視線

まだ、
愛とか恋という言葉すら知らないころから、






いっぱい人を好きになってきた。







好きになると、
絶対わかる、
だって、
ずっと視線でその人のことを追ってしまうから。








むこうも、
私のこと好きでいてくれるんだなっていうのも、
絶対わかる、
だって、
私がその人のほうを見ると、
必ず二人の視線が合うから。







お互い好きだなって思ったときに、
最初にする愛撫は、
視線でするのね、きっと。








彼の方を見た時、
彼が気むずかしい顔をして考え込んでいたり、
心ここにあらずって感じで、
視線が遠くを泳いでいたら、
もう、
その恋は終わったということで、








たぶん、
そこですぐに恋から降りれば、
変に傷つけあったりすることもなく、
お互い次の恋に移っていけるのに、








どうして、
あそこで踏みとどまってしまうんだろう・・・









恋は、
青春の頃のほうが、
ずっとシンプルで、








だんだん、
駆け引きとか、
偽装恋愛とかいう技を覚えるようになって、









純粋に好きっていう気持ちがどんなものなのか、
すっかり忘れていたけれど、








ふと、
思わぬ人と視線がからみあい、
ドキッとしてしまって・・・








恋は、
いつも視線の愛撫から。








(by Victoria)