AO入試組の悲劇

こんばんは。victoria007です。
大変興味深い記事をみつけました。
年間5万人 就職できない有名大学 「第3の入学組」の悲劇 AO入試合格組 (週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

>>「僕はね、AO入試は不正入学だと言っているんです。『多様な人材や意欲のある人を求める』なんて真っ赤なウソ。早慶ですらAOで学力の低い学生を入れている。これはいつか地盤沈下が起こる。早慶がそうなると、他の私大はさらに沈む。
AO入試組が、なかなか就職できていないというのはあるでしょう。勉強していないくせにリクルートスーツを着て、普段使わない言葉を使っても、企業に見透かされますから」<<

こんな、大変インパクトのある文章でこのコラムは始まります。
一般入試、推薦入試に次ぐ「第3の入学組」と言われ、ここ10年で定員が大幅に増えたAO入試。学力試験が課されず、面接やディスカッション、小論文で合否が決まるため、やる気のあるユニークな生徒が集まるという肝いりで始まった。しかし、AO入試組は就職活動で苦労しているという。原因は学力低下だ。

>>一般入試で合格した学生は、一つの壁を越えた経験を持っている。あるいは、浪人の経験で挫折も味わっている。ところが、AO入試組は一部を除き、挫折も大きな成功体験もないまま合格し、大学生活を送るわけだ。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、AO入試組は就職活動において打たれ弱い傾向があると話す。

「僕の取材経験で言うと、march(明治、青山学院、立教、中央、法政)のAO入試組が最も打たれ弱い。大学の名前と学生本人の乖離(かいり)に気付かないまま就活に臨むため、面接官の何気ない問いかけに過剰に反応して圧迫面接だと感じてしまう人もいます」<<

基礎学力のない生徒が大量に入学するなど問題が顕在化しているAO入試。なぜ、大学はAO入試の定員を増やしてきたのか。


>>人集めに躍起になる大学は、学生の数を見るだけで質を見なくなってしまった。学生の質が落ちるのがわかっていながら、大学がAO入試を拡充する理由は定員確保ともう一つ、偏差値の維持だ。AOで多く採用すれば、一般入試の枠が少なくなり、偏差値が上がりやすくなるという単純な理屈である。<<

>>HRコンサルティング会社「ニッチモ」代表の海老原嗣生著『学歴の耐えられない軽さ』(朝日新聞出版)によれば、早稲田大学の看板学部、政治経済学部の入学者に占める一般入試の割合が年々下がり、'09年度では、わずか39.9%。他学部も、法学部32.6%、商学部39.8%といずれも4割を切っているのだ。<<

う〜ん、早稲田大学で一般入試の割合が4割弱。
一般入試って、今本当に合格するのが難しいんですよ。
これだけ定員が推薦組とAO組にとられていたら、それも納得。

このコラム、全然誇張じゃないと思う。
実際、一般入試組とAO入試組・推薦組の学力の差はものすごく大きい。

たしかに、学力試験ではやる気は測れないじゃないか、とか、国立を不合格になってきて、しぶしぶ入学してくる生徒より、「この大学行きたい」といってやる気まんまんで入学してくる生徒のほうが伸びるんじゃないか、とか、いろいろな考え方はある。受験勉強で燃え尽き症候群になって入学してくる生徒より、適当に力を抜いて遊んできた生徒のほうが人生経験が豊富じゃないか、って考え方もある。結局は人それぞれ、入学後の過ごし方が大事なんじゃない?って話なんだけど、でもね〜、受験勉強をしてきたかどうかって、やっぱり後になってきいてくると思うんです。

今の高校生って、受験がなかったら、自分ってものに向き合って、人生を考えたり、自分の能力の限界をみせつけられて現実の厳しさを知ったりっていう経験をする機会がないんですよ。部活なんかでそういう体験をできるラッキーな生徒もいるけど、よほど特殊な才能とか環境に恵まれない限り、普通の高校生が自分を鍛えることのできる一番身近な体験って、受験なんです。

受験っていうと、今の大人達は、苦しかったって経験しかないから、「受験なんてないほうがいい」っていうので、エスカレーター式の付属に入れたり、推薦をくれる高校に入れたりしたがる。

だけど、受験で自分の希望と現実のギャップみたいなのに直面して苦しむっていう体験がない生徒って、成長する機会を自ら捨てているようなもの。人生のいろんな場面で資格試験を受けたり昇進試験を受けたりっていう機会は多いけど、そんな時に、受験勉強の経験がないと簡単にあきらめてしまうのではないかと思う。推薦で早く決まったほうが楽だっていうけど、AO入試は夏休みには決まってしまうので、高3の残り半年は、ほんとにほげ〜っとしてだらだら過ごしてしまう生徒が多い。学校も受験組の生徒に悪影響を及ぼすからって「おまえらはもう出てこなくてよい」というお達しが出る学校もある。

「受験」=「悪」っていう考え方は間違ってるんじゃないか。
受験は、したほうがいい場合もある。

「悪」なのは受験じゃなくて、「毎年ころころ変わってよくわかんないし、結局あんまり平等じゃなくって結構いかさまっぽい入試制度と、受験生に多大な負担を強いるセンター試験制度」なんじゃない?

大学のHPとか生徒募集要項とかを見ると、どの大学も立派なことを言ってるんです。
でも、結局は、私大もセンター試験の点数だけで願書を出すことができる(受験料は払うけど)し、学校長の推薦の必要な指定校推薦なんかもすごい数ばんばん出してたりするから、生徒には足下見られてるって感じ。やっぱり、自分の大学の生徒を、自分達で作った試験でとることすらできないくせに「最近の学生は学力低下が甚だしい」なんて文句言う資格ないよなあ。

大学には、入試にもっと「こんなキミの入学を待ってるよ」っていうメッセージを込めていただきたいと、切に願っています。

victoria007でした。