ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (32) 世界最初の紙幣と、朱子学の始まり

こんにちは。Victoriaです。

2012年7月14日、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長による「5000年史 Part4 11、12世紀の世界」の講義録、
今回は、「世界最初の紙幣と、朱子学の始まり」。

さて、
靖康の変で江南にのがれた高宗が宋王朝を再建したのは1127年。








日本では1159年に平清盛が実権を掌握、
積極的に日宋貿易に乗り出す。







平清盛はまた、
宋銭を日本国内で流通させたことでも知られているが、








1160年頃、
南宋では、
交子という世界初の紙幣の発行額が増えすぎて銭荒現象が起きている。









宋の時代、
中国は経済力が大きくなりすぎたため、
実体経済以上の取引がされるようになり、
銅が足りなくなった。








それまで、
中国では、
通貨は銅銭が基本だったが、
銅銭をつぶして銅器を作ると利益が10倍以上になるため、
見つかると処刑されたにもかかわらず、
鎔銭するものが続出、










仕方なく、
北宋は銅銭を大量に発行した。









銅が不足すると、
鉄銭を発行したが、
鉄銭は重く持ち運びに不便なので、
鉄銭を持って行くと預かり証として交子を発行する交子鋪が、
四川で始まる。








始まりは手形だったが、
交子発行がもうかることに目をつけた政府が、
これを官業とし、
民間で発行することを禁じた。








ここへ来て、
交子が手形ではなく貨幣に昇格したわけである。









北方民族との戦争のため、
軍事費がほしかった政府は、
交子の発行額を増加させ、
後にそれがもとでインフレを引き起こしている。









・・・

南宋は、
朱子学が完成した時代。









靖康の変が起こり、
家族が北から南へ逃げてきて、
現在の福建省で、
1130年、朱熹が生まれた。









幼いころから儒学を学び、
科挙に合格した朱熹は政治の世界に身を置いたが、
政治家としては不遇な人生を送っている。






朱熹の功績は、
「大学」「中庸」「論語」「老子」の四書に注釈をつけ、
科挙の教科書として確立させたことで、








それまで学説がばらばらだった儒教を体系化した。









漢民族にとって、
黄河流域の中原はあこがれの地で、
そこが金に取られているのは悔しいという気持ちから、
ここで初めて儒教イデオロギーを持ち込み、







どの王朝が正当か?という話になった時に、
蜀が正当で魏は正当ではないとしたのは朱子学の考え方である。









明の時代になって(1368〜1644)、
モンゴルへの恨みから朱子学が祭り上げられ、






13世紀には朝鮮半島に伝わり、
仏教にかわって国教になったほか、








日本にも輸入され、
江戸幕府の正学とされた。










岳飛の墓の前に秦檜夫婦が鎖でつながれた銅像があり、
それにつばを吐きかける習慣ができたのは、
朱子学の影響である。(→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (31)金・宋和議と、岳飛VS秦檜 - Victoriaの日記








・・・



1173年、
ゴール朝がガズナ朝を滅ぼした。
ガズナ朝はこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (6) ガズナ朝マフムードのインド侵入 - Victoriaの日記








山川出版社の世界史用語集によると、

世界史B用語集 改訂版

世界史B用語集 改訂版

ゴール朝 : 1148頃〜1215。 アフガニスタンのゴールを中心に成立したイラン系を自称するイスラーム王朝。ガズナ朝を滅ぼし、インドへの侵入を繰り返して、ヒンドゥー諸国を破った。イスラーム教徒の北インド支配の基礎を築いたが、のち内紛で分裂し、ホラズム朝に滅ぼされた。





ゴール朝がガズナ朝を破った時には、
長年にわたって対立してきた恨みを晴らさんばかりに、
略奪を繰り返し、
歴代スルタンの遺骸まで掘り起こして焼いたとか・・・








1193年、
トルコ系奴隷出身のアイバクが、
ゴール朝の武将としてデリーを征服、







インド最初のイスラーム王朝である奴隷王朝を建国した。









トルコ人は、
軍事力はあるが行政はできない人たちなので、
セルジューク朝を作った時、
トルコ人はもっぱら軍事担当で、
彼らのできない部分はペルシア人が官僚となり、
補ってきた。








アイバクが奴隷王朝を作った時も同じく、
ペルシア人官僚を雇ったため、
インドの標準語のひとつ、ウルドゥー語には、
ペルシア語がたくさん混じっている。









そんなこんなで、
世界は12世紀に終わりを告げる。







Victoriaでした。


・・・
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