公選法違反は事件か?

こんにちは。Victoriaです。

4月の統一地方選で、有権者に飲食接待をしたとして支援者2人が公選法違反(供応買収、事前運動)容疑で逮捕され、
自身も任意で事情を聞かれていた福岡県川崎町議会議長、森元秀美氏(67)が練炭自殺を図り、死亡した。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110529k0000e040004000c.html

自宅に残されたメモには、
「証言強要くりかえし、事件に結びつけようとしている。
取り調べ中に突然、私の口を上下にひきさくような暴力的な事になり、本当にこわかった」
と記されていたとされる。

選挙があると、しばらくは公選法違反の逮捕者が出るのは毎度のことで、
今回も、大府市議が2名逮捕されたり、(公職選挙法第197条の2 報酬の支給 - Victoriaの日記
あるいは、公選法違反でいったん逮捕された深谷市議が、警察が支援者らに虚偽の証言を強要したのではないかという疑いが指摘され、処分保留で釈放されたり、(http://www.asahi.com/national/update/0527/TKY201105270180.html
といったニュースが出たばかり。

たしかに、公職選挙法には、
「投票をお願いするという趣旨で金銭の授受や飲食物の供応をしてはならない」
と明記してあり、もしも、接待したことが事実なら、逮捕された支援者や候補者が法律違反したことは事実だ。

「政治家っていうのは、ズルイことをするものだし、選挙で勝つためには、裏で何をしているか、わかったもんじゃない」と世間一般では信じられているから、
「○○議員が公選法違反で逮捕された」
というニュースを聞けば、
「ああ、やっぱりね・・・」
と誰もが思う。

だけどね・・・

選挙がお金で簡単に買えるって、みんな本気で信じているんだろうか?

たとえば、仕事上のつきあいで、断りにくい相手に、
「今度、うちの会社がお世話になってる○○先生が立候補するんですよ。よろしくお願いします」
なんて言われたら、
「ああ、そうですか、わかりました。知り合いにも頼んでおきますよ」
ってその場は言うだろうけど、
ホントにその人に投票したかどうかなんて、相手にはわからない。

逆に、自分がとても恩義を感じている人が立候補したら、
別にご飯をおごってもらって、
「○○先生に一票頼む」
なんてお願いされなくても、自主的に一票を投じるだろう。

人口の少ない自治体だったら、
各投票所ごとの得票数なんてのを見れば、
○○候補に入れたのが何名で、入れなかった裏切り者が何名なんていうこともばれてしまうから、
口では「入れときますよ」って言っておきながら、
実際は対立候補に一票なんて抜け駆けは候補者に知れてしまうけれど、
それだって、具体的に誰が裏切ったかなんて、わからない。

市町村合併が進み、しがらみだけで当選することが難しくなってきた今、
お金で票が買えるって本気で信じてる候補者なんていないと思う。

たしかに、地方の選挙区では公然と選挙違反が行われていて、
有権者のほうも「おごってもらって当然」なんて空気があった時代もあったから、
「供応買収」っていうのを大々的に取り締まることに意味がある時代もあったとは思うけど、
有権者の側の倫理観も変わってきて、
むしろそういう「汚い手を使う」候補者に対する風当たりも強くなっている今、
公選法違反といえば、決まって「供応買収」っていうのは、どうよ?って思わざるを得ない。

選挙があった→当然、公選法違反があったはず→パクって来い!

の号令の元、与しやすい候補者にねらいを定めた警察にまんまとしてやられた感がぬぐえない。

有権者にメシをおごってもいいじゃないかって言ってるんじゃないんです。

ただ、
「支援者を交えたお食事会で選挙の話が話題にのぼり、会費は払ったけどもしかしたら会費以上の値段の料理が出てたかもしれない」
という事実と、
「高齢の有権者たちが、連日、事情聴取を受け、脅迫まがいのことをされたあげくに虚偽の証言までさせられた」
という事実のアンバランスには違和感を覚えます。

結局、物証らしきものが取れるのはここだから、集中攻撃的にやってるだけなんじゃないか。

いろんな意味で、選挙制度っていうのは発展途上にあるから、どんどんクリーンに変えていくべきではあるけれど、
あんまりえげつないことやってたら、有権者に厳しい審判を下されるのは候補者自身なんだし、
より、民意が反映されやすい制度にするべきであるっていう、公選法の根本を考えるならば、
4,000円の飲み食いしたのに、3,000円の会費しか払ってないんだったら、差額の1,000円は買収だってことを証明するために、警察総動員で聴取するなんてことにエネルギーを費やしてもらっても、
そのことで、世の中がよくなる感じがしない。

結局、政治家自身が悪いんだけど。
目先の一票に目がくらんで、
一票の格差の是正にも手つかずで、
選挙運動でのネット使用についてもいまだ公選法に書かれておらず、
ネット投票に至っては、議論すら始まっていないから、
いまだに「昭和の選挙」基準で警察が動かざるを得ない。

次の統一地方選までには、ザル法公選法、なんとかしないと、今度は自分がパクられるかもしれませんよ、先生!

Victoriaでした。