5000年史 Part6  14世紀の世界 (54) 大明暗黒政権 里甲制と衛所制〜朱子学が栄えた理由

こんにちは。Victoriaです。

2013/04/14(日)、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
「5000年史 Part6 14世紀の世界」講義録のまとめ、
今回は「里甲制と衛所制」





まず、
それぞれの用語の説明をみてみましょう。
山川出版社世界史用語集によれば、

世界史B用語集 改訂版

世界史B用語集 改訂版

里甲制 : 洪武帝が制定した、農村統治のための連帯責任制度。民戸110戸を1里とし、そのうち富裕な富戸10戸を里長戸、残りの100戸を10戸ずつ10甲に分け、各甲に甲首戸をおいた。そのうち、1年交代で選ばれた1里長と10甲首が、賦役黄冊の作成、租税の徴収、中央への献上品の調達、さらには村の治安維持などの責任を負わされた。

衛所制 : 洪武帝が唐の府兵制を範として設立した兵農一致の兵制。軍戸の112人で百戸所、10百戸所で千戸所、5千戸所5600人を1衛とし、衛の上には都指揮使をおき、各省が管轄した。



要するに、
十進法に基づく、
水も漏らさぬ盤石な組織を作ったというわけなんだけど、





ポイントは、





通貨を介しない仕組みを作り上げたこと。






税金は、
お金じゃなく、
物で納めなさい、
しかも、
自分で都へ持って来なさい、
そういう制度で、






これなら、
流通経路がなくてもいいだろうっていう、
そういうシステムです。





完全に、
モンゴル帝国のやったことを、
全否定してますね。






こんな、
原始的なやり方、
続くわけないんで、






結局、
朱元璋が生きてる間は、
かろうじて続いていたけど、
15世紀中頃から、
戸メカニズムは崩壊していきます。






朱元璋は、
いろいろと人格的に問題のある人だったけど、
商人を憎んでいたので、
通貨を介しない経済の仕組み以外は認めない!って感じ、





こういうリーダーが出ると、
国の発展が100年遅れるから、
メーワクなんだけど、





どんな人が朱元璋のブレーンをやってたのかを見てみると、






朱子学者。





クビライの大元ウルスは、
世界帝国で、
銀を商社に投資、
中国から銀を持って帰って、
消費税をかけ、
銀を循環させてもうけていた国だから、




四書五経はいらない。






なので、
科挙をさっさと廃止し、
外国人をバンバン大臣につけた。





科挙というのは難しい試験なので、
もともと賢い人が、
10〜15年かけて勉強して、
ようやく通るか通らないか、





それでも、
いったん通ってしまうと、
年収1億円が約束されたようなものだから、
インセンティブはあったのだが、





クビライに科挙廃止されてしまって、





10〜15年かけて勉強してきたのに、
夢のようなポストがもはやない。





仕方がないので、
科挙受け損ねた学者たちが、
揚子江のあたりへ流れていって、
金持ちの家庭教師になり、
なんとか食いつないでいたわけだけど、






末は、
総理大臣になるはずだったのに、
家庭教師に甘んじていたわけだから、
モンゴルに対する恨み骨髄に徹す彼らは、
そのはけ口を、
朱子学に見いだした。






朱子学というのは、
イエデオロギーを歴史にもちこんだ学問で、






正統王朝はどれか?






ということを、
研究している。






当然、
モンゴルの元のことは、
ケチョンケチョンに言うはず、






それが、
南北朝時代の日本にもたらされ、
南朝が正統であるという、
北畠親房の「神皇正統記」につながっていく。






・・・ということで、本日の結論 :





優等生の恨みはこわい。






Victoriaでした。