セックスはなぜ楽しいか (2) ヤリ逃げの進化論的正当性
こんにちは。Victoriaです。
- 作者: ジャレドダイアモンド,Jared Diamond,長谷川寿一
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1999/04
- メディア: 単行本
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恋愛問題の永遠のテーマに、
「なぜ、男はセックスするとサッと熱が冷めて女を捨てようとし、
女はセックスした途端、男に情が移って結婚を迫ろうとするのか」
というのがあって、
ほとんどの恋愛相談は、
結局、ここに問題の根っこがあるんじゃないかと思えるくらいなんだけど、
男性にとっては嬉しいことに、
男のヤリ逃げは進化論的にきわめて正しいふるまいだということが証明できる。
男女がセックスするのは、
子孫を残すためであるという点に異論はないと思うんだけど、
男女とも、
一個でも多くの遺伝子を残してナンボなわけだから、
オスの遺伝的利益に沿う行動が、
メスの利益に合致しない場合に、
様々な悲劇が生み出されるのはこれはもうどうしようもないことで、
ただ、
本能のままメスからメスへ渡り歩いて、
好きに精子を振りまくオスの行動を黙認していると、
社会全体で見た時の利益が最大にならないので(例えばメスがオスを殺しちゃうとか育児拒否しちゃうとかあるいはモテるオスばっかおいしい思いをして非モテオスにセックスの順番が回ってこないとか・・・これが一番あり得る感じがするのは気のせい???)、
法律とか慣習とかである程度、縛ってるわけで、
その縛りは、
文明の進化とともに厳しくなるばかり、
しかも今では、
DNA鑑定とかが出てきたから、
ヤリ逃げできる確率は限りなく低い・・・そら、草食になるはずだ・・・オスにとっては受難の時代。
ここんとこ、
もう少し詳しく説明すると、
セックスの結果、
見事、受精卵ができたとして、
その卵がオスの助けがなくても、
自力で生き延びる可能性があるならば、
オスとしては、
もう受精しちゃって今後しばらくは受精の可能性がゼロのメスと不毛なセックスやり続けるよりは、
よそへ行って、
もしかしたら受精してくれるかもしれないメスとナニするほうを選択したほうが、
遺伝的利益にかなう、
つまり、
妻や子を見捨てることが、
人類全体の繁栄につながると、
そういうわけね。
さすが、
ダイアモンド教授、
ここまできっぱり言い切るなんて、
ほれぼれするほど男前・・・
ただ、
パートナーと子どもを見捨てて、
新しい子どもをつくりたいという欲望は、
メスにも等しくあって、
メスも、
オスが子育てを全うしてくれるという見極めがついたら、
新しいパートナーを探して、
家を出て行っちゃう可能性は十分あるんだけど、
普通は、
そうはならない、
なぜか?
答えは、
わずかしか投資しなかった場合より、
多大な投資を行った場合のほうが途中で撤退しにくいから。
すでに大金ぶっこんだ事業からは、
おめおめ撤退しにくいという、
もう、誰もほしがってないのが明白なのに、
決まったことだからと、
いらん公共事業を粛々と続ける自治体と同じ理由で、
ヒトの社会のセックスは成り立っているというわけ。
オスは、
一瞬の射精がすべてだけど、
メスは、
10ヶ月の妊娠期間を含め、
多大な犠牲を払って子どもを産むわけだから、
おめおめと見捨てるわけにはいかない、
なぜなら、
文字通り、子どもは自分の分身なんだから。
あと、
メスはこの子が100%自分の遺伝子を受け継いでるって確信できるけど、
オスはその点、根拠が薄弱で、
もしかしたら他のオスのコかもしれない、という問題もあって、
世界的に見ると、
父系よりな母系社会が多いというのも、
母系だったら、
他のタネかもしれないという根本的な疑念を抱かず、子育てに専念できるからで、
この子、誰の子?
というのが、
人類の永遠のテーマだったことが、
ここから読み取れる。
・・・ということで、本日の結論 :
セックスが済んだら、
すたこらさっさと逃げ出して、
別のメスとセックスし、
自分がセックスした女性のうち誰かが自分の子を宿し、
援助なしで子育てをまっとうしてくれることを期待するというのは、
オスの本能。
だから、
女としては、
セックスするからには、
ヤリ逃げされても泣かない覚悟は必要。
それができない人は、
ピル飲んでね・・・
Victoriaでした。
・・・