商売やりやすくなったよね・・・みたいな・・・










そうやって考えてみると、
モンゴルによる南宋接収は、
モンゴルの騎馬隊がたまたま強かったとかそういうレベルの話ではなく、
時代の必然だったわけだ。











・・・ということで、本日の結論 :










江南という海洋志向型の生産社会が、
大元ウルスというシステム建設の意欲にみちた国家主導型軍事政権とリンクして、
歴史的グローバリゼーションが実現した。













グローバリゼーションは、
海外と取引してます、というだけでは、
何か足りない、というお話で、










日本?











がんばれ日本!












Victoriaでした。



・・・


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ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part5 まとめ - Victoriaの日記







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