クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 初公判のまとめ
こんにちは。Victoriaです。
さて、田中周紀著「国税記者 実録マルサの世界」を読み、
クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件を初めて知ったのは、約1ヶ月前。
昨日、2月22日は、
クレディ・スイス証券の社員・元社員で申告漏れを指摘された約300人のうち、
たった一人起訴された八田隆氏の初公判だったので、
情報が入ってくるのを今か今かと待ちかまえていたのだけど、
予想通り、初公判で事態が大きく動くというようなものではなく、
シロートには、
「何やっとんじゃあ???」
って感じのスロースタート。
次回の公判は4月11日とのことで、
それまでにネット上の情報が消えてしまったり、錯綜してこんがらがる可能性が大なので、
ここで現時点(2月23日木曜日)の経緯をまとめておきます。
<クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 初公判までのまとめ>
1 クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件のあらまし
08年11月、外資系証券会社「クレディ・スイス証券」の社員と元社員合わせて約300人が、
海外の証券口座で受け取った親会社の株式の所得を適切に申告していなかったとして、
日本の国税当局から追徴課税された。
査察部はその中から無申告の金額が最も大きかった元社員一人を告発した。
簡単にまとめると、
クレディ・スイス証券を退職時に会社からもらった株式を売却して得た所得にかかる税金は、
確定申告して納めなければならないものだったにもかかわらず、
てっきり会社の方で源泉徴収されていると思いこんでいた人たちがゾロゾロと税務署に呼び出しを受け、
軒並み追徴課税されたというもの。
その中でなぜ八田隆氏一人だけが告発されたかというと、
無申告の額が一番大きかったから。
この事件については、田中周紀「国税記者 実録マルサの世界」に詳しいので、
ご興味がおありの方はこちらを参照してください。
- 作者: 田中周紀
- 出版社/メーカー: 講談社
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本書に書かれた「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」の部分が、
ほぼそのままネットで読めます→クレディ・スイス「国策捜査」の真実:日経ビジネスオンライン
Victoriaの日記でも、追ってます→田中周紀 「国税記者 実録マルサの世界」 (5)クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 - Victoriaの日記
クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 - Victoriaの日記
2 マスコミ報道まとめ
初公判についてのマスコミ報道で、
ネットで読めるものは今のところ以下の4件。
記事が消えてしまう可能性大なので、
引用させていただきます。
約1億3200万円の所得税を免れたとして、所得税法違反罪に問われたスイス金融大手の日本法人「クレディ・スイス(CS)証券」(東京都)の元部長・八田隆被告(48)=カナダ・バンクーバー在住=の初公判が22日、東京地裁であった。八田元部長は「故意に脱税したという事実はありません」と述べ、起訴内容を否認した。
起訴状などによると、八田元部長は2006〜07年、一定の期間後に権利が確定する譲渡制限付きの株式や、ストックオプション(自社株購入権)の行使によって得た所得計約3億4900万円を隠したとされる。
検察側は冒頭陳述で、CS証券が従業員向けの書類に、「会社として個別の税務届け出あるいは源泉徴収義務はない」と明記されていた点を指摘。弁護側はその文章について「目立たないように書かれており、故意の脱税事件ではない」などと反論した。<<
約1億3千万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた欧州系大手金融機関の日本法人「クレディ・スイス証券」の元部長、八田隆被告(48)の初公判が22日、東京地裁(野口佳子裁判長)であり、八田被告は起訴内容を否認し、無罪を主張した。
起訴状などによると、被告は賞与として受け取ったスイスの親会社株を海外で売却。株の取得や売却益を所得として税務申告せず、平成18、19年分の所得約3億4800万円を隠し、所得税約1億3200万円を免れたとしている。
