踏切事故

こんにちは。Victoriaです。

昨日、踏切事故がありました。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010123102000011.html

>>30日午後1時半ごろ、三重県四日市市羽津町の近鉄名古屋線霞ケ浦駅南側の踏切で、遮断機の前で電車の通過待ちをしていた自転車3台に乗用車が追突。はずみで線路内に押し出された2台の自転車と乗用車が、近鉄名古屋発伊勢中川行きの下り急行電車と衝突した。自転車の男性2人がはねられ死亡、2人がけがをした。

 四日市北署によると、乗用車が踏切の手前で蛇行や急ブレーキを繰り返していたとの目撃証言があり、運転していた同市、歯科医師池田哲さん(46)を自動車運転過失致死傷の疑いで調べている。

 亡くなったのは同市、四日市社会保険病院の研修医中本勝昭さん(40)と、同市、中国人実習生王定祥さん(23)。王さんと一緒にいた同僚の李暁龍さん(22)は自転車が脇に倒れ、軽傷。池田さんも頭などにけが。電車の乗客200人にけがはなかった。

 同署によると、現場でブレーキ痕は確認されず、池田さんの呼気検査でアルコール分は検出されなかった。池田さんは調べに対し、「混乱してよく覚えていない」と話している。家族には休診だった自分の歯科医院の掃除に行く、と言って外出した。

 近鉄によると、現場は駅のすぐ南にある幅5・8メートルの踏切で、見通しのよい片側1車線の直線道路。遮断機と警報機は作動し、異常を知らせる装置のボタンは押されていなかった。桑名−近鉄4日市間の上下線が午後4時5分に再開するまで、2時間半にわたり運転を見合わせ、延べ3万5000人に影響が出た。<<

社会面には詳しい記事が載っていました。

朝日新聞によると、

>>・・・遮断機の前に並んだ自転車の男性3人に、後ろから白い車が迫る。速度はそれほど速くないが、ブレーキはかけていないように見えた。
後ろを振り返った自転車の3人のうち2人を、車は遮断機ごと押して踏切の中に。上り線の線路を越え、下り線まで至ったとき、そこに急行電車が走ってきた。衝撃音と地響き。車は宙を飛んで登りの線路上に落ち、転覆した。
・・・事故を起こした車の後続車の男女に前の車の様子を聞いたところ、事故直前、車は『遅く走ったり速く走ったり、変な動きをしていた。運転手の体調が悪いのかと思った』と話していたという。
・・・踏切を渡る道路の幅は約6メートルで、車はすれ違える程度の幅はあるが、歩行者帯はない。他の踏切と比べて狭いとは言えず、これまで大きな事故は起きたことがないという。しかし、踏切近くの住民は、年々踏切周辺に住宅が増え、交通量が増えているのが気になっていた。「車は徒歩で踏切を渡るが、道幅が狭いので危ないと感じていた。事故原因はわからないが、道幅がもう少し広ければ、防げたかもしれない」と話した。<<

犠牲になった王さんは、中国の山東省出身で、2009年7月に来日。四日市市内の工場で三年間実習をして帰国する予定だったとのこと。この日は、新年を迎えるための買い物帰りでした。

もう一人の犠牲者中本さんは、自転車ごと約200メートルひきずられたとのこと。以前は薬剤師で、大学に入り直して、今年、医師免許を取得し、四日市社会保険病院で4月から研修医として勤務。「人の役に立ちたい」と医師になる夢をかなえたばかりでした。「代われるものなら代わってやりたい」と中本さんのお父さんは遺体と対面後に声を落としたそうです。

私は、中本さんと直接面識はありませんが、これまでに何人も、中本さんのように、遠回りして医学部に入学したいという生徒の受験勉強を応援してきました。

高校生と同じように、センター試験から受験して医学部に入る方法もありますし、中本さんのように、薬学部を出ている場合は、大学2年生、あるいは3年生に編入する方法もあります。いずれにしても、現役高校生が一日10時間もの厳しい受験勉強を乗り越えてやっと合格する医学部の入試に、いったん社会人になってからチャレンジするのは並大抵のことではなく、医師になりたいという強い思いを何年も持続させて、ようやく夢を実現させるためのスタートラインに立ったばかりだったに違いありません。その夢が、お正月休みに入ったばかりの日に絶たれて、どれほど無念だったことでしょうか。

中本さんのお父さんは、「大晦日は親子でご飯を食べよう」と留守電に入れたばかりだったそうです。やっと息子の夢がかなってこれからの活躍を楽しみにしていたお父さんの夢も一瞬の事故で消えてしまった。紙面からはわかりませんが、中本さんの帰りを待っている奥さんとか恋人もいたかもしれない。その人たちの悲しみはいかほどかと思うと、涙が止まりません。

若くても、突然病気で亡くなってしまう人もいます(慟哭-慟哭 - Victoriaの日記)。このような事故のニュースを見ると、命というのはいつまでもあると思っていてはいけないとつくづく思います。

