ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (9) 仏教とジャイナ教のはじまり

こんにちは。Victoriaです。

2011年11月13日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、
今回は、インドに生まれた二人の宗教の開祖のお話。


古代、文字を書くのに使われたのは、
ギリシアでは羊皮紙、
中国では青銅器。


羊皮紙も青銅器も書いた文字が消えることがなく、
長期保存ができたので、
後世に歴史を残すことが可能。



しかし、
インドでは貝葉(かいよう)と呼ばれるヤシの葉を使用。
仏教の経典も初期のころは貝葉に書かれていた。



羊皮紙でも青銅器でもなく、貝葉を選んだのは、
単に地域の特性によるものだったのだけど、
このことが、結果的に、
インド人を歴史を残すことが好きではない民族にしてしまう。



だって、
葉っぱの裏に書いた文字なんて、
消えちゃうもの・・・



・・・

インドでは、
紀元前五世紀、アジタ・ケーサカンバリンという人が、
世界は、地・水・火・風の4元素でできていることを発見、
唯物論の祖と呼ばれる。


ちょうど、ギリシアイオニアの自然哲学者たちが、
万物の根源は、
水(タレス)、
火(ヘラクレイトス)、
数(ピタゴラス)、
と主張していたのと同じ時代。



しかし、インドで生まれ、
世界中に大きな影響を与えたのは、この二人。



ゴータマ・シッダッタ(BC563〜483)
マハーヴィーラ(BC544〜473)




ゴータマ・シッダッタはお釈迦様。
マハーヴィーラは、ジャイナ教の開祖。



この二人は、
まったく同時期に活躍し、
熱狂的な市民の支持を得た。



ちょうどその頃、インドでは、
鉄器の使用がはじまり、
気温が上昇したことも手伝って、
耕地面積が拡大、
インダス川流域で人口が爆発。



畑を耕す重要な役割を担っていたのは、



牛。



しかし、
当時、インドの支配階級であったアーリア人は、
バラモン教のお祭りで、
牛をガンガン殺して食べていた。



自分たちの大切な労働力である牛を、
お祭りだからといって勝手に持っていって殺してしまう彼らのことを、
市民は苦々しく思っていたが、
「神様が食べるのだ」
と言われると、言い返せない。




そこへ、
お釈迦様とマハーヴィーラが現れる。




彼らが共通して言ったことは、



「生き物を殺してはいけない」。




これは、
自分たちの大事な牛を勝手に連れて行って、
パクパク食べてしまうバラモンに対抗する
願ってもない教義だったので、
瞬く間に市民の圧倒的な支持を得た。



ジャイナ教マハーヴィーラは、
バラモンによる祭祀を認めないだけではなく、
カースト制度を否定しており、
当時としてはかなり合理的な世界観の持ち主だった。



このようにして、
牛を殺したらダメ!というのは、
インドの都市宗教として大きな基盤を作ることになり、
今でもインドでは牛は神様として崇められ、
食べられることはない。




・・・


さて、
お釈迦様の教えは、
もっぱら記憶や暗唱をたよりに受け継がれたので、
死後100年たったときに、
聖典の編纂をしようということになり、
弟子たち700人が集まった。


これが、BC380に行われた第2回の仏典結集である。


お釈迦様の死後、100年もたつと、
解釈がばらばらになってくるので、
それを統一する目的で行われたのだが、
結果は、




意見、まとまらず・・・




意見の違いが明らかになってきた人間が、
関係を修復しようとして話し合いを持つと、
一層、違いが鮮明化し、
以前よりも更に関係が悪化するというのは、
昔からずっとそうだったようで・・・



だから、
仲が悪くなった夫婦が、
よりを戻そうと話し合いしても、
離婚調停がますます泥沼化するっていうわけね・・・



話戻して、
そういう経緯で、
お釈迦様の死後100年たって、
仏教は、大衆部と上座部に分裂してしまう。



これを、根本分裂という。



大衆部は主に貧民に支持されたのだが、
結局消えてしまう。


上座部は豊かな新興ブルジョワジーの支持を得て、
勢力を拡大していく。



もともと仏教は富裕層のための宗教だったので、
彼らが中心になっていったわけだ。



結局、発祥の地、インドで仏教は根付かず、
ヒンドゥー教イスラム教が広まっていく。



結論 : どうして宗教って、
発祥の地で根付かないんだろうね・・・




Victoriaでした。

生命保険


・・・


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