色即是空 空即是色

こんにちは。Victoriaです。

さて、先日から堀文子さんの著作を立て続けに読んでいるVictoria・・・

今日は、これを読みました。

生きて死ぬ智慧

生きて死ぬ智慧

生命科学者にして歌人柳澤桂子さんが、「般若心経」を現代語訳なさった本。
堀文子さんの画が、黒地を背景とした前ページにちりばめられ、
大変美しい仕上がりです。

柳澤桂子さんは、「周期性嘔吐症候群」および「脳脊髄液減少症」という難病のため、1969年から闘病生活を送り、生命科学者としてのキャリアを断念。
しかし、86年からサイエンスライターとして、たくさんの本をお書きになっている方。

本書では、般若心経に柳澤桂子さんの現代語訳がついているだけでなく、リービ英雄さんの英訳までついています。

リービ英雄さんは、アメリカ人なのに、日本人以上に美しい日本語をお書きになる方。
般若心経の英訳も大変美しい英語です。

般若心経といえば・・・
実はVictoria、毎日お経を唱えているわけではありませんが、
今回この本を開いて、ひさしぶりに声を出して読んでみたところ、
すらすら読めた!

仏教系の高校に行ったため、
宗教の授業があったし、
それに何よりも、この高校では、
謹慎処分を食らった生徒に課される罰というのが、
毎日、畳の上に正座でえんえん写経・・・

最初のうちは、
「くそったれのセンコー、覚えとけよ!」
などと心の中で悪態つきながら書いていたのが、そのうち
「ああ、早く帰りたい・・・」
になり、最後のほうは、全く無心でただもうひたすらに手だけ動いていく。

今になって思えば、あの教育法に一定の効果はあったと言わざるを得ない・・・
・・・
さて、柳澤桂子さんは生命科学者ですので、
「般若心経」が教える「空」を「原子」ととらえ、この世は一元的な世界であるということに気づくことが「悟り」であると述べています。

私たちは原子からできている。
原子が動き回って、この物質の世界が成り立っている。
宇宙を原子のレベルで見れば、一面の原子が飛び交っている空間の中に、ところどころ原子が密に存在するところがあるだけの一元的な世界である。
私たちは、自己と他者、自分と他のものという二元的な考えにとらわれ、
自分と対象物という見方から執着が生まれ、欲の原因になる。

しかし、宇宙の真実に目覚めた人は、物事に執着するということがなくなり、何事も淡々と受け入れることができるようになる。

これが、お釈迦さまの悟られたことである。
・・・
宇宙の話と原子レベルの話って、
とてつもなくスケールのでかい話と、とんでもなく小さな世界の話なのに、
なぜか、結論は同じに聞こえるのよね。

時々、こういう話を聞くと、
人間界のいざこざがいかにどーでもいいことかということに気づかされ、
心洗われるのですが・・・

・・・
さて、「般若心経」の中で、一番好きなフレーズはどこかと聞かれれば、迷わず、ここを選ぶVictoria・・・
(理由はみなさまよくおわかりだと思います)
そこの現代語訳と英訳をご紹介したいと思います。

色即是空 空即是色
<意味>
一切の形あるものが、そのままでありながら、なにもない。
なにもないことが、そのまま、形あるものを現出している。
柳澤桂子 現代語訳>
お聞きなさい
形のあるもの
いいかえれば物質的存在を
私たちは現象としてとらえているのですが
現象というものは
時々刻々変化するものであって
変化しない実体というものはありません
実体がないからこそ 形をつくれるのです
実体がなくて 変化するからこそ
物質であることができるのです

リービ英雄 英訳>
Form---it is, in fact, emptiness.
Emptiness---it is, in fact, form.

・・・
「般若心経」は、すべての人が自分なりの解釈を許されていると思いますので、
Victoria、「空」を「愛」と置き換えて読んでみました。

<Victoria語訳 般若心経>
色即是空 空即是色
太古の昔から
女は愛に悩んで来たけれど
それは、愛を形あるものに置き換えて考えるという間違いを犯してきたからだと思う。
カレの財産
カレの地位
カレの肉体
・・・

すべて形あるものは、
そこにあると思って手を伸ばした瞬間に、
指の間からこぼれ落ちてしまうようなはかない存在に過ぎず、
そのような物質を愛の証として追い求めているかぎり
真実の愛にめぐりあうことはない。
愛を確実なものとして感じることができるのは
愛する行為の最中なのだけど、
ああ、今感じたと思った次の瞬間には消えてしまっていて
結局、手の中に永遠に握っておくことはできない。

愛とは決して静止するものではないから、
愛を感じたければ、
二人のエネルギーがぶつかりあって発する熱を確かめるしかない。

カレの腕の中のぬくもりに愛を感じるというのは
そういうことかもしれない。


Victoriaでした。