ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (4)世界帝国には動物園を造れ

こんにちは。Victoriaです。

引き続き、ライフネット生命保険の出口社長の講義を聴いております。



<ここまでのあらすじ>
東アフリカで誕生した人類は、大型草食獣を食い尽くし、飽くなき食欲を満たすべく、ユーラシア大陸へと向かった。
グレートジャーニーの始まりである。
ついにはベーリング海を渡り、アメリカ大陸へ到達した人類は、12,000年前にさまようライフスタイルに終止符を打ち、ドメスティケーション開始。農耕・牧畜・冶金を始め、神という概念を造りだし、外の世界を支配することに目覚める。
紀元前4000年紀後半、文字が発明され、歴史が始まった。
最初の統一国家は、エジプト古王国。クフ王のピラミッドが残されていることで有名


今回は、文明発祥の地であるにもかかわらず、統一国家をつくるという点で、エジプトに先を越されてしまったメソポタミアのお話。



<世界帝国は動物園を造らなければならない>




世界初の統一国家がエジプトにできたのは、紀元前2550年頃。
少し遅れて、紀元前2300年頃、メソポタミアでもようやく王国が出現。
統一したのは、この方。


アッカドサルゴン



この王国に特徴的なことは、いろんな言語を話す人たちの集合体であったため、
初めて、アッカド語という共通語(=リンガフランカ)ができたこと。
そもそも、メソポタミア文明を築いたのは、シュメール人だったから、
アッカド人はあとから出てきて次々とシュメール人都市国家を征服していき、
自分たちが話す言葉を共通語に指定しちゃったということで、



たしかに、敵の言葉をしゃべれって強要されたら、
征服された感が強まるし・・・



それで、サルゴンという王様、
さすが、でかい世界帝国を造っただけあって、
様々な伝承によって、「神の子」だと言い伝えられている。


例えば、赤ちゃんの時に川を流れてきたとか・・・。


さて、人間を支配したサルゴン、次は自然界も支配しなければならないと考え、
造ったのが、


植物園・動物園。



えっ、そうなの?
植物園や動物園って、自然界を支配するために造るものだったの?



動物園なんて、学校の遠足で行くものだって思っていたから、
そんなこと言われてもピンと来ないわね・・・



しかし、自然界を支配したサルゴン、そこで満足せず、
次に、「死んだ人間も支配したい」と考えた。


死んじゃった人なんか、どーやって支配すんの?




答 : 図書館を造ればいいのよ!




ということで、大図書館が造られ、いろんな文物が収集された。
「支配欲は収集癖へむかう」という伝統は、
大英博物館ルーブル美術館などに面々と受け継がれ、現代に至る。


アッカド王は出自がはっきりせず、
赤ちゃんの時に川に流れてきたなんて伝承があるくらいだから、
誰の子かもよくわからない。

歴史上、どこからともなく現れて、あっという間に帝国を築くっていう偉業を成し遂げた人は、
出自がはっきりしない人が多いけど、
とんでもないエネルギーの持ち主で、既成概念を打ち破っちゃうようなヒーローっていうのは、
そもそもそういうものなんじゃないかしらね?
両親に大事にされ、ゆりかごの中でぬくぬくと育った赤ちゃんは、
成長して大人達の度肝をぬくハチャメチャな男には成長しない気が・・・


アッカドは、その後、サルゴンの孫にあたる4代ナラム・シンが、
四海の王と名乗り、
生前に自分のことを神と宣言したりなんかして最盛期を迎えるが、
神様が怒ったのか、100〜150年で滅んでしまう。


この地に、二つ目の世界帝国を築いたのは、シュメール人
アッカドから覇権を奪い返したのだった。



<人の命に値段をつけた最初の法典>


シュメール人というのは、世界最初の文明、メソポタミア文明を築いた民族なんだけど、
実はどこからやってきた人たちなのか、よくわかっていない。


ウルナンム王がウル第3王朝を築いたとき、
シュメール人登場して実に1000年たって初めて、
シュメールがいかに偉大か、ということが文書にまとめられた。

また、この時代に、人類最初の法典「ウル・ナンム法典」が作られている。


古代に作られた法典では「目には目を、歯には歯を」のハンムラビ法典が有名だが、
ハンムラビ法典は世界第2番目に古い法典であり、
世界最古の法典は、ウル・ナンム法典である。


ウル・ナンム法典の特徴は、損害賠償の考え方が取り入れられていること。
つまり、人を殺した場合、遺族が納得すれば、お金でつぐなってもいいということが、
この法典には書かれている。


紀元前2000年には、すでに人の命に値段がついていたのね・・・



このような先進的な法典を作ったシュメール人の社会は、
障害者にあたたかい社会でもあった。

彼らは、人間は神が粘土をこねてできたという解釈をしていて、
神様が粘土こねながら酒くらって酔っぱらって、
ついうっかり失敗しちゃうと障害を持った人が生まれると考えていて、
つまり、障害者というのは、一定の割合で社会に生まれるものだから、
排除しないでいっしょに仲良く暮らそうという文明観を持っていたらしい。



それにしても、このころの記録はすべて粘土板につけられているわけだけど、
耐久性という意味で、粘土板以上のものを人類はまだ発見していないというのは、
なかなか深いお話だった。



現代はありとあらゆる記録がデジタル化されてるわけだけど、


果たして、デジタルは粘土板を超えるのか?




Victoriaでした。

・・・
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