ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (3)ピラミッドから読み解く公共事業の本質

こんにちは。Victoriaです。

さて、ライフネット生命保険の出口社長による講演会は、
前史が終わり、いよいよ第一千年紀に突入。


今回の講演会のタイトルは「5000年史」。


なぜ、5000年なのかというと、
文字に書かれた歴史が5000年だから。


文字は、紀元前4000年紀後半に、
チグリス川流域で発明された。

どういう経緯だったかというと、
そのころは物々交換をしていたわけだけど、
「あの人に小麦を売った」
「あっちの人には魚を売った」
みたいな交易の記録を、トークンという粘土の粒のようなものでつけ始めたのが起源。

それがだんだん進化して、
粘土に商品別にわかるように印をつけるようになり、
それが文字のもととなったらしい。


人類が記録の手段を手に入れたということは、すごい発明で、
このことにより、生産性は飛躍的にあがり、
「この文字ってやつは、むっちゃ便利やわ!」
というクチコミがあっという間に広まり、
世界中に伝播。


だから、世界最初の文字は、メソポタミア文明のくさび形文字だったことになる。


世界史では、世界の四大文明ということで、
メソポタミア文明
エジプト文明
インダス文明
黄河文明
の四つを習うけど、
これら四つはばらばらに発生したわけではなく、
まず、メソポタミア文明が生まれ、
それがだんだんと広まっていったというのが本当らしい。

最後の黄河文明まで伝わるのに、
実に1000年かかっているわけだけど、
それはひとえに「遠くてなかなかそこまでたどり着けなかった」
というのが理由。



さて、世界で最初の文明はメソポタミア文明なのに、
統一国家が最初にできたのは、実はエジプト。
クフ王のピラミッドが建設されたのが、紀元前2,550年頃。


なぜ、メソポタミア文明エジプト文明に先を越されてしまったのか?


それは、チグリス・ユーフラテス川沿いの地形に答えがあって、
あのあたりは、たくさんの都市国家ができて、お互いに覇権を争っていた。
しかし、前も後ろも開かれた地形だから、どこか一カ所に物資の集中をするのが難しく、
強大な都市国家ができなかった。


一方、エジプトは、ナイル川と海にはさまれたところで、
敵に攻め込まれにくい地形だったため、
国を統括することが比較的容易だった。
要するに、ナイル川をおさえてしまえば、
物資の集積も簡単だし、軍事上の防衛もしやすい。


そういう恵まれた土地で、農業の生産性がアップし、
余剰生産物が蓄積されるにつれ、
自分で働かなくても食べていける人たちというのが出現。
彼らは農耕をする必要がないので、都市に住むようになり、
かくして、金持ちは都会に住むという構図ができる。


金持ち集団のトップが王様で、
どれくらい強大な権力を誇っていたかは、残されたピラミッドのサイズを見れば一目瞭然。

(気になる方は、ギザの大ピラミッド - Wikipediaでご覧ください)


それで、ここからが肝心なところなんだけれども、
出口社長は、クフ王のピラミッドから、
公共事業の本質を見抜くことに成功。


どういうことかというと、

自分が食べていくのに十分な食糧を100とすると、
人口の20%を占める支配者階級の人々は、農業生産はしないので、食糧の備蓄0からスタート。

残り80%を占める農民階級の人々が、余剰生産物を含め、125の農業生産物を作り出す。

しかし、このままでは支配階級の人々は飢え死にしてしまうので、どうするかというと、

農民から農業生産物を巻き上げる。

ホントは泥棒なんだけど、
それを泥棒じゃなくて、正当な取り分だと主張するために考えられたシステムが、

税。
   

この「税」という名前の、泥棒システムをフル稼働させ、
ほんとは働いてない支配階級はここで一気に200の農業生産物をゲット。

一方、農民階級は、税をとられた後、持分は75に減ってしまう。
このままじゃ飢え死にする人も出てくる。


ホント、税っていうのは、いつの世でもえげつないわね・・・


それでね・・・
ここからが、支配階級のずるがしこいところなんだけれども、
農民から食糧をふんだくっただけでは満足せず、
自分の国の王は、ほかの土地の王よりもよっぽどすごいんだぞってことを周囲に知らしめるために、
ピラミッドを建てようと計画するわけね。


あれだけばかでかいものを造ろうと思えば、
むちゃくちゃ人手もいるし、物資もいる。


大丈夫。農閑期の農民を集めてやらせりゃいいじゃないか・・・


ってことで、全国に王からの大号令がかかり、
「王様のためにピラミッドを造るのに身を粉にして働きたい」
という人々がかり集められる。


全員が号令に従うわけではなく、
王様のために喜んで働こうという農民は、全体の4分の1。


王様のほうは、自分に忠実な農民たちに報いるべく、報酬を用意しているんだけど、
その原資は何かというと、
税。


すべての農民から取り立てた税が、
自分たちで食べるのに十分な分をのぞいてもまだ十分余っているから、
それを、ピラミッド建設のために働いてくれた農民へのほうびとして分配。



結果、支配階級は、税という名のもと、集めた農業生産物プラスピラミッドをゲット。
王の号令に応じてはせ参じた徴発農民たちは、税をとられたけれども、それを再分配されて、食べるに困らないだけの食糧を手にいれただけでなく、交易入手物もゲット。
他の農民は、税を取られ、最終的に食べるに困らないだけの食糧にはありつけるけれども、それだけで、財産が増えることはない。


かくて、支配階級は、公共事業をダシに税の再分配を行い、
王に忠実な農民を手なずけることにも成功したわけで、



もともと他人からふんだくったゼニをばらまく時に、
ことさらに太っ腹なふりをするっていうのは、
エジプトからの伝統だったのね・・・




・・・ということで、本日の結論 :



公共事業の本質は、
税の再分配と見せかけて、
自らが肥え太っていくための集金マシーンである。




Victoriaでした。


・・・
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ」のバックナンバーはこちらです。
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (1)出口社長にはじめてお会いする - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (2)グレートジャーニーとビフテキの切っても切れない関係 - Victoriaの日記
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