中村淳彦著「名前のない女たち セックス依存症編」 (6) 生きる希望をなくした女

こんにちは。Victoriaです。

名前のない女たち セックス依存症編 (宝島SUGOI文庫)

名前のない女たち セックス依存症編 (宝島SUGOI文庫)

中村淳彦著「名前のない女たち セックス依存症編」、
今回の登場人物は、福橋由芽(ゆめ)。





由芽は生まれた瞬間から父親がいない。
理由は、子どもができたら離婚するって父親が言い出したから。






母親はあまり家に帰ってくる人ではなかったので、
ずっと施設に預けられていたが、
10才の時、義理の父ができていっしょに暮らし始めた。






親子でくらし始めると同時に、
10才で初体験。
相手は義理の父。







あとからわかったことだが、
義理の父が母親と結婚することに決めたのは、
実は幼児性愛者でロリコンで、
もともと由芽がねらいだった。






義理の父とのセックスは習慣化されたが、
ある時家族にばれ、
父親と離れるために由芽は家を出て暮らし始めたわけだけど、







その時、
なんと驚くことに、
母親が何度も何度も
「家に帰ってきなさい」
と言ったという。







理由は、
由芽が家にいれば、
義理の父が家から出て行かないからで、
娘より自分の恋愛を選んだ人だった。








その後、
由芽にも好きな人ができ、
結婚しようと約束までしたけれど、
事故でなくなってしまい、






その後、
つき合った人も、
ガンで亡くなったりして、
精神的に追い詰められた由芽は、
重い睡眠障害におちいる。








体力がなくなって、
依存する男を探す気力もなくなってしまい、
水商売のアルバイトで稼ぎながら、
21才の時、企画AV女優になった。








由芽は、
将来の夢とか希望は何もないと言う。
生きたいとも思わないし、
死にたいとも思わない。
楽しいことは何もないけど、
そのぶん、つらいこともないから、
幸せとかあまり考えたことがない。
ただ、ずっと寂しいので、
誰かにそばにいてほしいな、とは思っている。






インタビューする中村淳彦氏の前で、
由芽はぞっとするほど寂しい表情を見せたという。





・・・



読んでて、
ぞっとするくらいおそろしい話だったんだけど、






ただ、
由芽の話が、
どこからどこまで真実かはわからないなって思った。







それは、
彼女がウソついてて脚色してるんじゃないか、ってことではなくて、







何行かの文章にまとめてしまうとあっけなく終わってしまうことも、
実際にそれを経験していた時には、
とてつもなく長い時間だったんだろうなと思って、
だって、
子どもにとっての時間は、
大人とは全然違うスピードで流れているものだから、







だから、
彼女の身に起こったことを本当に理解することは、
誰にとってもムリなことで、







その記憶は、
由芽本人の身体を心を、
これからもずっと苦しみ続けるんだろう。







・・・


名前のない女たち セックス依存症編」に登場する女性たちは、
みんなそうなるだけの理由を持っていて、
読んでてとってもつらいんだけど、







セックス依存症」って、
男性の場合はただの好き者で終わるのに、







女性の場合は、
セックス依存症になったら絶対に幸せにはなれない、
不治の病みたいなものなのは、
なぜなんだろう・・・






・・・ということで、全体の感想 :







女にとって、セックスをやり過ぎていいことは何もないのね・・・








Victoriaでした。




・・・


今回で、中村淳彦著「名前のない女たち セックス依存症編」は終わりです。

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