浅田次郎 初等ヤクザの犯罪学教室

こんばんは。Victoriaです。

さて、きのう(女が不幸にならないための八ヶ条 - Victoriaの日記)でご紹介した

初等ヤクザの犯罪学教室 (幻冬舎アウトロー文庫)

初等ヤクザの犯罪学教室 (幻冬舎アウトロー文庫)

ですが・・・

あまりにもおもしろいので、引き続き今日もご紹介。
どうも、新刊ではもう手に入らないらしく、Amazonでも中古しか扱っていないようですので、せめてここでそのおもしろさを味わっていただけたらと思いまして・・・

今日は、「ちょっとだけ教えよう『整理屋』の実態」をご紹介。

浅田次郎直伝 整理屋の実態とは?>

浅田先生、作家におなりになる前は、なんと「整理屋」だったらしく・・・

以後、要約してみます。


>>私の専門は俗に言う「整理屋」でありました。やはり若い時分からこの道一筋につらい修行をしてきたわけであります。<<

おおっ!
この道一筋に修行!

Victoria、修行という言葉にめっぽう弱いです・・・


>>「整理屋」とは一つの会社が倒産したとき、債権者の中に紛れ込み、どさくさにまぎれてばくだいな利益を得る稼業のことであります。

倒産とは企業の死であります。ごくたまには「事故死」や「自殺」もありますが、たいての場合病み衰えて死にます。
しかし、病状の進行を表面に出してはいたずらに死期を早めるだけですから、経営者側は苦しみながらも健康を装うわけで、特に会社の規模が大きくなればなるほど、症状は察知されにくいものであります。

整理屋の仕事は先手必勝でありまして、どんな倒産劇でも実際に不渡りが発生する少なくとも半年以上前に、きたるべきXデーを予測していなければ、介入する資格はありません。

つまり、情報が勝敗を決定するのでありまして、名だたる大物整理屋の事務所などをのぞきますと、まったくびっくりするくらいの先進のOA機器が並んでいるものであります。

もちろん、同時に組織的人為的な情報網もまた不可欠でありまして、上は国会議員から下はラーメンやの出前持ちに至るまでの情報を、常に入手できる態勢を維持していなければなりません。ことに金融情報については、表、裏ともに精通していなければならない。主だった整理屋の事務所が、銀座、神田、赤坂といった都心の一等地に集中しているのは、こうした金融情報が入手しやすいからであります。<<

う〜ん・・・
整理屋に探りをいれられるラーメンやの出前持ちならぜひやってみたい・・・

続きをみてみましょう。

>>プロの活躍する舞台は少なくとも負債十億円以上の規模でありまして、この程度の倒産は景気不景気にかかわらず、しょっちゅう発生しているものです。

登場人物は多士済々でありますが、必ず参加する顔ぶれは、債務者・債権者の当事者の他に、銀行、弁護士、ヤクザ、警察、金貸し、バッタ屋、手形ブローカー、といった面々であります。「整理屋」は表面上そう名乗ることはないので、たいていはこの顔ぶれのうち、警察をのぞくどれかに形を借りています。

つまり、ちょっと怖い話ですが、銀行と整理屋ができていたり、悪徳弁護士と整理屋の名コンビでイニシアチブを握ってしまうケースはよくあります。ことに債権者が整理屋そのものである場合は非常に多く、ちょっと複雑になりますと債務者がいつのまにか整理屋グループとそっくり入れ替わってしまって、整理屋自身が自分の会社を整理する、などという奇怪なケースもあります。

いったい誰が整理屋であったのか、最後までわからない、というのがプロの整理屋の仕事なのであります。<<

おおっ!
Victoriaなどには想像もつかないくらい、大人の世界が繰り広げられているようで・・・


>>大きな倒産には必ず人の命がかかるもので、大まかにいって負債総額十億円につきひとりぐらいの割合で誰かが死ぬものであります。五十億円の大型倒産ともなると、まあたいてい4,5人は死んでいる。自殺してしまったとか、金を持って逃げてしまったなどというのは、たいがいは消されてしまったわけで、それは口にこそ出さないが全員が了解している事実なのであります。

しばしば犠牲になるのは舞台となった会社の経理担当者とか、いずれかの陣営におもねって積極的に情報を提供した役員や秘書といったところで、その点ではプロよりも、一幕限りの登場人物のほうがリスクは高いようです。<<

よくありますよね・・・
会社倒産と同時に経営者が行方不明になるっていう事件・・・

夜逃げだとかって言われているけど、そんなに簡単に逃げ切れるものじゃないし、あれはやっぱり消されたんだと思えば説明がつく・・・


>>この種の事案に対する警察の立場は極めて微妙であります。
警察には「民事不介入の原則」というものがありまして、倒産そのものが純然たる民事である以上、なかなか手出しはできないのであります。

大型倒産はたとえていうなら「犯罪の寄せ鍋」みたいなもので、その中には殺人、放火、恐喝、詐欺、誘拐、暴行、横領、私文書偽造、不法監禁といった凶悪犯罪の具がぎっしりと詰まっている。
ところが表向きは民事の体裁をとっているために、わが民主警察はこの犯罪鍋を遠巻きにしてじっとながめているしかないわけです。

もちろん警察には「煮え切るまで待つ」という気持ちもあります。たとえ別件であれ、主役のひとりを舞台から抜いてしまえば状況は混乱し、それこそ予想もつかない事態になるからです。

ある意味で整理屋グループは必要悪とみなされているわけで、この点では総会屋に対する会社や当局の姿勢とよく似ています。したがって私たちも大きな騒動の最中には捕られないという自信があるのですが、危険なのは一件落着した直後で、待ってましたとばかりに一斉検挙されるなどということがある。ですから大きなヤマをふんだ直後には間髪をいれず長旅に出たり、事務所を移転してしまったりするのであります。<<

この後、浅田先生は、具体的にどうやって債務者の身柄を確保し、最終的に戦争に必要な武器、すなわち、不動産権利書や手形帳、実印、銀行印、委任状といったものを手に入れるかという詳細な描写をなさっていますが、あまりにも生々しいので、以下省略。

う〜ん・・・
世の中には実にいろいろな職業があるものだと・・・

それでね・・・
私は今簿記論と財務諸表論のお勉強などを地道にやっているわけですが・・・

浅田先生によれば、「経理担当者は真っ先に消される」職種なんじゃ・・・

どうしましょう?
やっぱり、危ない橋は渡らないで、このへんで進路変更したほうが身のためかしらね・・・?

Victoriaでした。
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