ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part 5 (36) モンゴル帝国の暦と天文台

こんにちは。Victoriaです。

2012/12/02 京都大学百周年時計台記念館で開催された、
ライフネット生命保険の出口社長に歴史を学ぶ 13世紀の世界」講義録のまとめ、
今回は「モンゴル帝国の暦と天文台」。






さて、
親の仇を討つために、
皇帝に即位するやいなや、
邪魔なヤツらを全員処刑してしまう冷酷さを持ち合わせたモンケ、








実は、
大変なインテリで、








数カ国語をしゃべるポリグロットだったことに加え、










頭の体操に、
ユークリッドの「幾何学」を読んでいたという逸話が残っております。









ただ、
頭のいい人に多い欠点も持ち合わせていて、









気が短かった・・・











頭の回転が速すぎて、
ついて来れない周りにイライラし、
いいよ、オレがやるよ・・・と先回りして何でもやってしまうので、
下にいる者がちっとも育たず、
本人はいつも忙しくて、
ムダに寿命を縮めてしまう人っていますが、











ああいうのを見ると、
頭がいいってのも良し悪しだとつくづく・・・










それで、
モンケは弟のクビライを南宋に送り込んでいたんだけれども、
クビライがどういうわけか、
のらりくらりと長期戦の構えで、
ちっともラチがあかないので、








クビライをクビにし、
自ら宋に乗り込んだところ、











疫病にかかってあっけなく死亡・・・











・・・ということで、本日の結論 :





急いては事をし損じる。











1259年、
モンゴル帝国第4代皇帝モンケ没。








ただ、
例によって、
クビライによる暗殺説もささやかれております・・・







皇帝が急死すると、
次に皇帝についた者がだいたい怪しいという・・・






・・・


さて、
チンギス・カンやクビライ・カンに比べると、
地味目な印象が強かったんだけれども、
実はなかなか強烈な個性の持ち主であったことが判明したモンケさま、









大変な占い好きだったそうで、









それで、
占いって暦が大事でしょ?









当時、
ユーラシア大陸には、
実にさまざまな暦があり、










ぶっちゃけ、
どの暦に基づいて占ったらいいのか、
迷ってしまう・・・









なので、
モンケさまは王様なわけで、
天下はオレ様のものなんだから、
暦も作ろうぜ!ということで、
まずは、星の観測をするために、
天文台を作らせた。










1259年、
マラーガ(アゼルバイジャン)に天文台建設。








これはモンケじゃなく、
モンケの弟フラグ(イランにイル・ハン朝を開いた)が、
ナスィールッディーン・トゥースィーという天文学者のために建てさせたもの。










ナスィールッディーン・トゥースィーは、
1271年に、
「イル・ハーン天文表」を著し、
そこでは惑星の位置を計算、
恒星の名前が記されていたとのこと、









コペルニクスも、
「イル・ハーン天文表」を読んでいたという逸話が残っている。









マラーガの天文台は、
大都(=北京)とサマルカンドでの天文観測の元となり、








大都には回回司天台(1271年)
サマルカンドにはウルグ・ベク天文台が作られた(1420年)。







山川出版社の世界史総合図録に、
北京の天文台の写真がのっていたので、
ちょっと拝借。





回回司天台の台長はジャマールッディーンという名のイラン出身の天文学者で、
回回というのは、ムスリムという意味。
この観測結果をもとに作られたのが、
郭守敬の「授時暦」。









授時暦ができたのは1279年で、
一年を365.2425日としており、
グレゴリオ暦よりも300年も早く制定されたもので、
イスラム・アラビア世界の科学+モンゴル・中国世界の科学が結集すると、
こんなスゴイことができるんだぜ!という見本のようなもの。












ちなみに、
「授時暦」をもとに、
北京と日本の緯度の差から生じる誤差を直して作られたのが、
渋川春海の「貞享暦」。










このあたりの話を描いたのが、
映画「天地明察」→http://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html








原作はこちら。

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

冲方丁天地明察」。








私はまだ読んでいないのですが、
読んだ人によると、
なかなか楽しめる良書だとのこと。










読もうと思って、
ずいぶん前に買ってあるんだけど、
毎日、講義録のまとめに忙殺され、
時間ないのよ・・・










ということで、
ここまでで出口社長作成のレジュメ「モンゴルの勃興その4」終了です。










Victoriaでした。


・・・

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ライフネット生命の出口社長に歴史を学ぶ Part5 まとめ - Victoriaの日記






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