ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (18) トレド翻訳学派
こんにちは。Victoriaです。
2012年7月14日、京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長による「5000年史 Part4 11、12世紀の世界」の講義録、
今回は、「十字軍結成前夜 トレド翻訳学派」。
1085年、
カスティージャ王、アルフォンソ6世がトレドを掌握。
トレドというのは、
スペイン中部の都市で、
16世紀に画家エル・グレコが定住したことで有名。
8〜11世紀、
トレドはイスラーム文化の中心都市として繁栄したが、
1031年、後ウマイヤ朝が崩壊するとタイファ(イスラムの小王国のこと)の一つであるトレド王国となり、
それがカスティージャ王国によって長期にわたって包囲され、
ついに降伏したのが1085年。
(タイファについてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (15) 女を媒介とした異文化交流 - Victoriaの日記
後ウマイヤ朝についてはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (11) ウマイヤ朝の滅亡 - Victoriaの日記)
1056年、
ムラービト朝が興り、
イベリア半島にも進出してきたが、
カスティージャ王国はトレドを守り抜いたため、
キリスト教勢力がイスラーム勢力を駆逐したという意味で、
アルフォンソ6世のトレド征服はレコンキスタの節目となっている。
レコンキスタというのは、
山川出版社の世界史用語集によると、
- 作者: 全国歴史教育研究協議会
- 出版社/メーカー: 山川出版社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 50回
- この商品を含むブログ (44件) を見る
トレドは、
5〜8世紀は西ゴート王国の首都だったので、
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の文化が交錯したところで、
知の宝庫だった。
アルフォンソ6世というのは、
大変にイージーゴーイングで寛容な人だったので、
異文化を排斥したりすることなく、
古代ギリシア・ローマの文献を、
アラビア語からラテン語にビシバシ翻訳させた。
トレド翻訳学派の始まりである。
翻訳は、
イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒の共同作業で、
古代ギリシア・ローマの英知である哲学・神学・科学の文献がアラビア語からラテン語に翻訳され、
12世紀ルネサンスに大きな影響を与えることとなる。
12世紀ルネサンスとは、
14世紀にイタリアでおこったルネサンスとは違い、
従来、暗黒の時代と考えられてきた中世に見られる古典文化の復興を指す。
イスラムの医学・数学が翻訳されたのも12世紀のトレド、
このように、ヨーロッパの文化は、
アラビア語の恩恵を多大に受けているのである。
・・・
さて、
「勇敢王」との別名をもつアルフォンソ6世だが、
わかっているだけで5回結婚し、
愛人がいたのは当然のこと、
実の妹と近親相姦関係にあったとの伝説もある人物で、
アルフォンソの父フェルナンド1世は、
三人の息子に領土を分割して与えたが、
兄弟間で攻めたり攻められたり裏切ったりとすったもんだしたあげく、
結局、アルフォンソ6世が兄と弟の領土も手に入れて統一した。
一説によると、
アルフォンソは兄を暗殺した疑いをかけられたとか・・・
うん、
タイミングよすぎるし、
兄が暗殺された翌年、弟が捕らえられ、
アルフォンソが王位を継承してるから、
疑われて当然・・・
いずれにせよ、
女好き+兄弟怪死という、
スキャンダルの宝庫のようなアルフォンソ6世は、
トゥルバドゥールの最も好むタイプの為政者で、
(トゥルバドゥールとは吟遊詩人のこと。詳しくはこちら→ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (15) 女を媒介とした異文化交流 - Victoriaの日記)
中世スペインの英雄叙事詩「わがシドの歌」にも登場。
ちなみにエル・シドは実在の人物で、
アルフォンソ6世によって追放された。
追放した理由は、
イスラム勢力によって窮地にたたされていたアルフォンソ6世を救いに行ったにもかかわらず、
援軍に来るのが遅いとアルフォンソ6世がイチャモンをつけたということだが、
本当の理由は、
なにかと英雄視され人気の高かったシドにアルフォンソ6世が嫉妬したからとか、
あるいは、
アルフォンソ6世が兄殺しの疑いをかけられた時、
「私は兄を殺していない」という宣誓をしろと攻められ、
それをずっと根に持ってエル・シドのことを恨んでいたからだとも言われるが、
こーゆーわかりやすくて血気さかんな男って好き❤
・・・ということで、本日の結論 :
それにしても何度も何度も結婚繰り返しているんだけど、
キリスト教って結婚離婚のリミッターってないの???
Victoriaでした。
・・・
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 バックナンバーはこちら。
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (1) 京都大学百周年時計台記念館 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (2) 唐宋革命 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (3) 中国でてん足が広まった理由 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (4) お金で平和を買うODAだったせん淵の盟 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (5) 行革の天才 王安石 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (6) ガズナ朝マフムードのインド侵入 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (7) チョーラ朝ラージェンドラ1世のシュリーヴィジャヤ遠征 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (8) セルジューク朝 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (9) ムラービト朝 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (10) セルジューク朝の内紛と十字軍の発端 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (11) ウマイヤ朝の滅亡 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (12) 神格化されたファーティマ朝ハーキムの謎 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (13) 王朝の盛衰 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (14) 東西教会の大シスマ - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (15) 女を媒介とした異文化交流 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (16) ノルマン・コンクエスト - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 4 (17) カノッサの屈辱 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ バックナンバーはこちら。
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ (20)総集編 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ 続編 (25) 総集編 AD元年〜500年の世界 - Victoriaの日記
ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 3 (34) 総集編 - Victoriaの日記
ライフネット生命 会社訪問記 - Victoriaの日記