ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (3) 中華思想のはじまり

こんにちは。Victoriaです。

さて、2011年11月13日、キャンパスプラザ京都で行われたライフネット生命保険出口社長の講義、
今回は、西周の滅亡のお話です。



西周が滅亡したのはBC772。
この時の王であった幽王は、褒〓(ほうじ)という女性(正妃ではなかった)を溺愛。



男が愛する女性に求めるものは、
いつの世でも変わらず、



彼女の笑顔。




ところが、彼女はとにかく笑わない。



調べてみたところ、
彼女自身、望んで幽王のところに嫁いだわけではなく、
つらい事情があったので、
笑う理由などなかったらしいんだけど、



ある時、
のろしを上げたところ、
それを見てお国の一大事だと勘違いした諸侯たちがはせ参じたのを見て、
初めて彼女が笑った。



それを見た幽王、
のろしを上げるのは、
ホントは緊急事態の時に限られるべきなのに、
彼女の笑顔見たさで、
時々、のろしを上げるようになった。


たびたびそういうことを繰り返していると、
幽王ののろしは「オオカミ少年」状態になり、
当然、誰も信じなくなる。



それで、ついに、ホントに敵が攻めてきたとき、
本気ののろしを上げたんだけど、
誰もやって来ず、
西周は攻め込まれて滅んでしまいましたとさ。



教訓 : 王様が女に狂うと、国が滅ぶ。






という言い伝えがあるけれども、
これは、もちろん、




ウソ。




実際は、
西から異民族に攻め込まれ、
負けるべくして負けたらしい。



・・・


さて、ここで、
西周滅亡の歴史的意義について考えてみると、




西周滅亡以前、
青銅器をつくる技術というのは、
周が独占していた。



周のまわりのいわゆる田舎の人たちは、
すごい、すごいとうわさされている周が、
本当にどれくらいすごい国なのか知りたいと思い、
おみやげを持参して周を見にやってくる。



周はそういう人たちを歓待し、
お礼に青銅器でできたおみやげを持たせた。



青銅器なんて見たこともない田舎ものたちは、
当然それをみてびっくりする。



こんな立派なものを作るんだから、
やっぱり周の国はすごいんだなあ・・・




そう納得して、
田舎に帰って行く。




周は、まわりの田舎の王たちが、
青銅器を作れるようになると優位にたてなくなるので、
青銅器を作る技術を持った職人たちを、
今の貨幣価値に直すと年収2000万円くらいの高級を払って、
召し抱えていた。



この職人たちは金文職人と呼ばれ、
青銅器に文字を書くことのできる特殊技能を持っていた。



しかし、西周が滅亡すると、
年収2000万円の高給取りだった職人たちが、
一斉に無職になってしまった。



優雅な暮らしになじんだ彼らは、
今さら農民に戻れるわけもなく、
仕方がないので、
以前、西周にやってきて、
青銅器のおみやげを見て仰天した田舎の王様たちを頼って、
各地にちらばっていった。




年収2000万円はムリでも、
年収1000万円くらいで彼らを金文職人として雇おうという王様たちはいたからだ。




さて、田舎の王様たちは、彼らを雇うにあたって、
ちょっとした試験をした。



どこの馬の骨ともわからないものに、
年収1000万円払うわけにはいかないから、
入社試験を課したわけだ。



何をしたかというと、
王様たちは、西周からもらったおみやげの青銅器に書かれた文字を読ませた。



西周は青銅器に周の歴史をしるしていた。



もちろん、そこに書かれた歴史というのは、
周が、いかに自分たちがすぐれているかということを知らしめるために書いた、
うそっぱちなんだけれども、
青銅器に美しい文字で書いてあれば、
人間、信用してしまう。



対する田舎の王様たちは、
それまで文字というものを持っていなかったので、
自分たちの歴史というものを知らなかった。



文字にできないものは、
後生に伝えることはできない。



そうすると、
本当は自分たちにも先祖はいたはずなんだけれども、
それよりも、
青銅器にもっともらしく書かれた周の歴史のほうを信じてしまう。



このようにして、
西周が滅んだことをきっかけとして、
漢字の読める人が周辺地域に散らばり、
彼らが解読した青銅器に書かれた歴史をうのみにして、
勝手に周というのはすごい国なんだと考えるようになっていったのが、
中華思想のはじまり。



その後、周は長安から洛邑へと逃げ延びていって、
そこで東周として生き延びる。



西周に比べれば、
ちっぽけな国に過ぎず、
武力もお金もなかったのだけれど、
みんなが勝手に周というのはすごい国なんだと思いこんでいたため、
誰も周に手出しができず、
結果、500年も続くことになる。




このように、
西周滅亡の歴史的意義を考えると、
東アジア冊封体制という国際秩序に発展していったという意味で、
歴史上、大きな出来事であった。



この時代に築かれた中華思想が、
脈々と現代まで受け継がれていることは、
ご承知の通りである。




結論 : 中華思想のはじまりは、周の滅亡にあった。




出口先生の講義は、
次回へと続きます。




Victoriaでした。


生命保険
・・・

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ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (1) 再び京都へ - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (2) 知の爆発 - Victoriaの日記