中村淳彦「職業としてのAV女優」 (1) AV女優は供給過剰

こんにちは。Victoriaです。


さて、
Victoriaの日記でもおなじみ、
名前のない女たち」シリーズをお書きになった中村淳彦さまの、
新刊が出ました。

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)

「職業としてのAV女優」。







1998年あたりから、
年間平均50人、
のべ700人くらい、
裸の女性のインタビュー記事をお書きになった中村淳彦さまが、
取材する中で顕著になってきた、
AV女優の変質について、
その背景にある社会の変質などをからめてお書きになっていて、








AV女優というタイトルにひかれ、
エロい本を期待するとがっかりする、








いわば、
AV女優の職業案内書。








中村淳彦さまによると、









1990年代と2000年代後半以降のAV女優は、
まったく人種が異なっていて、








かつて、
裸仕事というのは、
「たくさん稼いで、早く足を洗いたい」
ものだったのが、
いつの間にか、
「できるだけ長く続けたい」
に変わってきた。








また、
かつては、
AV女優になるきっかけは、
路上での声かけスカウトが主流だったのが、
今では、ネット上で「モデル募集」の求人広告に、
相当数の女性が応募してくるようになった。








したがって、









AV女優は完全に供給過剰。








しかし、
応募したからといって誰でもなれるわけではなく、
外見を中心として厳しく選別される狭き門。








なのに、出演料は下がる一方で、








今では、
全体の80%以上は、
一本数万円という報酬、








専業では、
最低限の生活を支えていくことすら困難なレベルである。








売れる女性と売れない女性の格差が激しくなって、
AV女優は完全に使い捨て、
現在、AV専門のモデルプロダクションに所属しているAV女優は6000〜8000人いるが、
そのうち3分の2にあたる4000〜6000人は毎年入れ替わっており、









毎年6000人の新人AV女優が誕生している








ことになる。








これって、すごいことなんじゃないだろうか?








中村淳彦さまによれば、
続々と志願者が現れて、
誰がAV女優をしていてもおかしくない現在の状況は、







社会の変動を敏感にかぎとり、
本腰を入れて素人女性獲得に乗りだし、
裸の世界独特の危険や怪しさを取り除き、
一般女性が踏み出しやすい環境を整えた、
モデルプロダクションの功績。









例えば、
入り口となるネットの求人サイトでは、
AVという言葉を出さず、
「パーツモデル」という言葉を使用。








実際に応募してきた女性と面接する段階で、
言葉たくみに容姿をほめ、
その気にさせて、
まずは宣材写真を撮りたいからといって裸にするところから始まり、
女性から裸になる抵抗感をなくしていく。








実際、
そうやって、
もともとはAV女優になる気はなかったのに、
説得されて断る理由がみつからず、
いつのまにかAV女優になる女性には、








それまでの男性経験が、
1人か2人というのはざら、






逆に、
裸の世界で消費者の男性から支持されるのは、
清楚でしとやかで淫乱さのない女性なので、








むしろ、
経験の少ないほうがのぞましい。







高学歴であったり、
社会的地位のある、
普通ならAVには出演しなさそうな女性の裸のほうが売れることもあり、








今では、
決してお金に困っているわけではない女性も、
どんどん出演している。







中村淳彦さまによれば、
外見のメンテナンスに大金をかけ、
上手にお化粧して着飾っているプライドの高い女性ほど、
裸になったらメッキがはがれてボロボロとか・・・







ここまでの話をまとめると、








AVの世界では、
かぎりなく素人に近い(てゆーか、昨日まで素人だった)女性のセックスが、
最も歓迎されるっていうこと?








男が、
何を見て興奮するかということに、
別に理由はいらないので、








そういうものなんだといえば、
それで終わりなんだけれども、








AVがこんなに浸透したのって、
ごく最近のことでしょ?







AVが存在する以前と今と、
男性の性欲に、
何か変化があったのかしらね・・・?







いつも思うのよ、
すごい大量の女性が毎年AV女優になってますっていう話を聞くと、








男性の性欲は、
AVの存在によってますます高まったのか、







それとも、
AVでヌクことができるから、
かえってリアルな世界での性欲は減退したのか・・・







男性のみなさま、
どうなんでしょう?








AVでとりあえず満たされてしまうと、
リアルの世界で、
ナンパしたりデートしたりっていう手間をかけてセックスしようというやる気は、
減退してしまうのか、








それとも、
あーゆープレイをやってみたい、
今度は、
こーゆーこともやってみたい、てな感じで、
ますます性欲が煽られるものなんでしょうか?








あと、
これも疑問なんだけど、







AVがあれば、
フーゾクに行くこともなくなる、
あるいは、
行く頻度が減るものなんでしょうか?








中村淳彦さまによれば、
AV業界というのは、
社会の流れにとても敏感で、
というのも、
売れないものを作ってもすぐにつぶれちゃうからなんだけど、







そんなシビアな業界に生きる方々が、
こんだけ手間ひまかけて素人女性を出演させようとするからには、








彼女たちのギャラが安いからという以上の理由があるにちがいないわけで、







つまり、
消費者である男性の好みが変わってきたってことなのかなあ・・・って。







単純に、
男の好みにあわせていたら、
女のジャンルが細分化されちゃったってだけのことなのかしら・・・???








最初はとにかく裸を見ればコーフンしていたのが、
だんだん目が肥えてくると、
いろいろ注文つけるようになるものなのだっていう・・・








疑問は、あとからあとから出てきて尽きない・・・







Victoriaでした。

・・・
中村淳彦「名前のない女たち セックス依存症編」はこちら。

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名前のない女たち セックス依存症編 (宝島SUGOI文庫)

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