八田被告は起訴前の取材に対し「所得税は給与から天引きされていると思っていた」と述べ、公判で犯意を否定する方針を示していた。<<
株式報酬で得た所得を隠し、約1億3200万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われたスイス金融大手の日本法人「クレディ・スイス証券」(東京)の元外国債券営業部長八田隆被告(48)の初公判が22日、東京地裁(野口佳子裁判長)で開かれ、八田被告は「故意に脱税したという事実はありません」と起訴内容を否認した。
検察側は冒頭陳述で、同社が株式報酬について、会社として源泉徴収の義務がないことを通知していたと指摘。八田被告が受け取った源泉徴収票に、株式報酬が含まれていないことは明らかだったとした。
弁護側も冒頭陳述を行い、同社は税務申告の必要があることを実効的に通知しておらず、八田被告は源泉徴収されていると思い込んでいたと主張した。<<
およそ1億3,000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われているクレディ・スイス証券の元部長が、22日の初公判で、起訴事実を否認した。
クレディ・スイス証券の元部長・八田 隆被告(48)は、初公判を前に「しっかり否認してきたいと思います」と話した。
八田被告は、報酬として受け取った親会社の株式の売却益などを申告せず、およそ1億3,000万円を脱税した所得税法違反の罪に問われている。
22日の初公判で、八田被告は「故意に脱税したという事実はありません」と、起訴事実を否認した。
検察側は、冒頭陳述で「会社は、株式報酬の申告義務について説明会を行っていた」と指摘した。<<
3 八田隆氏のコメント
初公判の模様について、
八田隆氏自身がブログにアップしていたので早速おじゃましてきました→#検察なう (106) 「初公判報告」 2/22/2012 - 「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン
ブログの文章もとっても前向きでエネルギーに充ち満ちてる感じなんだけど、
記者会見の写真を拝見してもすっごくさわやかそのもので、
知らない人が見たら、
裁判の被告というより、
株主総会で会社の決算をプレゼンする役員って感じ・・・
八田隆氏によれば、
日本の法廷では、被告人は普通、一人ポツンと被告人席に座っているものだけど、
今回、八田氏はあらかじめ裁判所の許可を得ることで、
弁護人と並んで座ることができたとのこと。
これをSBM運動(Sit By Me=私の隣に座ってね運動)と呼ぶそうで、
たしかにアメリカの法廷ものの映画やドラマ見てるとそうだよね・・・
気合い十分だった八田隆氏、
普通は一言、二言で終わるはずの罪状認否で演説を始めたところ、
速攻で裁判長にさえぎられたらしい・・・
(ここらへん、ぜひライブで拝見したいです・・・)
・・・ということで、本日の結論 :
八田隆氏は日本の裁判のグローバリゼーション推進役かもしれない・・・
・・・
八田隆氏のブログを拝見していて思ったんだけど、
刑事事件に関しては裁判員制度が始まったこともあり、
かなり情報公開されてきているんだけど(裁判の手続きとか進行に関して国民にわかりやすく説明しようっていうやる気が感じられるという意味)、
国税庁がどういう手続きを経て、
ある人が脱税したと認定し、
告発に至るのか、
告発されてしまったら、
それをひっくり返す余地はないのか、
といったような一連の流れについては、
全然情報公開されていないといってもいいんじゃないかと思っていて、
たまたま白羽の矢が立って、
国税とガチンコ勝負になってしまった八田隆氏、
記者会見のお写真などを拝見していると、
この件を一大プロジェクトと位置づけ、
正面から攻めていっている姿勢が伝わってきて頼もしい限り、
証券会社時代に数々のディールをまとめて来られた手腕をいかんなく発揮し、
法廷をグローバル化した男
として、
歴史に残る裁判にしていただけるのではないかと期待に胸ふくらむ・・・
今後もぜひ裁判の進捗状況はできる限り情報公開してくださいね♪
ちなみに、
今日、八田隆氏のブログにおじゃましようとしたら、
全然アクセスできず、
早速、削除されたか!!!
と思ってワクワクしていたら、
ただのメンテナンスだったみたいで、
ちょっとがっかり・・・(だってそのほうが、ケンカしてるって雰囲気が出るじゃない?
誰だ?勝手に削除したのは、出てこ〜い!みたいな・・・)
初公判の感想 : 小学校の学級会で、
外国帰りの転校生がいきなり向こうのやり方持ち込もうとして、
ビビッた周りに阻止されてるって感じ・・・?
Victoriaでした。
・・・
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