ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (22) フランク王国の領土相続をめぐる兄弟げんかで生まれた仏・独・伊
こんにちは。Victoriaです。
2012年3月25日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、
今回は、9世紀半ばのフランク王国のお話。
さて、
フランク王国は、
カール大帝の時代に最盛期を迎え、
800年のカールの戴冠で、
東ローマ帝国に対抗する西ローマ帝国が復活したが、
(参照→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (16) ムハンマドなくしてカールなし - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (18) ヴァイキング襲撃とカール大帝のキリスト教化政策 - Victoriaの日記)
814年、
71才でカールが死ぬと、
とたんにフランク王国はバラバラになってしまう。
フランク王国には、
領土は長男だけでなく、
兄弟全員に分割して相続させるという慣習があったため、
カール大帝は3人の息子に相続させるよう遺言を残したのだが、
二人の息子がカールよりも先に死んだため、
生き残ったルートヴィヒ1世が単独で相続。
ルートヴィヒもまた、
3人の息子がいたので、
領土を3人で分割するよう遺言して死ぬ・・・
・・・はずだったのに、
ハプニング発生。
818年、
一人目の奥さんが死んで、
翌年、再婚。
再婚した時、
ルートヴィヒは41才、
2番目の奥さん、24才。
年齢差17才。
4年後、奥さんが男児出産。
45才の時にできた子どもなので、
ルートヴィヒ、メロメロ・・・
この子が生まれる前に、
一番目の奥さんとの間にできた3人の息子の間で、
領土を分割相続することで話はついていたんだけど、
この子だけ、
相続できないなんて、
ふびんだよね・・・
ということで、
この息子(シャルル1世)が8才の時、
あっさり遺言を書き換えてしまう。
それを知った三人の兄たち、
当然、激怒。
「なんでオレたちの取り分を削ってまで、
こんなクソガキに相続させるんだよ!
オヤジ、許さねえ!!!」
ということで、
オヤジの遺産をめぐって、
兄弟の醜い争い、勃発。
まだ、
オヤジ、死んでないんだけど・・・???
調べてみたところ、
オヤジのルートヴィヒは、
無理やり4番目の息子に相続させようとしたことで、
息子たちだけでなく、
有力聖職者たちの反発を買い、
何度も廃位されたらしい。
まだ王様が生きてピンピンしてるのに、
廃位するって、
そんなこと、できるの・・・???
結局、
ずーっと遺産相続でもめたまんま、
ルートヴィヒは840年に死去。
その直後、
ついに、戦争に突入。
二番めの兄はこの時までに亡くなっていたので、
領土を独り占めしようとした長男 VS それを阻止しようとする二人の弟
で戦火が交えられ、
めでたく、長男が敗れ、
戦争終結。
改めて、
国土を三分割することを約束させたのが、
843年に結ばれた、
カールの戴冠からわずか40年で、
フランク王国は3分割され、
現在のドイツ、フランス、イタリアの原型となる。
・・・
実は、
オヤジが年とってからできた息子が引き金となって、
兄弟間で醜い相続争いをしている最中の830年、
ローマはイスラム軍に包囲されている。
イスラム軍に占領されたのは、
チヴィタベッキアで、
占領は、
916年まで続いた。
この時のイスラム帝国のカリフは、
知恵の館を開設したマアムーン。
(参照→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (21) アラビアン・ナイトの世界の方たちは、セックスより本がお好き? - Victoriaの日記)
この頃、
ローマ教皇は何をしていたかというと、
カールの戴冠をしたレオ3世は、
実は貧民階級の出身で、
苦労して教皇の座を手にしたわけだけど、
ねたむ者も多く、
暗殺されそうになって命からがら逃げてきた彼を助けたのが、
カール大帝。
命を救ってくれた恩に報いるため、
皇帝の称号を与えて手を結び、
カール大帝というカリスマに依拠していたのが実情で、
ローマ教皇自身にたいして実権があったわけではない。
レオ3世が816年に亡くなると、
ローマ教皇は、
ローマの有力貴族の言うがままで首をすげかえられ、
カロリング朝で領土相続問題が持ち上がった時、
ローマ教皇は長男を支持する側にまわったが、
結局、何もできずに終わっている。
出口先生によると、
昔の帝国のピークは大変短く、
官僚制がきちんと整備されていないと、
個人のカリスマ性に依拠した国は、
あっという間にバラバラになっていく。
・・・ということで、本日の結論 :
フランス、ドイツ、イタリアは、
兄弟げんかが発端で生まれたのね・・・
思うんだけど、
息子が3人っていうところが、
ポイントで、
3人だから3分割できるじゃんって思うわけじゃない?
いっそのこと、
息子や娘がワラワラいて、
1人、2人増えようが誰も気づかないくらいの大家族だったら、
こんなことにならなかったんじゃないかしら?
唐の玄宗なんて、
奥さん30人くらいで、
息子20人以上、
娘30人くらいだし、
ローマを包囲したイスラム帝国のカリフ、マアムーンも、
「千夜一夜物語」にも登場するカリフ、ハールーン・アッラシードも、
共に母親は奴隷出身で、
異母兄弟はいっぱいいたのではないかと思われるから、
どうせ兄弟なんて最後はケンカになるに決まっているんだから、
もっと大人数で、
もまれてもまれて切磋琢磨していれば、
強いリーダーが出たかもしれない・・・
・・・ということで、本日の結論 :
お金持ちの相続問題って、
昔から戦争の火種だったのね・・・
Victoriaでした。
ライフネット生命保険
・・・
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