センター試験 国語 問題&解答PDF版 および講評

こんにちは。Victoriaです。

センター試験 国語の問題&解答のPDF版はこちらです(http://mainichi.jp/life/edu/exam/center/etc/pdf/kokugo.pdf
まず、ベネッセの講評から。

>>問題文の分量が増加。時間配分と、文章表現の理解が勝負をわける。昨年よりやや易化 

1.全体概況

【大問数・解答数】 昨年と比較して、大問数4、各大問の配点50点は変更なしであった。解答数は漢文で1個増え、全体として1個増。

【出題形式】 現代文の評論・小説は、ほぼ例年通りの出題であった。評論では、文章の表現に関する問題として、文章中の記述の表現効果や、引用文の用い方を問う設問があった。古文では、2008年度以来3年ぶりに、和歌を含まない文章が出題された。漢文では、昨年に引き続き論説文が出題され、文章の構成を問う設問と、筆者の意図を問う設問が両方出題された。

【出題分野】 近代以降の文章2題(評論・小説)、古文1題、漢文1題という構成に変更なし。

【問題量】 問題文の分量は、評論で700字程度増加(3100→3800)、小説で600字程度増加(3400→4000)、古文で100字程度増加(1800→1900)、漢文で37字増加(171→208)し、昨年に比べ大幅に増加した。

【難易】 昨年よりやや易化。

2.大問別分析
第1問「現代文・評論」 (50点・やや易)  鷲田清一「身ぶりの消失」

哲学者による社会論からの出題。入試頻出の著者であり、身近な具体例も交えた平易な論じ方の文章でもあるため、受験生にとっては取り組み易いものであっただろう。問6は、2010年度の<表現の効果>と2008年度・2009年度の<引用などのはたらき>を踏襲したもので、「国語表現」に関する出題の重視という点では一貫している。

第2問「現代文・小説」 (50点・標準)  加藤幸子「海辺暮らし」

昨年に引き続き、現代の女流作家からの出題。例年どおり、語句の意味や心情を問う設問が中心で、問6も昨年と同様、「叙述」に関する設問であった。ただし、問5が、最後の場面の内容を叙述のあり方と絡めて大きく問うもので、本文の記述をもとに推測を働かせなければならず、かなり手ごわい設問であった。

第3問「古文」 (50点・やや難)  『保元物語』 

擬古物語からの出題が続いていたが、2011年度は軍記物語からの出題で、2008年度以来3年ぶりの、和歌を含まない文章であった。本文はさほど難解ではないと思われるが、文章が長く、人物関係を確認するための注も多かったため、難解に感じた受験生が多かっただろう。問6の文章表現の特徴と内容に関する設問は、ポイントが絞りにくいため選択肢の判別に迷う。なお、問6の配点が例年より低く、6点であった。

第4問「漢文」 (50点・やや難)  黄■(こうしん、■はさんずいに晋の旧字体)『金華黄先生文集』

昨年に引き続き論説文からの出題。内容は昨年よりもオーソドックスなもので、論説文の読み方の基本である対比の構造に沿って読解することができた。昨年と同様、反語が問われた。対比を穴埋めさせるのは大学個別試験でしばしば取り上げられるが、これまでのセンター試験ではあまり出題されていなかった。問6で文章の構成と、筆者の意図について両方問われているのは、目新しい出題であった。 <<

次は河合塾

>>現代文〉第1問(評論)は、「暮らし」のなかで人々が身の回りの空間とどのように関わるのかについて論じた文章であった。第2問(小説)は、海辺でひとり暮らしをする老女を主人公にした作品であった。
〈古文〉本文は軍記物語で、有名出典からの出題であった。約1800字の長文であるが、全体としては取り組みやすかった。
〈漢文〉問5では内容理解に基づいて空欄を補充する新しい趣向が見られた。

難易度 昨年並み

〈現代文〉第1問(評論)は、本文量が増加したものの、昨年よりも読みやすい文章であったこともあって、受験生には取り組みやすいものであった。第2問(小説)は、設問によって正解の精度にばらつきがあるため、全体的な整合性という観点にこだわった生徒にとっては、かなり解きにくかったのではないかと思われる。

〈古文〉本文は昨年よりいくぶん長くなったが、内容は理解しやすかった。そのうえ、設問も素直なものが多く、また、これまで頻出だった和歌が、本文にも設問にもなかった。

〈漢文〉本文の分量は208字で昨年より37字増えた。本文の字数が増加したうえに、内容もやや難解な学問論で読みやすいとは言えず、設問には紛らわしい選択肢もあり、全体として昨年と変わらず難しい。

