ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (19) 男は女になめられて権力を失い、女は男を踏み台にして権力の座につく 太宗−高宗−武則天の場合
こんにちは。Victoriaです。
2012年3月25日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険の出口社長の講義、
今回は、時代を少し戻して、
7世紀初頭の中国のお話。
さて、
中国では、
618年、隋が滅び、
唐建国。
初代皇帝は高祖。
第2代皇帝は、高祖の子、太宗。
太宗は、武則天の最初のパパね・・・
(武則天が太宗亡き後、その息子、高宗の妻に収まり、やりたい放題やりまくった愛憎劇についてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (10)7世紀の東アジアは女性の世紀 - Victoriaの日記)
・・・
さて、
今回、
なぜ、時代を戻って、
また太宗の話をするかというと、
前半の講義が終わる前に、
出口先生がとても興味深いエピソードを披露してくださったから。
(「ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3」シリーズ、もう19回目になるというのに、
まだ、前半の終わりにやっと来たところなのよ・・・
まだまだ終わらないので、
お楽しみに・・・♪)
太宗といえば、
「貞観の治」
で知られる名君で、
太宗の言行録「貞観政要」は、
政治学の教科書として世界中で読まれてきた。
出口先生によると、
「貞観政要」に感銘を受けたフビライが、
大量に印刷し、
それが日本にも流れ着いて、
多くの日本人に影響を与えたらしい。
あの北条政子も「貞観政要」を和訳させているし、
徳川家康は藤原惺窩(せいか)に講義させている。
ということで、
政治家としての表の顔は言うことナシなんだけど、
実は太宗が即位したいきさつにはちょっとしたハプニングがあり、
邪魔な兄と弟を殺害してまんまと皇帝の座を手に入れた。
この事件を玄武門の変(げんぶもんのへん)と言って、
文字通り「玄武門」という宮殿の門で起こったクーデターなんだけど、
殺された兄は、
おっとりしていて、
優柔不断。
あらゆる点で、
弟である李世民(太宗の名前ね)に負けていたわけなんだけど、
それでも父親である高祖は、
兄を立太子し、
家督をつがせるつもりでいた。
しかし、
隋討伐で名声をあげた李世民は、
それが不満で、
ことあるごとに、
もっと自分を手厚く処遇しろと主張。
ついに、
このままでは弟に乗っ取られてしまうから、
今すぐ、
弟を殺しなさいと、
兄に進言する者が現れた。
しかし、
まんまと殺されるようなタマではない李世民、
事前に自分の殺害計画を察知すると、
即座に玄武門の守備隊長を買収、
逆に兄を殺してしまう。
やられる前に敵の大将の首を取れっていうのは、
戦国の世の常識よね・・・
それで、
自分の息子二人を、
同じく自分の息子に殺されてしまったふがいない父親高祖がどうしたかというと、
お前が一番強いのはよくわかった。
後はよろしく頼む。
玄武門の変が起こったのが、
626年6月。
太宗が即位したのが、
626年9月なので、
事件直後に高祖は位を譲っている。
次はオレがねらわれるかもしれないって、
パパはおそれたのかもしれないわね・・・
事件後、
そもそも、この事件の発端となった、
兄に「弟を殺しなさい」と進言した戦犯が、
李世民の前に引き連れられてきた。
普通だったら、
そういう人間は問答無用で打ち首だと思うんだけど、
この男、
名前は魏徴(ぎちょう)、
太宗の18才年上で、
命知らずっていうか、
どうせ死ぬんだったら言いたいこと言ってから死のうと思ったのか、
なぜ、自分が、
兄に太宗殺害を勧めたかを、
べらべらとしゃべり始めた。
たぶん、
魏徴っていう人は、
生まれながらの先生肌っていうか、
間違った方向へ進もうとしている生徒に対して、
たとえ嫌われようが疎まれようが、
相手を追いかけていってでも、
苦言を呈するタイプの人間だったんだと思うんだけど、
数々の戦功をあげて、
周りにちやほやされ、
テングになってた太宗、
耳の痛い話を聞かされて、
かえって新鮮だったんだろうね、
魏徴を殺さず、
「頼むから、終生オレのそばにいて、
オレの悪いところを全部言ってくれ」
と言って、
その場で自分の部下にした。
魏徴は、
先生魂が揺すぶられたんだろう、
終生、太宗のそばにいて、
何かとキレては当たり散らした太宗を、
200回以上なだめたとの記録が残っている。
643年、
魏徴が63才で死んだ時、
「オレは自分の鏡をなくした」
と言って、
太宗は嘆き悲しんだという。
太宗はその6年後、
649年にこの世を去っている。
・・・
兄弟同士で血みどろの争いをし、
それに勝ち抜いて即位した太宗、
晩年に、
自分の後継者を決める時に、
やはり、誰にするかでもめた。
順番でいうと、
長男に継がせるべきなんだけど、
太宗自身は、
弟をかわいがっていた。
ここらへん、
父、高祖にかわいがられなかった自分の子どものころのトラウマが、
出たのかもしれないけど、
それで、
誰を立太子するかですったもんだあり、
結局、
長男もその弟もダメってことで、
最もパッとしない高宗が選ばれた。
太宗はたくさん子どもがいたので、
一人がダメでもスペアはいっぱいいたらしい。
これはいいのが皇帝についたわ。
コイツをおとすくらい、
チョチョイのチョイ、
ちょっと親指と人差し指でナニをあーしてこーして、
そんでもってついでにおクチを使ってペロペロ・・・
この時、
まだ魏徴は健在で、
太宗に進言できる立場にあったはずなんだけど、
さすがの魏徴先生も、
武則天がアラサー過ぎてから大化けして、
とんでもない女帝にのし上がるなど、
想像もつかなかったのかもしれない・・・
女が女であるだけで商品価値があるのは、
26才までっていう説があるんだけど(by Victoria)、
自分自身を振り返ってみても、
その頃までは、
かわいくておしとやかで男を立てるのがうまいVictoriaちゃん♪
という評判を落とすことなく、
男をあざむくことに何の困難もなく・・・うふふ・・・
・・・ということで、本日の結論 :
男は女で人生誤り、
女は男を踏み台に人生切り開く。
調べてみると、
太宗っていうのは、
魏徴だけでなく、
たくさんいた自分のヨメたちの進言も、
割と聞き入れていたらしい。
だから、若いときからこわいモノ知らずで、
ズバズバ言いたいこと言ってた(んじゃないかな?たぶん・・・)武則天のキツイ性格が、
逆に太宗のお気に召したのかもしれない・・・
・・・ということで、本日の結論 :
太宗はキツイ女がお好き♪
Victoriaでした。
・・・
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