私は、人はそれぞれ夢をかなえるために生まれてきたんだと思っています。

その夢をかなえるために、与えられた状況の中で苦しんだり傷ついたりしながら一歩一歩、夢の実現のために進んでいくのが人生だと思う。

その過程では、周囲とぶつかったり、心が折れそうになったりすることもある。

もう、全部やめたほうがどんなにいいかと思うことだってある。

だけど、そんな時に、自暴自棄になったり、自分より恵まれているように見える人たちのことを恨んだりしても何も生まれない。

つらいことばっかりでも、毎日明るくふるまい、自分を支えてくれる人たちにやさしく接して、そして、決して命を粗末にしないこと。

そのことを、中本さんは教えてくれたように思います。

王さん、中本さんのご冥福をお祈りします。

Victoriaでした。

<あとがき>
読売新聞で、もっと詳しい記事をみつけましたので、引用しておきます。
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/101231_2.htm
>>自転車の男性2人が、突っ込んできたワゴン車に線路内に押し出された直後、駅を通過したばかりの急行電車にはねられた。三重県四日市市近鉄名古屋線踏切で30日、4人が死傷した事故。電車と車、自転車が衝突した瞬間、雷のようなごう音が響きわたった。線路上には大破した車や自転車が無残な姿で転がり、死亡した研修医中本勝昭さん(40)を知る人たちは「医師になる夢をかなえたばかりだったのに……」と言葉を失った。

 県警四日市北署で30日夜、中本さんの遺体と対面した、四日市市内に住む父親の照夫さん(75)は「正月は一緒に実家で年を越そうと言っていた。一人息子で、代われるものなら代わってあげたい」と声を詰まらせた。

 照夫さんによると、中本さんは名城大薬学部(名古屋市)を卒業して薬剤師となったが、子どもの頃からの医師になる夢が諦めきれず、信州大医学部に入学し直し、今年4月に四日市社会保険病院の研修医になった。信州大の卒業旅行でアフリカに行き、「将来はアフリカで働いて、現地の人の役に立ちたい」と話していたという。

 また、中本さんは四日市交響楽団に入って打楽器を担当し、最近もコンサートに出演したばかりだった。

 4月から約2か月間、中本さんの指導にあたった同病院内科の水谷安秀医師(62)は「子どもが本当に大好きで、子どもに優しい人。大変な努力家で、小児科医を目指していた。非常に残念」とうつむいた。

 「車が時速20〜30キロくらいのスピードで減速せずに走ってきた。そのまま自転車を押し出しながら、遮断機をくぐり抜け、線路内に入った」。事故を目撃した会社員男性(35)は、そう振り返った。2人を押し出した車が電車と衝突した瞬間、「バリバリバリ」という音が響き、車は空中で回転しながら20メートル以上飛ばされたという。

 自転車の1台も約20メートルはね飛ばされ、車体は大きくねじ曲がっていた。近くに死亡した中国人の工場実習生、王定祥さん(23)が倒れ、中本さんは電車が停止した場所まで、約200メートル引きずられていたという。

 現場近くの線路沿いに住む会社員男性(61)は「雷が落ちたようなごう音とともに地響きがした。電車が自転車を引きずり、白い煙のようなものが上がっていた。脱線するのではないかと思って、慌てて逃げた」と興奮した様子で話した。
実習生王さん 同僚「優しい人が・・・」

 王さんと、軽傷を負った同僚の李暁龍さん(22)は、約1年半前に2人で来日した。四日市市富士町の「宝永プラスチックス」で、プラスチック製部品を製造する作業をしていた。王さんらは、この日から1月3日まで休みだったという。

 王さんの同僚の中国人女性(24)は、「王さんは山東省出身で、重い荷物を代わりに運んでくれる優しくて朗らかな人。亡くなったなんて信じられない」と涙を浮かべた。同社総務課の男性(40)は「まじめで、同僚から信頼されていた。買い物に行った帰りだったと聞いているが、こんな形で亡くなり、無念だと思う」と声を落とした。

 事故現場には、王さんが持っていたスーパーの袋や総菜が散乱し、友人の中国人の男女約10人が集まり、肩を震わせて泣いていた。 <<

乗用車を運転していた人が逮捕された模様。
http://mainichi.jp/photo/news/20110101k0000m040016000c.html

>>三重県四日市市の踏切で30日、乗用車が自転車に追突し、踏切内に押し出された自転車の男性2人が電車にはねられ死亡した事故で、県警四日市北署は31日、乗用車を運転していた同市羽津中1の歯科医師、池田哲容疑者(46)を自動車運転過失致死傷と過失往来危険の疑いで逮捕した。

 容疑は、30日午後1時半ごろ、同市羽津町の近鉄名古屋線阿倉川第8号踏切で、同市別名5の医師、中本勝昭さん(40)と同市白須賀1の中国人実習生、王定祥さん(23)らの自転車に追突、中本さんと王さんを死亡させ、乗用車などを急行電車に衝突させたなどとしている。

 同署によると、池田容疑者は歯科医院に向かう途中だったというが、事故現場は医院を通過した場所だった。「医院を過ぎてからの記憶がないが、状況からして私がやったことに間違いないのだろう」などと供述しているという。同署は池田容疑者の責任能力についても調べている。
 ◇「アフリカで子供たちの治療を」…亡くなった中本さん

 亡くなった中本勝昭さんは40歳の研修医という苦労人だった。「人の役に立ちたい」と医学部を目指したが受験に失敗し薬学部に進学。薬剤師となったが、夢を捨てなかった。

 働きながら勉強に励み、01年に信州大医学部に入学した。07年に訪れたアフリカで貧困な医療態勢を目の当たりにし、「将来はアフリカで子供たちの治療をしたい」と、小児科医を目指した。念願の医師免許を取得し、10年4月から四日市市の病院で研修を始めたばかりだった。

 父の照夫さん(75)は12月30日午前、中本さんの携帯電話の留守録に「31日は一緒にご飯を食べに行こう」と伝言を残した。それから数時間後、息子との無言の対面に照夫さんは「代われるものなら代わりたい」と唇をかんだ。<<



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