ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 5 (67) 73歳のクビライ最後の出陣 ナヤンの反乱
こんにちは。Victoriaです。
2012/12/02 京都大学百周年時計台記念館で開催された、
「ライフネット生命保険の出口社長に歴史を学ぶ 13世紀の世界」講義録のまとめ、
今回は、「73歳のクビライ最後の出陣 ナヤンの反乱」
さて、
本日、
出口社長のレジュメ「クビライ編」、
ついに最後の一枚に突入しました。
今回は、
クビライ最後の大勝負、
「ナヤンの反乱」をお届けします。
Victoria、
イチオシのエピソード♪
このお話大好き♪
・・・
1272年、
南宋接収に成功したクビライ政権だったが、
実はまったく安泰ではなく、
中央アジアでは数々の反乱が起き、
事態収拾に息つく暇もなかった。
反乱の原因は、
怨念。
チンギス・カン一族の本家本元を自認するトゥルイ一門が、
クビライ家とフレグ家に政権独占されたままで終われるかよ?
と、
反クビライで挙兵、
結果として、
南宋作戦の英雄バヤンを投入し、
モンゴル軍の総力を挙げて戦ったクビライ側が圧勝、
しかし、
中央アジアにおける大元ウルスの影響力は、
この後、
急速に衰えて、
帝国はバラバラになっていく。
・・・
1287年、
敵は中央アジアにありと思い込んでいたクビライを震撼させる事件勃発、
クビライ政権の主流派として、
由緒正しき東方三王家の王子様、
ナヤンが、
反旗を翻したのである。
東方三王家とは、
このあたりの方々です。
チンギス・カンが、
三人の弟に中国方面の領土を分けてできた三つの王家で、
クビライが、
クーデタ政権を樹立した時に、
頼りにしたのがこの東方三王家。
だから、
クビライを皇帝にしてやったのは、
オレ達だぜ!との自負が強く、
共通の敵と戦ってる時は一致団結してるけど、
戦争が一段落したら、
内輪もめが始まるってのは、
万国共通。
それで、
ナヤンですが、
この方です。
乱の起こった1287年、
クビライは73歳、
対するナヤンは29歳。
年の差、44歳。
ナヤンの反乱には、
一族から多くの王家が賛同、
有力なところでは、
カイドゥもいち早く参戦、
カイドゥというのは、
チンギス・カンの息子ウゲデイの孫、
東西の有力王家にはさみ撃ちにされたクビライは、
生涯最大の危機を迎え、
日本遠征どころではなくなった。
日本人からすれば、
ナヤン様万歳ってとこ?
・・・
さて、
ここで、
生涯かけて築き上げてきたモンゴル帝国を、
みすみす崩壊させてしまわないところが、
クビライの真骨頂、
クビライ自身の息子たちは、
全員死んで孫の代になっており、
てゆーか、
ナヤン自身も孫の世代なんだけど、
そんなこんなで、
信頼して戦をまかせられる人間がいなかったので、
なんと、
73歳のクビライは、
みずから出撃を決意、
ごく少数の家来を引き連れて、
戦へと繰り出す、
象の背中に乗って!!!
ぞう???
馬じゃなくて???
なんで象なのさ?
そう思って調べてみたら、
普通のぞうさんではなく、
戦象といって、
戦用に訓練されたぞうさんらしいんだけど、
ぞうさんの背中に輿をくくりつけ、
先頭切って駆けて行ったっていうのよ・・・
象って馬より足が速いんですか???
で、
全速力で駆けた象+クビライは、
ナヤンの軍営にあっという間に到着、
モンゴルは、
みんな、
天幕で寝てるから、
ナヤンが酒食らって女とナニしてるところ(とはどの本にも書いてないけど、まあ、そんなようなもんだと勝手に推測♪)を、
襲撃、
不意打ちされたナヤンは、
あわててアワ吹いて、
が、しかし、
あわててクビライにくっついてきたクビライ軍とナヤン軍の武将たちは、
マブダチ。
よお!ひっさしぶり〜、元気♪
とか、
ふつーにごきげんうかがいか何か始めちゃって、
全く戦争モードにならない。
そらそうだ、
なんかよくわかんないけど、
大将がすねて反乱起こしてるけど、
もとはといえば、
いっしょに南宋軍相手に戦った戦友、
いきなり、
殺し合いしろっていわれてもちょっと・・・
が、しかし、
さすが、
百戦錬磨のクビライさま、
日頃の心がけがちがいます、
こういう時のためにと、
長年、
仕込んできた、
「特殊新鋭軍団」
を前面に押し出して、
一気に決戦に持ち込んだ。
特殊新鋭軍団というのは、
もとは、
大西征に出かけたモンケが連れ帰ってきたマムルーク出身のトルコ系戦士、
戦争のない平和な時は、
クビライの身の回りのお世話係として、
目立たぬ生活を送っているのだが、
一大事となれば、
クビライだけのために戦う戦士たちで、
モンゴルから見れば異民族なので、
一段下に見られ、
日陰者扱いすらされていたわけだけど、
異民族であることが幸いし、
モンゴル人同士は殺し合いはしないので乗り気にならないこの戦いも、
なんのちゅうちょもなく参戦、
クビライを乗せたぞうさんが危ないとなれば、
体を張って守り、
あっという間にナヤン軍を制圧した。
それでも、
モンゴルはモンゴルを殺さないというおきてに従い、
大将のナヤン一人が殺されただけで、
ムダな血は流れなかったという。
ということで、
首謀者があっという間になくなって、
そうしてみると、
もともと、
クビライ憎しというだけの動機で結託していた連合軍だから、
あっという間に腰砕けとなり、
反乱は終息した。
ナヤンは、
実戦の経験がなく、
ウゲデイ家の御曹司として、
ぬくぬくと育ってきたので、
世界最強の修羅場を踏んできたクビライに、
勝てるわけがないということを、
内外に示した戦いだった。
クビライが戦象に乗ってる絵はないかと、
探してみたんですけど、
みつからなくて、
特別なぞうさんなんですか???
どなたか、
戦象についてご存じの方ありましたら、
ぜひ情報提供お願いします。
一ヶ月くらい、
ずっと走りに走って、
戦火をくぐりぬけてるみたいなんですけど、
ぞうさんって、
そんな体力あったのか?というのが、
素朴な疑問です。
・・・ということで、本日の結論 :
シニアパワーがすごいのは、
今に始まったことではない。
Victoriaでした。
家系図および地図は、
杉山正明「クビライの挑戦」「モンゴル帝国の興亡 下」から拝借しております。
クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回 (講談社学術文庫)
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