出題分量

第1問(評論)は、本文が昨年と比べ600字強増加した。設問数・マーク数は、昨年と同じ。第2問(小説)は、本文量が昨年よりやや増加したが、設問数・マーク数は昨年と同じ。第3問(古文)の本文は140字程度の増加。設問数・マーク数は昨年と同じ。第4問(漢文)は、本文量が208字で37字増加。設問数は昨年と同じ。マーク数は1増加。

出題傾向分析

〈現代文〉第1問(評論)は、大学入試で頻出している鷲田清一の文章からの出題であった。第2問(小説)は、前半は読みやすいものの、最後の場面は多様な解釈が可能であるため、この場面に関わる問題が解きにくい。
〈古文〉中世の軍記物語からの出題。保元の乱で勝利した側の源義朝が、敗北した側の父為義の命を奪おうとする場面である。子が親の処刑を強いられた悲劇を背景として、子と親、家臣同士の心情の葛藤を描いている。例年と変わって和歌に関する設問や内容合致問題がなかった。2006年度に新課程になって以来、和歌に関する設問がなかったのは2008年度のみであり、内容合致の設問が出題されなかったのは初めてである。また、2008年度本試験にも見られた、本文の表現に関する設問が出題された。それ以外の設問は例年と変わらなかった。
〈漢文〉学問について、「遜」と「敏」という学びの態度を取り上げて論じた文章である。文脈の理解を問う設問がほとんどだが、本文自体がなじみにくい内容の学問論であり、取り組みやすい問題ではない。しかも選択肢にも紛らわしいものが多い。

■設問別分析

第1問
基本的に従来の出題を踏まえている。なお、問6は、ここ数年出題の仕方に微妙な違いが見られたが、本年度は、小問(鄯)が本文中の表現に関わる問題、小問(鄱)が論の進め方に関する問題で、昨年の出題を踏襲したものになっている。

第2問
問5は正解の根拠が希薄。問6は、選択肢番号3は正解できるものの、もう一つの正解選択肢番号5はやはり根拠が希薄である。

第3問
問2の文法問題は、「れ」「ね」「せ」の識別で、基本的な知識を問うものであった。問6には、例年の内容合致とは違って、本文の表現の特徴と内容についての説明問題が出されたが、選択肢が紛らわしく、慎重な吟味を必要とするものであった。

第4問
問1(2)は、内容を踏まえて語の意味を判断する必要がある。内容に基づいて空欄を補充させる問5、文章構成と筆者の意図について分けて問う問6など、新しい形式での出題が見られる。問6(鄱)は本文の記述からさらに踏み込んだ内容の選択肢になっており、難解である。<<

次に、代ゼミ

>>本文の分量がいずれも増加
本文の分量が4問とも増加している。第2問は高度な鑑賞力が問われている。古文・漢文はほぼ昨年並の難度。解答数は昨年度より一つ増加。

* 昨年度との比較
<難易度>やや易化
<出題量>増加
<出題内容>新傾向の設問がみられる

* 第1問(現代文・評論)は、鷲田清一「身ぶりの消失」(『感覚の幽い風景』所収)の一節で、建築家の考察を引用しながら、人間の身体と空間との関係性について述べた評論文。本文の分量は昨年よりも600字ほど増えているが、内容的には抽象度の高かった昨年度の文章よりも読みやすい。設問は、漢字問題が全体的にやや難しい。読解問題は全体的には解きやすい問題となっている。

* 第2問(現代文・小説)は、加藤幸子「海辺暮らし」の一節。本文の分量は昨年よりやや増えたが、会話や人物の表情から状況が把握しやすいため読解は難しくない。設問は誤りを排除する形で解くものが多い。問5は、本文の後半部の意味合いを問うという高度な鑑賞力を求める設問になっている。問6は2つ目の答えが選びにくい。

* 第3問(古文)は『保元物語』の一節で、ここ数年続いていた物語から一転して軍記物語からの出題となった。本文は昨年とほぼ同様の長さであり、和歌は含まれないもののけっして読みやすい文章ではない。設問構成は昨年と同様。問6で、内容に加え「表現の特徴」も併せて問う工夫がみられたのが新傾向。文法問題は昨年並の基本的なものであった。

* 第4問(漢文)は『金華黄先生文集』から。昨年度からの傾向は継続しているが、問題形式自体はオーソドックスなものと言える。全体的に読解力と儒教に関する知識が必要となっている。<<

Victoriaでした。